第十九話

??「暇だなー、先生帰ってこないしお姉ちゃんもいないし…」

??「受付嬢さんと遊ぼー」


受付嬢『暇ねえ』

受付嬢『そんなことないよー…もぐもぐ』

受付嬢『ジュギョウチュウハワタクシドモデアルケナイデスカラ』

受付嬢『図書館の方がまだ楽しかったわ、蔵書の量も質も遥かに上だし』

受付嬢『勉強好きだったもんねー、姉さん…ずるずる』

受付嬢『別に好きって訳じゃないわよ、それが仕事だったもの…後その呼び方やめなさい』

『すみません、どなたか旧校舎の清掃してくださいませんか』

受付嬢『レンラクデスネ、ワタクシガウカガイマスノデ』

受付嬢『あら、そう?ならお願いするわ』

受付嬢『いってらっしゃーい…もぐもぐ』


第十九話 アクドウ


??「失礼しまーす」

受付嬢『あら珍しい客人ね』

受付嬢『もぐもぐ』



岸華「…あっごめん私提出物預かってたんだった、少し外すね」

「うん」「いってらっしゃーい」「次移動教室だから」

岸華「うん、ありがと」


岸華「旧鬼先生、生徒会の審議書です」

旧鬼「ん、ありがと…えーとこっち置いとくか」

岸華「お忙しそうですね、何かお手伝い致しましょうか」

旧鬼「あー…悪いね、じゃあコレ、何時でもいいから図書館に持っていってくれるかな、司書さんに渡してくれれば大丈夫だから…すまないね」

岸華「気にしないでください、いつもお世話になってますから」

旧鬼「よろしく」


………


岸華「お昼…さて、持っていきましょうか」


岸華「失礼します」

受付嬢『どうぞ……あら、前に一度会ったわね』

岸華「そうですね」

岸華(一度…?)

受付嬢『何かしら、人の顔をじろじろと』

岸華「あっいえ、すみません…これ、旧鬼先生からの渡してくれと」

受付嬢『ふーん、ありがと。…何の書類かしら』

岸華「そこまでは聞いてませんでしたね」

受付嬢『そう…ま、誰かのよね。これだけ?』

岸華「はい、失礼します」

受付嬢『はいはい』


岸華(一度…?)


受付嬢『どしたのー…はふはふ』

??「何々ー…もぐもぐ」

受付嬢『生徒だったわ、書類を渡しに来たみたい…確か第二野球部の部員ね』

受付嬢『誰かな、柊?夜ノ渦?それとも旧鬼?』

受付嬢『世代がバラバラだしそいつらはもう卒業してるわよ…旧鬼は一応いるけど』

??「えっそうなの…」

受付嬢『貴女は知ってるでしょ…』

??「ジョーク、ジョーク…もぐもぐ」


………


七原「あっ」

男「どうしたの」

七原「そろそろトイレットペーパーが切れるので買いたさないと行けませんでしてね」

男「それは一大事だね」

七原「帰りスーパーに寄らないといけませんね」

男「お疲れ様」

七原「いつもの事ですから…いただきます」

男「いただきます」

名桐「あら、居たの」

海鈴「ごきげんよう」

香椎「お疲れ様です」

男「お昼?」

名桐「そういうこと」

海鈴「お腹減ったわー」

男「海鈴さんどう?学校は慣れた?」

海鈴「そらもう。多少は気ぃつこうてにはなるけんど大したもんやあらしまへんし」

名桐「その割には話しかけられたときの笑顔がぎこちないわよ」

海鈴「あかんなあ…」

香椎「先生はな、七原さんとご飯食べてたんですね」

男「ん、誘われてね。暇だったし」

七原「誘ってくださいって目、してましたよ」

男(誘ってくださいって目ってどんな目だよ)

