第十六話

吉祥「ふぁー眠」

吉祥「…何時?」


十時五十二分


吉祥「今日は…昼からだな!」


第十六話 カクサク


吉祥「あー怠い怠い」


小雨が降るなかのんびりと歩を進めるのは嫌いではない


吉祥「しかし曇りってのはなあ…気が滅入るよ」


吉祥「おはようございまー…こんにちは」

「また遅刻か」「何してんだアイツ…」「留年すんじゃない?」

吉祥「ははは」


単純に朝起きるのが面倒なだけである


吉祥「薬!」

戸ノ内「はいヨー」

吉祥「不味っ」

戸ノ内「ははは」


吉祥「ほい反省文」

旧鬼「…遅刻か」

吉祥「ええ」

旧鬼「一学期だぞまだ…」

吉祥「ちゃんとあと何日遅刻できるかは計算してますよ」

旧鬼「そうか、ならいい」

吉祥「ふははは」


香椎「凄いですよね、吉祥先輩」

名桐「あれのどこが凄いのよ」

香椎「え…遅刻しても堂々としてたり課題も出さないし授業でも寝てるそうですし…」

名桐「それ、見習っちゃ駄目だからね」

香椎「そ、それはそうですけど…一度は堂々とサボってみたいんですよねー」

名桐(破滅的願望があるのかしらこの娘)

名桐「やめときなさい、ロクなことにならないわよ」

香椎「そ、そうですよね…」

名桐「教師陣がそこまで強く言わないのもあるけどね」

香椎「はえ、なんでですか?」

名桐「ああそれはね、吉祥が一年の時の話なんだけど…」

七原「気になります」

名桐「そう?あれは一年の二学期だったかしら…」


……………


吉祥『え!じゃあ学年一位になったら飯奢ってくれるんですか!』

『おおやってみろ』

吉祥『ふははは』


……………


名桐「それで学年一位になっちゃったり」

七原「ええ…」


……………


吉祥『え!相手をぼこぼこにするだけで賞金が貰えるんですか!』

『そうだけど強いぞ?中にはプロで活躍してる奴もいるし…』

吉祥『ふははは』


……………


名桐「それで格闘技の大会で優勝しちゃったり…岸華も出てたのよ?それ」

香椎「ええ…」


……………


吉祥『え!文化祭でお金が貰えるんですか!』

『だから!プロから認められたら相応の出資があるってこと!』

吉祥『ふははは』


……………


名桐「それでソロで十五分、ボーカルはもちろんトランペットだとかピアノだとかでも出資を受けたり…」

七原・香椎「ええ…」

名桐「ようはやればできるやつってのは全員知ってるのよ」

七原「はー…しかし多才ですね…」

香椎「す、凄い…」

名桐「来るのが遅いのも本人曰く色々研究してる、らしいわよ…どこまでが本当か知らないけどね。憎たらしい奴なのは本当だけど」

七原「はー…」

香椎「はへー…」



吉祥「へくしっ」

男(お、風邪か?)

