3.インターネットインターネットインターネットラブポップ

 底の抜けた心なもんで一時的に満たされた心なんてすぐに干からびる。心底底の浅い人間だと自分でも思う。とにかく私は自己肯定感みたいなものが皆無なんだ!人にどんだけ肯定されたって受け取る側が過食で嘔吐してりゃ世話がない。

ああ、もうほんとうにいやになる!!!!こういうのはやめよう!!


 私自身が私にとっての理想の女の子になりたい。とにかく自分を褒めたげたい。頑張った自分へのご褒美を笑うな。全員殴るぞ。黒目がちなカラコンを入れた私は最高にかわいいんだ。


 生まれてこのかた健康で風邪薬や睡眠薬なんか飲んだことがなかったから代わりに七十円で買ってきたラムネをラッパ飲みした。うん、脳みそに栄養が行った気がするね。ラムネに含まれるブドウ糖ってやつは頭に良いんだ。どんよりとした気分もちょっとすっきりした気がする。とにかく外に出るべきだな。物語の始まりってのは多分そういうところなんだ。


 無難な服装なんて辞めにしよう。私は自分が好きな格好をして出かけるんだ!

しまい込んでたアリスみたいなニーソックスを引っ張り出した。色んな意味でちょっときばかりつくなった気がするのはたぶん私の気のせいなんだ。気ってやつは厄介でいつも私の邪魔をするんだ。自意識過剰くんはもう過去の人だ!そんなものミュートだ!ブロックだ!いままでありがとう!


 鏡の前に立った私はやっぱり最高にかわいかった。きりそろえられた黒髪のボブカットが完璧だ。背景の部屋は汚いね。帰ったら片付けるね。


 意気揚々と外に出る。少し怖いからヘッドフォンで武装はする。絶対絶望絶好調。まさにそんな感じだ。音楽はいい。私の心を歌ってる。嬉しくなってボリュームを上げる。


 フラフラと歩いてた最強の私には後ろの車が鳴らすクラクションなんか聞こえなかったんだ。んなもんノイズでしかないんだ、そんなもんキャンセリングだ。車なんか乗るなロックを聴け。結構な速度を出す車にモッシュされながら私はそんなことを考えていた。


 こういう目に合うのって男の子主人公の話じゃなかったけな。まあいいけどさ。すごく痛いけど、生きてるって感じがするよ。・・・嘘だよ!!!すごく痛いよ!!!なんだこれ。底の抜けた心が心底死にたくないなと叫んでるよ!!!

「やだーーーーー!!!!!!!!死にたくないよーーーー!!!!!!」

久しぶりにみた青空に向けて駄々をこねた。


 私の視界に映ったのは死界ではなく猫耳の美少女の姿だった。


そして少女は言ったんだ。

「しかたないにゃあ」

これでもかってくらい普通のおじさんの声で言ったんだ。


目を覚ますと私はインターネットの女の子になっていた。

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