香椎「私も誘えばよかったな…」

名桐「…」凝視

海鈴「食わんと何しとるんや君ら…」

名桐「ハッ」

香椎「ハッ」

男「凄い顔してたよ」

七原「すみません、少し悦に入ってました」

香椎「た、食べましょう」

名桐「ええ、そうね。生徒に手を出す変態教師は放っておきましょう」

男「ええー…」

七原「私は先生が変態でも構いませんよ」

男「な、七原…」

七原「先生…」


香椎「…」じー

名桐「…」凝視

海鈴「え、怖…」



海鈴「…」カチャカチャ

名桐「…あんたよく飽きないわね」

海鈴「ヴァルハンはなあ…青春なんや」カチャカチャ

名桐「灰色ね」

海鈴「やかまし…」カチャカチャ

七原「はー…」

男「凄いねえ」

七原「結構コンピューター強いんですよヴァルハン」

男「そうだねえ…」

海鈴「…ま、こんなもんやろ」カチャカチャ

名桐「ねえ、アンタはゲームとかしないの?」

男「僕?まあ一般人程度かな」

名桐「ふーん…」カチャ

七原「ぽよぽよするんですか?」

名桐「ええ、創が手洗いから戻ってきたらね」

男「懐かしいな、ゲーセンで友達と良くしてたよ」

七原「もうあまり置いてないですよね、商店街のとこ位でしょうか」

男「あそこ結構古いのあるからね、それこそヴァルハンもあるし」

七原「たまにはゲーセンでするのも良いですね、今度行きましょう」

海鈴「どうかんがえても おれ さいきょう」

男「…ヴィクトールね」

海鈴「せや」


………


吉祥「失礼しまーす…お」

黒鹿毛「…どうかしましたか吉祥さん、今は授業中ですが」

吉祥「体調不良でねい」

黒鹿毛「そうですか、ベッド、空いてますよ」

吉祥「それには及びませんよっと」

黒鹿毛「戸ノ内先生は暫く戻って来ないですよ」

吉祥「…それはまたお忙しいようで」

黒鹿毛「ところで先日言ってた古代言語に関しては如何ですか?」

吉祥「受付嬢さんから古代語学や聖籠語の本を借りたんですけどね、中々どうも」

黒鹿毛「調べごとは得てして難航した方が実入りも大きいものです、頑張って下さい」

吉祥「そうは言ってもね…副校長は古代言語話せますよね」

黒鹿毛「『魔族』由来のものでしたら…香椎さんのは大体『魔族』由来でしたね」

吉祥「結構分かりやすいんですよね、文法やら下手すれば同じ単語が使われることもありますし…ただ他国のモノとなると難しいですよね」

黒鹿毛「その筋の人なら読めるやも知れませんが先程の話からすると聖籠国由来の古代言語ですか…受付嬢さんか、紅田校長、若しくは有馬さんで分かるかどうか、ですね」

吉祥「ふーむ」

黒鹿毛「私も見てみないことには何とも言えませんが」

吉祥「取り敢えず見るだけ見ます?」

黒鹿毛「興味深いですね、是非」

吉祥「放課後持ってきますよ、丁度ありますので」

黒鹿毛「ええ、ではここに居ますので」

吉祥「失礼します」


………


岸華「会長」

新田「はい、何でしょう」

岸華「先日の審議書、旧鬼先生の認可を頂きましたので早速近日議題に上げようかと」

新田「早いですね、ありがとうございます。こちらで文面は作るので…今日の仕事は終わりですね、お疲れ様です」

岸華「何かお手伝い出来ることがあれば致しますが」

新田「当面はないですね…六月の校報は印刷まですんでますし、七月の予算組も完了、となれば後は夏休み中の日程を組むぐらいですがこれはそんなに急ぎませんしね」

岸華「畏まりました、では失礼させて頂きます」

新田「あ、御倉島に行く話。楽しみですね」

岸華「楽しみですね、色々と…」

新田「どうですか、二年になって部活の方は」

岸華「そうですね…一年の二人も優秀ですし、新しい顧問も…悪くは無いですよ」

新田「ふふ、そうですか、それはそれは…ではそう言うことで」

岸華「はい、失礼します」


新田「悪くない、か…ふふふ」



香椎「ぽよぽよふぃーばー」

名桐「少し上手くなったわね」

香椎「れ、練習しました…」