吉祥「はーこりゃ面倒な…」

吉祥「うーむ…」


吉祥「お、ラッキーヒット!回れ回れー」


男「部室で何してるのさ…」

吉祥「野球部らしく野球ゲームを」

男「あ、そう…」

吉祥「で、何?…げ、ゲッツ~」

男「え?あーいや特に」

吉祥「はあ…なんで君みたいなのがモテるのかね」

男「え」

吉祥「私もそんなに、悪くないと思うんだけどなー」

男「まあね」

吉祥「比較対象が岸華とか名桐なのが悪いんだよなこれは…」

男「でもどこかに吉祥さんの事が好きな人がいるかもよ?」

吉祥「どうだろうねい、私がさつだしめんどくさがりだし」

男「逆に言えば取っつきやすいしマイペースだよ」

吉祥「わざわざ逆に言えばね」

男「まあ…それはそうだけど」

吉祥「別に悲観はしてないがね」

男「ははは、それなら大丈夫だよ。いつかいい人が見つかるって」

吉祥「かねえ」


……………


そんなある日


吉祥「…なんだこれ」

名桐「なによ…手紙?」

吉祥「」バッ

名桐「なんで隠すのよっ見せなさいよ」

吉祥「嫌だね」

名桐「はっならいいわよどうせ不幸の手紙か呪いの手紙よ」

吉祥「…ふん」ぺらっ


本日午後六時南原西公園にて待つ


吉祥「…果たし状じゃねーか!」

名桐「…やっぱり」


岸華「で、どうするの?」

吉祥「行かねーよ、面倒な…」

岸華「もしかすると硬派な人かもよ?照れ屋さんとか」

吉祥「だとしてもこれなあ…」

岸華「私もそういうラブレター貰ったことあるもの」

吉祥「お前凄かったよな入学当初から」

岸華「断るのに難儀したわ…でも、私より凄い人がうちにはいるじゃない」

吉祥「…部長?」

岸華「そう、生徒会長の役務の合間進学の勉強をしつつ部活の申請やら大会の準備もしつつその間隙をぬって男供を振ってるのよ」

吉祥「尊敬するよ、いや本当に」

岸華「去年あったじゃない、部活の移動中に他校に絡まれたことも」

吉祥「あああったね」

岸華「ぼこぼこにしたけど…」

吉祥「あれは相手が悪い」

岸華「今年になっても卒業するってことで下級生からのラブメールが途絶えないようだし…凄い人気よね」

吉祥「才女にして最強、そして老若男女を問わない人気に求心力…まさに才色兼備のビックリ人間だな」

岸華「そうよね…」

吉祥「お前ももう少し裏表がなけりゃな…」

岸華「誰が裏表があるって?」

吉祥「そういうとこだぞ」


吉祥「でもお前誰かと付き合った事とか無いじゃん、それで私に意見できんのか?」

岸華「うるさいわね」



七原「この学校に入ってならラブレターは貰ったことないですけど告白されることなら」

吉祥「えー…七原も?」

七原「私も自分が高校入ってこんなに告白されるとは思ってませんでしたよ」

吉祥「誰かオッケーしたの?」

七原「いえ、他に好きな人がいますし、そんなにタイプじゃ無かったので…正直」

吉祥「全員振ったのか」

七原「はい」

吉祥「そりゃ凄いな、人気者め」

七原「そ、そんな…それをいうなら創ちゃんの方が凄いですよ。なんせ親衛隊を自称するグループがありますからね」

吉祥「ああ、聞いたことあるぞそれ」

七原「一年から三年までいて鉄の掟により抜け駆けや創ちゃんを汚すような行為を禁じてるようです…そのおかげか告白だとかラブレターは貰ったことが無いみたいですけどね」

吉祥「モテる、とは少し違うが…凄いな」

七原「どちらかと言うと庇護欲を掻き立てられるんでしょうね」

吉祥「成る程」

七原「しかし何故急に恋愛の話を…?」

吉祥「いや実は…」


七原「…果たし状ですかねそれは流石に」

吉祥「いやどうだろう、この時代果たし状なんて律儀に古くさいアホみたいなモノを出すか?出さないだろ…」

七原「どうですかね…」


………


吉祥「行くか…」


岸華「動いたわよ」

名桐「鬼が出るか蛇が出るか…」

七原「吉祥先輩には悪いですけど…楽しみですね」


吉祥「西公園だったな…もう嫌な予感」


「ほー約束通り一人で来たみてえだな」「ぎゃははは」「ぶっ殺しちまいましょうよ」


吉祥「……少しでも期待した私が馬鹿だった」

「まあ聞け、今日呼んだのはちゃんと理由があるからな…お前、こないだゲーセンでうちのもんに喧嘩売ってくれたよな?」

吉祥「…御託?」

「馬鹿が…やれ」「ひょほほほ!」「オラオラッ」「よく見たらいいツラしてんじゃねえか、げへへ」


岸華「…」

七原「…」

名桐「…案の定、ね」


吉祥「…」

吉祥(『魔術』は使わん方が良いよな、パンピー相手だし)

