世界は空想で溢れている 2/4

 僕たちの前に現れたのは、例に漏れず女神を名乗るおばさ……お姉さんだ。


「あなたたちにこの世界を救ってほしいのよ」


 テンプレかな?


「そのために、あなたたちのクラスと言う単位の全員にスキルを与えたわ! まずはステータスオープンと唱えて、各々のスキルを確認しなさい」


 テンプレだな?


 各々がステータスを見て盛り上がっている中。

 空想少女は一人でぽつんとステータスを眺めていた。


「あんたどんなスキルなのよ?」


「コミュ障のあんたらしく、どうせろくでもないもんでしょー?」


「あははは!」


 彼女のことをいつもからかう子が、貶すように問いかけた。


 少女はぼそぼそと呟く。


 スキルの名前は「私だけの空想の物語」だ。と。


 他のクラスメイトたちと違ってスキルの説明がなく、どんなスキルなのかわからない。と彼女は困っていた。


 なるほど。


 ネーミングセンスは最高じゃないか。

 空想に浸る彼女にぴったりの名前だと僕は思う。


 いったいどんな天才がつけた名前だろう。


 一人ほくそ笑む僕とは別に、しかしクラスメイトはそうは思わないようだ。

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