名桐「やるじゃない」

香椎「…あっ」

名桐「どじっ娘ねえ…」

香椎「うう、ジュゲムまで組めたのに…」

名桐「おーっほほほ、おかわり、する?」

七原「あ、ルルル」

海鈴「…どっちかてえっとラフィナやと思っと」

名桐「何か言ったかしら」

海鈴「ナンデモナイデス」

七原「じゃ、私たちもしますか」

海鈴「いっちょ揉んだるでー」



岸華「えーっとこっちはこうで…っと、吉祥さん」

吉祥「おう岸華、生徒会か?」

岸華「ええそう、皆が素敵な学園生活を送れるように頑張ってるの」

吉祥「わーお素敵」

岸華「で、貴女は何してるの?」

吉祥「保健室にね。体調不良、体調不良」

岸華「…そう、体には気を付けなさいよ」

吉祥「はいはい…あ、部室誰も居ないからな今日」

岸華「そう、ありがとう」


吉祥「失礼しま…す」

黒鹿毛「どうぞ」

吉祥「提出物があってね、捕まっちゃった」

黒鹿毛「…そうですか」

吉祥「で!早速これが例のブツでしてね」

黒鹿毛「これは…確かに聖籠国の古代言語とおぼしき…ふむ」

吉祥「戸ノ内先生にはもう見せたのですがね」

黒鹿毛「そうですか、これは戸ノ内先生でも分からないでしょうね。一見では」

吉祥「どうですか」

黒鹿毛「…………一部読めなくは無いですね、これをどこで?」

吉祥「斯斯然々」

黒鹿毛「引っ越しの荷物に紛れ込んでたと…」

吉祥「そう言うわけで身に覚えが無いんですわ…何て書いてます?」

黒鹿毛「合ってるか確証は得られませんが」


黒鹿毛「『コシューシュカ』とここに」

吉祥「『コシューシュカ』…ですか」

黒鹿毛「この言語なら喋ることは出来ますが読み書きは私では難しいですね」

吉祥「さいですか…意味は何ですかね」

黒鹿毛「人名ですね」

吉祥「ふーむ『コシューシュカ』ですか…知らないなあ」

黒鹿毛「後は…『魔術』関連の記載でしょうか、何らかの術式かと」

吉祥「それは何となく分かるんですがね…ありがとうございました」

黒鹿毛「申し訳ないですね、力に慣れず」

吉祥「うにゃ、私の興味本意なのでお気になさらず」

黒鹿毛「また何かあったらお願いします」

吉祥「勿論です、失礼します」


黒鹿毛「……あれなら戸ノ内さんは読めたはず。そして『コシューシュカ』、ですか」

黒鹿毛「私が思ってるより大変な事態かもしれませんね」

紅田「だね」

黒鹿毛「きっちり読めました?」

紅田「ん、一言一句ね」

黒鹿毛「なんとありました?」

紅田「あれはねーーーだね、怖いもの持ってるなあ」

黒鹿毛「そんな…まさか、いや確かに…異質と言えば…」

紅田「私も知らなかったよ」

黒鹿毛「…戸ノ内さん、どこに行ってますか」

紅田「う…しまった、面倒ごとになってなければ良いんだけどー」



岸華「…」ガラッ


岸華「居ないわね、ふう…」


落ち着きたい時はこの部屋で一人になる、入学してこの部屋の存在を知ってからの習慣。赤田先生がここを知ってると聞いてからも利用してるのは多少の下心が私にあるのかも、しれないわね


岸華「…ふふ、ふぁ」


気付いたら眠りに落ちていた


??『何笑ってるのよーもう…』

??『いや笑ってないよ…ははは』


岸華「っ…誰っ!」


男「あ、起こしちゃった?ごめんね」

岸華「あ、先生…あれ…今何か話してた?」

男「え?黙ってたけど…うるさかった?」

岸華「…何でもない、それより何でここに」

男「部室誰もいないしもしかしたらと思ってね」

岸華「…馬鹿ね、私そうそうここには来ないのよ」

男「今日はいる気がしたんだ」

岸華「…あっそ。無駄な自信ね、羨ましいわ」

男「ははは、酷いなあ」

岸華「ふう…」

男「あ…」

岸華「?何よ人の顔をじろじろと」

男「岸華さん、口…」

岸華「口?はっきり言いなさいよ」

男「よだれが…」

岸華「えっ………」ごしごし

男「くっくっ…」

岸華「何笑ってんのよ」

男「いや笑ってないよ、ははは」


岸華(…あれ)