吉祥「怠いな」


ゴッバキッドガッ


吉祥「雲梯の振り回し、ブランコを添えてです」


岸華「揚げ浸しみたいに言わないで欲しいわね」

七原「さらっと土台ごとぶち抜きましたね…」

名桐「うわアレ骨折れてるんじゃない…?」

吉祥「いや、そこは手加減して加速ブレーキ圧し当てのサイクルだ」

名桐「うわっ」

岸華「早かったわね、振ったの?」

吉祥「ん、ああ振ったね。盛大に」

七原「瞬殺じゃないですか…」

名桐「やるわね」

吉祥「ん?つまりこれも実質告白みたいなもんだよな…うん」

名桐「いやそれは違うから」



香椎「で、では!今日の料理は大成功ということで!」

男「美味し、美味しかった…」

香椎「ふふ、良かったです」

男「しかし凄いな、どうしてそんなに料理が上手いのか…」

香椎「あ…小さい頃からその…食事が好きで、じ、自分で作れるようになりたいなあ、と思い中学の頃からこつこつと…そ、そういう訳なんです」

男「うーんやっぱり日々の努力が大事だね」

香椎「そ、そうですね。後は試行錯誤と分量はちゃんと守ること…後、愛情、です」

男「ああ愛情ね、一番の隠し味って言うもんね」

香椎「そ、そうですよね」

男「つまりこの料理がこんなに美味しいのは香椎さんの愛情が詰まってるってことかな」

香椎「…そうです」

男「え?ん?それはどういう…え?」

香椎「わ、私が…先生を大事に思ってるからぁ…お、おいしくなった…かも?」

男「…ありがとう、香椎さん。嬉しいよ」

香椎「ひゃう」


香椎(…)


……………


紅田「と、いうことで配備が演習に間に合うようにしたから後日軍に連絡入れるよ」

光聖「ありがとうございます、では失礼します」


光聖「…」

男「こんにちは」

光聖「はい、こんにちは」

男「もしかして岸華さんの…ご家族の方ですか」

光聖「母です。娘がお世話になってます」

男「あ、いえいえ、こちらこそ。第二野球部顧問の赤田です」

光聖「あら、貴方が…そうね、部室に案内してもらいたいのだけれども、よろしいかしら」

男「はっはい、こちらです!」


男(滅茶苦茶似てる…岸華さんが成長したらこんな感じなのかな…)


男「すみません、ここです」

光聖「はしごも上るのね」

男「ええ」

光聖「…ふう」


男(ヤバい…色気ヤバい…)


男「失礼します」

吉祥「んー…わっ」

男「あれ、吉祥だけか」

光聖「急な訪問で申し訳ないわね」

吉祥「き、岸華…光聖さんですよね」

男「あれ、知り合い?」

吉祥「私のようなアングラ『魔術』使いにとっては雲の上の存在なの!」

男「え?」

光聖「そこまで言われると照れるわね」

男(照れるんだ…)

吉祥「まさかセンセーこの人がどんな人か知らないのか?」

男「え、うん岸華さんのお母さんでしょ」

吉祥「………これ」

男「なにこれ」

吉祥「第二野球部の年一発行の活動報告書」

男「…これ、光聖さん?」

光聖「あら懐かしいわね」

吉祥「後色紙にサイン下さい」

光聖「ええ」サラサラ

男「と、いうことは…」

光聖「一応私も『魔術』が使えるわ、しかし貴女詳しいのね。まるで、有識者」

吉祥「いえ…そんな…はは」

男「そうだったんですね…」

吉祥「で、この国の軍隊のトップ」

男「…えっ、でも軍のトップは大臣なんじゃ」

光聖「あれはあくまでも責任をとる人よ、現場で指示を出したりするのは私…と言っても与えられてる権限は特務大隊だけですが」

吉祥「つまりこの方は南鳥国大将ってこと…」

光聖「一般には公開されてないもの、知らないのも無理がないわ」

吉祥「うわあ感激だなあ…しかし何用でこんなところに…?」

光聖「そうだった、赤田さん。貴方に少し聞きたいことが有るのだけれども良いかしら」

男「え、ええ勿論です」


光聖「貴方は『魔術』に関してどう思ってるのかしら」


男「『魔術』に関して…ですか。…この部活の顧問を任されるまで存在こそ知ってましたが実際目にしたのは初めてでしたから」

光聖「伺ってるわ」

男「元々は『そういうことが出来る人もいるんだな』程度に考えてました。だけど今こうして『魔術』を使える人や、その内実を知った事で稚拙ですがひとつの可能性に至ってます」

