世界は空想で溢れている 3/4
「『私だけの空想の世界』だって、いったーい!」
「しかも何に使えるかわからないんじゃ、役に立たないじゃない」
さすがの僕も、良いと感じたものを貶されたことにイラッとする。
「使い方がわからないなんて、ろくでもないわね。世界を救う足手まといになるんじゃないかしら?」
しかもババアも便乗しやがった。
どうして僕には彼女を救うことができないんだろう。
そう思った僕は、自分のステータスを確認した。
それを見て、ん? と疑問に思った。
次に、空想少女に向けて手を透かすようにかざす。
指の合間から、クラスメイトに責め立てられていた彼女が僕をすがるように見つめている様子が見えた。
ああ、そうなんだ。
この世界に来て、やっと僕は彼女に手を差し伸べることが出来る。
僕は意を決して、彼女の盾になるように立ってこう言った。
「スキルがどうとか言うと、僕なんかド底辺だね。なんてったってスキルがないんだから」
そう。
僕のステータス、スキルのところは「-」表示だったのだ。
「え?」
騒然とするクラスメイトたち。
その様子に思わず含み笑いしてしまう。
「このクラス全員に、スキルが与えられるんじゃなかったっけ? 使えない女神だなあ。ロクにスキル与えられないなんて、ゴミ以下の存在じゃない?」
「なんですって……! よくもほざいたわね!」
ここぞとばかりに無能さを煽ってみせると、クソババアは簡単にキレた。
「手厚く指導してあげようと思ったけど、あなたたち二人だけは特別よ! 樹海に追放してあげる」
クラスメイトがあっけにとられる中。
僕と彼女は、自称女神に追い出された。
そう、これで良いんだ。
うわべで見えるものでしか人の価値を見出せない人物のもとに、僕たちがいる必要なんてないのだから。
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