岸華「…まあいいわ、なんでここに来たのよ」

男「時間が少し空いたからね、やっぱりここが落ち着くんだよね」

岸華「…私も、です」

男「だよね、ははは」

岸華「…何ですか」

男「?」

岸華「何でそんなに何事も無かったように話せるんですかっ」

男「こないだの話、かな」

岸華「…はい」

男「まあ…端的に理由をのべると」


男「岸華さんは論外かなあ」


岸華「うはあっ!…はぁはぁ、げほっ」

岸華(う、嫌な夢見ちゃった…帰ろ)

岸華「うえ、よだれが…」

岸華「…グスッ」


……………


紅田「…お、来たかな」

海鈴「おまっとおさん」

紅田「うにゃ、そこにかけて」

海鈴「ほい」

紅田「端的に聞こう、君は湖舟派?それとも湖舟家派?」

海鈴「…そないなことも知っとーとですか」

紅田「伊達にながく生きては無いからね」

海鈴「さよか…ま、うちは瑞哭の人間やさかい湖舟さんにはご恩がある」

紅田「ふむ」

海鈴「で、湖舟家とは何の関わりもあらしまへん…以上や」

紅田「そっか、じゃあもうひとつ」

海鈴「ほい」

紅田「湖舟の跡取りの話とか聞いたことある?」

海鈴「そないなもん無いですわ、そもそもうちは湖舟さんにはおうたことば無かとよ」

紅田「あれ、そうなの?今『魔術』指南についてるって聞いてたけど」

海鈴「ああーそら軍隊に入った人しか受けられんみたいですわ」

紅田「へえー、そうなんだ…まあうちも岸華さんがそうそうこないのと同じか」

海鈴「せやから詳しゅうは無いんやけど…これはうちの国の都市伝説みたいなもんやけどな、湖舟さんはその昔の大戦の頃から生きとって聖籠を裏から支配しとる…ゆう話もあったりするわ、実際湖舟グループの上が誰か何てうちらは知らんし」

紅田「ふむ」

海鈴「じゃけん仮にその話が本当やとしたら跡取りなぞはおらなんだな…」

紅田「…面白い話だねえ」

海鈴「ま、つまらん小噺や」

紅田「いや、有意義だったよ、ありがとう」

海鈴「あー…ほなうちからも一つ質問があるけんどかまへん?」

紅田「どうぞどうぞ」

海鈴「あのー第二野球部の顧問の赤田先生やな、あの人の来歴教えて欲しいねんけど」

紅田「友紀君の?それは本人に聞いた方が良いんじゃないかなあ」

海鈴「そう思うたねんけど忘れはったみたいでなあ…少し興味あんのやわ、いかんか?」

紅田「本人が忘れてるならそれで良いじゃない、ね?」

海鈴「面倒なんやろ」

紅田「うっ」

海鈴「…まあこっちも無理に聞いとるわけや無いしほんの好奇心や」

紅田「…君が知りたい来歴ってのはどこの小学校を出て、とかどこの大学で、とかかな?それなら本人もわかるはずなんだけど」

海鈴「ちゃうねん、それも大事やけど本当に知りたいのは…生まれや」

紅田「…どこかってこと?」

海鈴「せや」

紅田「…今のところ過去一度も国外にいたことは無いよ彼は」

海鈴「…ほんなら育ちはこの国いうことやな」

紅田「産まれもね」

海鈴「……さよか、手間とらせたわいな」

紅田「君も、生まれはこの国でしょ?」

海鈴「さあ?どないやろな…ほな失礼」


紅田「うーん」

黒鹿毛「どうされました」

紅田「若いコの勘って侮れないなあって…」

黒鹿毛「年寄りみたいなこと言いますね」


……………


男「忙しい」

男「夏休みまで後一ヶ月を切ったし皆ウキウキしてるようだが」

男「僕は今結構忙しい」

男「はあ…」


と、言うのも最近部活関係で出回る事(主に戸ノ内先生の代役)が多いためである


男「戸ノ内先生、結構色々してたんだなあ…早く帰ってこないかな…」


戸ノ内先生が居なくなってから一週間が経っていた。学校自体は特に影響は無いようで、副校長が保健室に常駐しているらしい


男「ガンバルゾー」

名桐「人に頼ってたことを知ると如何に己が無力だったかわかるわね」

男「あい…」

名桐「しかしアンタは大丈夫なの?部室にも顔出してないみたいだし」

男「え、たまにお昼は食べに行ってるけど」

名桐「それくらいじゃない、もう少し乙女心の機微というか…ま、言うだけ無駄ね」

男「?」

名桐「その顔やめて。無理はしないことね」

男「重々承知してるよ、ありがとう」

名桐「べっ、別にあんたにお礼言われたところでそんな…ふん」

男(かわいいなあ)