光聖「それは?」


男「『魔術』が使える事が個性の一つであってほしい…です。以上です」


光聖「…わかったわ、ありがとう」

男「すみません、少し緊張してしまって」

光聖「大丈夫よ、貴方も元々はここの生徒だったのよね。教師になって当時の先生が『魔術』が使える人だったと知って驚いたんじゃないかしら」

男「そうなんですよ。私が知りうる限りでは紅田校長、黒鹿毛副校長、戸ノ内養護教諭…後有馬先生ですかね、いや驚きましたよ全く当時は知らなかったので」

光聖「あら、紅田校長は『魔術』は使えないわよ」

男「えっそうなんですか」

光聖「ええ」

男「知らなかった…凄く知識もあって大会の運営ですとかもされてるのでてっきり…」

光聖「それだけあの人は優秀なの、ふふ」

男(あ、笑った…笑うと一層岸華さんに似てるな…)

光聖「あら、もうこんな時間ね…ありがとう、帰るわね」

男「あっお送り致します」


男「すみません、大したもてなしも出来なくて」

光聖「いえ、良いお土産を頂きましたので」

男「?」

光聖「それでは、また。娘をお願いします」

男「はい!今後ともよろしくお願いします!」


吉祥「…何が目的であんなことを聞いたのかな?新しい顧問になったって聞いて岸華の事を心配したとか?」

男「どうなのかな?わからないけど…なんか凄い人と話しちゃったなあ」

吉祥「いやホントに…あの人滅茶苦茶凄い人なんですよ…」


………


吉祥「いやー驚いたよ…放課後の珍事だな」

岸華「な…な、何で!」

吉祥「そりゃ私にはわからんが」

岸華「何してるのよお母さん…!」

吉祥「サイン貰っちゃったよ」

岸華「あんたも何してるのよ」

吉祥「だってアレだぜ、当代一の『魔術師』にして特務大隊の総指揮官」

岸華「はあ…嫌ね、全く」

吉祥「で、センセーに『魔術』とはなんぞやという会話をしててね」

岸華「そこよ、なんで赤田先生に会ってるわけ?」

吉祥「本人に聞けよ…」

岸華「赤田先生もわからないみたいなのよね」

吉祥「いやそっちじゃなくて」

岸華「…お母さんに聞けってこと?」

吉祥「そーいうこと」

岸華「……教えてくれるかな」

吉祥「でもそうでもしなきゃわからんぜ」

岸華「そうね、聞くだけ聞いてみようかしら」

吉祥「さいでんな」


岸華(とは言ったものの、うちの親そうそう帰って来ないのよね…)

岸華(それにしても来るなら来るで私に言っておけば良いじゃない)

岸華「はー…」


………


岸華「ただいま」

光聖「おかえり」

岸華「うわっお母さん居たの…」

光聖「実の親に向かってうわは無いわよ聖」

岸華「珍しいから驚いたの。それに学校に来たって本当?何しに来たのよ」

光聖「それに関して話があるわ」

岸華「…何よ」

光聖「彼氏、大事にしなさいよ」

岸華「…は?」

光聖「それだけ」

岸華「ちょ、ちょっとお母さんっ」

光聖「忙しいのよ」

岸華「私の彼氏って誰のこと言ってるのよっ!」

光聖「誰って…赤田先生よね、顧問の」

岸華「え?」

光聖「え…?」


光聖「え…?」


光聖「付き合って…無いの?別にからかったりしないわ」

岸華「付き合ってません」

光聖「………ああ友達以上恋人未満ってことね」

岸華「それも別に違うわよっ」

光聖「………わからないわ、お母さんには最近の若者の事が」

岸華「だから先生とは生徒と教師、これ以上の関係じゃないの!」

光聖「デートしたって聞いたわよ」

岸華「なっ…誰にっ」

光聖「デートしたのは本当なのね」

岸華「うぐ」

光聖「良いじゃないの、学生の甘酸っぱい青春」

岸華「青春とか甘酸っぱいとかお母さんが言わないでよ…まさかそれで学校まで行ったの?」

光聖「いいえ、元々は紅田校長に用が有ったからよ。そしたら帰りがけにその先生に声を掛けられたの。聖の家族の人ですかって」

岸華「で、ついでにどんな人間かみたって訳ね…悪趣味ね」

光聖「ええ。自分の娘の彼氏がどんなのか親はいつでも気になるモノなのよ」

岸華「だから彼氏じゃないって…」

光聖「気になってるのでしょう?自分の娘の性格くらいわかってるつもりよ、私は」

岸華「…」

光聖「ごめんね、これ以上はあの先生に声かけることも関わることも無いだろうから、安心して青春すればいいわ」

岸華「…そう」

光聖「あ、でも聖が卒業してくっつけば先生のお義母さんになるから、そうなったらまたよろしくしないと悪いわね…」

岸華(この親は…)


………


吉祥「おはー」

岸華「おはよう」

名桐「おはよう」

吉祥「で、この間の件。わかったのか」

名桐「何よ」

吉祥「いや岸華の親がここに来てだな、センセーと喋ってたんだよ。その理由さ」

名桐「ふーん、気になるわね」

岸華「……挨拶ね」

吉祥「なんだシンプルだったな」

名桐「ふーん、まあそんなものでしょ」

岸華「ええ、そんなもんよ」


岸華(将来…また今度は私とお母さんとで先生に挨拶すること、あるかな…)


吉祥「ところでお前岸華の親何してるか知ってる?」

名桐「知らないわよ、逆になんで知ってると思ったのよ」

吉祥「あ、そう」


………



男「気をつけて帰れよー」

七原「先生お疲れ様です」

男「七原さんは今日部活行くの?」

七原「そうですね、行こうと思います」

男「うん、じゃあ、僕も顔を出そうかな」

七原「わかりました…しかし久々に晴れましたね」

男「うん」

七原「もう梅雨も明けましたし…海でも行きませんか、先生水泳好きですよね」

男「あーいいな…泳ぎたいな…」

七原「じゃあ決定ですね」



七原「失礼します」

新田「七原さん、こんにちは」

吉祥「お、ようやく来たか」

男「ああ七原、ちょっと来てくれ」

七原「?はい」

男「この日な、皆予定が無いそうだから海に行けるぞ」

七原「えっ」

男「ん?海に行くんじゃ無かったか」

七原「そ、そうですけど…」

七原(二人で行きたかったな…)