名桐「じゃあこれとこれ、小窪に渡しといてね」

男「了解、ありがとう」

名桐「ええ、よろしく」


男「忙しいなあ…」

黒鹿毛「友紀さん、郵便届いてますよ」

男「ありがとうございます、どこからですかね」

黒鹿毛「一通は……ああ今度の大会に関しての書面ですね。注意事項等ありますので部内での通達をお願いいたします」

男「承知しました」

黒鹿毛「もう一通は……書いてませんね」

男「そうですか、ありがとうございます」

黒鹿毛「いえ」

男「誰からかな…?」ぺりぺり

男「…なんだこれ」

旧鬼「お?何だその写真」

男「わっ、き、旧鬼さん」

旧鬼「隠すなよ、見れないだろっと」

男「や、やめてください…」

旧鬼「ぐへへへ、減るもんじゃあるまいし」

男「何言ってるんですか」

旧鬼「いーから見せなって…ん?」

男「あああ…」

旧鬼「これは…岸華、こっちは香椎…か?で、お前が一緒に写ってる…」

男「な、なんで」

旧鬼「盗撮だな」

男「それはわかりますがな、なぜ!誰が!」

旧鬼「そして何故学校に送りつけたか…」

男「怖いです」

旧鬼「そうだな…うーんどうしたもんか」

男「…」

旧鬼「なんにせよ、だ。このままじゃあ問題になるな…」

男「そう、ですよね…」

旧鬼「ともあれ本人に話を聞かねばなるまい」

男「そうですね…」

旧鬼「ここじゃなんだから放課後部室にでも岸華と香椎を呼んでくれ」

男「誰が何の目的でしたかわかれば…ですね」

旧鬼「ああ、写真だけか?」

男「はい、そのようですね」

旧鬼「ふーむ…わかった、じゃあ放課後」

男「すみません、お願いします」



吉祥「遅刻遅刻…お?」

「…」コソコソ

吉祥(怪しい)

吉祥「ま、いいか」

吉祥「遅刻遅刻~っ」


吉祥「せーふっ」

黒鹿毛「…」

吉祥「おふ…」

黒鹿毛「遅刻申請は上げておきました、直ぐに校長室に来てください」

吉祥「え、はい」


吉祥「あのう…失礼します」

紅田「お、来た来た」

有馬「遅いぞ吉祥」

受付嬢『お茶です』

吉祥「げっ…お偉いさん揃い踏みですか…」

黒鹿毛「座りなさい」

吉祥「はいよ…」

吉祥(ついに退学か…?)