香椎「い、良いですね海…」

岸華「ええ、たまには良いわね」

新田「んー折角なら遠出したいですよね」

男「そうだね、車は七人乗りだから皆乗れるよ」

吉祥「なら…ここかな」

岸華「御倉島ね、うん良いんじゃないかなキレイだし」

香椎「あ、ここ、いいですね…」

新田「しかし…水着を買わないといけませんね」

香椎「そ、そうですね」

岸華「私も中学の頃のしかないし…」

七原「競泳用のなら持ってますけど…」

吉祥「それはやめとけ…じゃ、皆で今日今から買いに行かない?」

岸華「そうね、折角だし」

香椎「わ、私のも選んで欲しいですし…そうしたいですっ」

新田「ええ勿論」

七原「いいですよ、実は駅前のスポーツ用品のショップに新型のレース用のが」

吉祥「やめとけ」

男「じゃ、行ってらっしゃい」

吉祥「センセーも来るんだよ、ね?」

男「ええ…」



吉祥「では今回のルールを説明します」

岸華「好きなのをいくつか選んで集合。以上」

新田「先生にはどれを買うかは…ナイショですよ」

香椎「」こくこく

吉祥「ま、本番の楽しみにでもしててくれ」

男「は、はーい…じゃあその間は僕も自分の水着を探してくるよ」


香椎「み、皆で買い物なんて初めてですね」

岸華「ええ…まさかこうして皆で買い物したりどこかに出かける事になるなんてね」

吉祥「…一年の頃のお前じゃ考えられなかったな」


七原「あ、これいいな」

新田「スポーツ用は駄目よ」

七原「えっ」


男「うーん、どれにしようかな…」


岸華「これなんてどうかしら」

香椎「こ、こんなのほぼほぼ裸じゃないですかっ」

吉祥「ならこっちだな」

香椎「そ、それも大概ですよっ」

新田「あ、それ良いですね」

岸華「え…」

吉祥「え…」

新田「?」


吉祥「北機ではあれがノーマルスタイルなのかな」

岸華「かも…」


七原「うーん…」

香椎「き、決まった?」

七原「中々これというのが無くて…創ちゃんは?」

香椎「わ、私も…」

七原「…ところで創ちゃん、水着のサイズってどれくらい?」

香椎「大体えっく…」

岸華「…」

香椎「…どうしたんですか、岸華先輩」

岸華「…いえ、別になんでもないわ」


岸華「この胸が!この胸が悪いの!?」

吉祥「諦めろ、戦力が違いすぎる」


男「…皆楽しそうだなあ」ホロリ



香椎「よ、ようやく選べました…」

七原「じゃあ試着しよっか」

新田「ええ、お先に」

岸華「吉祥さん、どうしたの?」

吉祥「いや…その…ごにょごにょ」

岸華「別に誰も気にしないわよ、そもそもサイズを見るだけなんだから私達に見せる必要は無いわよ」

吉祥「…まあ、そうねえ」

七原「どうしたんですか?」

岸華「アンダーヘアを処理して無いそうよ」

七原「えっ…」

吉祥「さらっと大嘘つくなよお前…」

岸華「普段のお返しよ」

吉祥「ぐぬ…」


<きゃっ引っ掛かっちゃった

<大丈夫?………大丈夫そうね

<うーん少し控えめ…かな?うん

<それでですか…

<駄目だこれ…ワンサイズ大きいのじゃないとキツい…

<良いじゃない、それくらいがかわいいのよ

<ぶ、部長それはやめときましょうよ…ほぼ丸見えじゃないですか

<え?


男(…役得役得ゥ!)


………


吉祥「すったもんだ有りましたが無事全員買えましたね」

新田「もう少し肌をだしたかったですね」

岸華「駄目ですって」

香椎「可愛いのがあって良かったあ」

七原「そうだね、結構大きいサイズのがあって助かりました」

新田「そうよね、私あのお店じゃないと買えないから…」

吉祥「普通の服選ぶのにも苦労してましたからね…」

岸華「先生はどんなのにしました?」

男「僕はもうシンプルなのにしたよ、迷うほど種類無いしね」

吉祥「まあ誰もセンセーの水着姿には興味ないんで…」

岸華・香椎・七原「「「…」」」

吉祥「無いんで!寧ろセンセーは楽しみで仕方無いでしょうなあ、この美女美少女揃いのメンバーと水着になってキャッキャウフフですからなあ!」

男「そうだね、皆がどんな水着を来るのか楽しみだね」

岸華・香椎・七原(((絶対私が一番よ)に…)です)


新田(楽しみ…楽しみ…)


………


「暑か…なしてこがいに暑いとや…」

「お嬢様、こちらの国では今は夏直前ですよ」

「はーっ、これで夏真っ只中やないんやったらこん先どげんなるやぁ…うち暑いのだけはすかんわあ…」

「私奴に出来ますことは扇ぐことだけでございます、申し訳ありません」

「うー…まだホテル着かんと?」

「もう少しです、何故タクシーを使わなかったのですか」

「そんな…自分の足で歩きたいやん?それに夕方やから涼しいと思うたんや」

「なら頑張りましょう」

「ふはーっ…くーっ」


カミングスーン


ようやく梅雨が開けましたね…でもこれから暑い季節になると考えると…うう、少し憂鬱ですけど負けませんよ。先生、暑気払いに夏野菜のクリームスープなんてどうですか?とろっとしたスープにカリカリを添えますよっ!次回、「ナイガイ」ところで先生、どうやら誰かうちの学校を訪ねに来たみたいですよ、どんな人でしょうね…(香椎)

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