黒鹿毛「違います」

吉祥「おほっ」

有馬「実はな…」


吉祥「マジなのだすか」

有馬「大真面目だ」

受付嬢『私共も始め聞いたときは信じられませんでしたが…』

紅田「ねー」

黒鹿毛「先日の術式の内容が本物と…判明いたしまして急遽ですがこちらとしても対策をせねばならなくなりまして」

吉祥「そんな馬鹿な…いや、先生方が言うなら本当なんだろけど」

有馬「でだ、お前夏休みに母方の実家から召集を受けたといってたよな」

吉祥「ええ、確かに手紙が届いたので」

有馬「そうか…」

黒鹿毛「有馬先生が送る、という話になってましたがそれは変わりません。しかし…」

吉祥「何となくピンと来ましたよ、海鈴が来たのもその余波ですかね」

紅田「確定はしてないけどねー、多分…」

受付嬢『こちらが取りまとめた書面です』

黒鹿毛「近日中に会議で対策をまとめますので」

有馬「…俺一人でも事足るとは思うが念のためな」

黒鹿毛「面倒だと思いますが外交問題にもなりかねないので…協力願います」

吉祥「はーわかりました…で、お代はいかほどいただけるんで…?」

有馬「馬鹿言うな」


………


受付嬢『ふん、ふふん』

香椎「ど、どうしたんですか…ええと」

受付嬢『受付嬢さんでいいよー』

香椎「…受付嬢さん」

受付嬢『応援してるチームのスクラップを作ってるのだ…これが中々難しい』

香椎「そ、そうですか…」

受付嬢『逆に香椎ちゃんは何でここに?』

香椎「え、ええと…その、小用で…」

受付嬢『そーですかあー…ふんふふん』

岸華「香椎さん、見つかった?」

香椎「あ、いえそのまだ…です」

岸華「…まあこんなに数あるものね、いいわ。後は私でするから」

香椎「い、いえ!て、手伝わせてくださいっ」

受付嬢『何してんのさー』

岸華「過去の記録を探してまして」

受付嬢『ほ、第二野球部のー?』

岸華「いえ、学校自体のですね…日誌のようなモノがあれば良いのですが」

受付嬢『何時の?』

岸華「五年ほど前のモノですね」

受付嬢『…ええと、ここには無いよー』

岸華「え…」

受付嬢『知ってるかどうかは知らないけど五年前は…』

岸華「…知ってます、最悪ながらうちの姉が深く関わってますので」

受付嬢『そーだったけ?ははは』

岸華「は、はい」

受付嬢『ん?えーっと五年前か…うわっ』

香椎「!?」

岸華「!?」

受付嬢『駄目です、わかりました!言いません!』

岸華「…わかりました、ありがとうございます」

香椎「え、そ、そんなっ」

岸華「行きましょう」

香椎「は、はい…」


香椎「ど、どうしてですかっ、赤田先生について調べるんじゃ…」

岸華「…受付嬢さんがこの学校でどのような立ち位置かは知りませんが第二野球部に深く関わってることは確かです」

香椎「あ…じゃ、じゃあその受付嬢さんが言えないってことは…」

岸華「うん、多分上の人に止められてるってことね」

香椎「それって…」

岸華「理由はわからないけど何かしら隠したい事がある…ってことかもね」

香椎「…と、ところで五年前って何が有ったんですか?」

岸華「あ、そっか。香椎さん達は知らないのか…と言っても私も姉に聞いた位だけど」

香椎「お、教えて欲しいです」

岸華「…正直身内の恥だから余り大きな声じゃ言えないんですけど」

香椎「む、無理にとは言いませんので…」

岸華「良いのよ、私の姉が五年前第二野球部にいたのは知ってるわよね」

香椎「は、はい。光さん…ですよね」

岸華「そう。その時はまだ旧校舎も完全閉鎖とはなって無かったらしいわ」

香椎「はい」

岸華「まあ…ことは簡単なんだけどね。」

香椎「と、いいますと」

岸華「あれが…そのー『魔術』を使った拍子に校舎ごとぶっ飛ばして…地下以外は形だけ直したけど結局耐震やらなんやらで使わなくなった、ってわけよ」

香椎「なんとなく…わかりました」

岸華「本当身内の恥なのよね…」

香椎「そんな…まあ確かにですね」

岸華「そうなのよね…」


………


男「…」

香椎「…」

岸華「お待たせしました」

男「ああ、ちょっと座って待っててね。旧鬼先生が来るから…」

岸華「はい、先に御用件を伺ってもよろしいですか?」

男「あー…ごめん、旧鬼先生が来たときに一緒に…」

岸華「わかりました」


旧鬼「悪い待たせた」

岸華「いえ、丁度今私も来たところで…何用でしょうか」

旧鬼「なんだ赤田、まだ言ってなかったのか…ま」


旧鬼「ちょっと見てもらいたいものが有ってな」


カミングスーン


何だかキナ臭い話がここそこで起こってるみたいで嫌になりますぜ…ま、なんとかなるでしょっ!斯くして遂に七月に突入するんだがいやはやもう少し穏やかにいけないもんですかね…無理?まあ無理には言わないけどさー…次回「ヒンバン」あ、ところでそろそろ進展がみたいんですがね。いやこれは無理にでも(吉祥)

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