第二話

私は常々大事なのは余裕を持った行動だと思う。

岸華「…行ってきます」


朝の冷たく、しかしどことなく暖かみのある風を浴びながら今日も川沿いの道を行く。


岸華「…あ」

男「あ…お、おはよう」

岸華「まさか、待っていたんですか?」

男「いや、私も家がこっちなんだ」


そうなんですか、と言いつつ歩を進める。私にとって朝の時間というのは有限だ。


第二話 オドロキ


男「…結構早い時間に家を出るんだね」

岸華「そうですね、生徒会の仕事があることもありますし、部活のこともありますし…今日は何も無いですけれど、なんとなく癖になりましたね」

男「良いことだと思うよ、本当に」

岸華「それはどうも…」


岸華「ところで、昨日の事ですけど…」

男「う、うん何かな?」

岸華「いえ…そういえばあの後結局どこにいたのかと思いまして」

男「あ、うーん…保健室にね…」

男(本当は物理教室の隠し部屋なんだけど…生徒には秘密の方がいいよなあ)

岸華「そうなんですか、吉祥さんが探した、と言ってたのですが…」

男「合わせる顔が無くてね…」

岸華「でしょうね…戸ノ内先生に連れてこられてましたがパーティーは楽しめましたか?」

男「ああ、それはもう楽しかったよ。ただもうドッキリは勘弁して欲しいね」

岸華「実はドッキリじゃないかも知れませんよ」

男「それは心臓に悪いよ…岸華さん」


不思議な人だと思う。真面目なんだろうけど、どこか抜けてて見てて飽きない。


男「…じゃあ、僕はこっちだから」

岸華「あ、もう着いてたんですね…」

男「それじゃあまた」

岸華「はい」


先生と別れ教室に向かうと、すでに誰かいるらしい


名桐「…遅かったじゃない」

岸華「今日は特に用事が無かったからゆっくりきたの。名桐さんこそ大分早いですね」

名桐「ま、気分よ気分…それで?私の奴隷と一緒に来てたみたいだけど昨日の今日でそんな仲になったの?」

岸華「別に…ただ偶々登校中に会っただけです」

名桐「そう?ならいいけど」

岸華「後赤田先生は別にあなたの奴隷ではないですから」

名桐「それは貴女が決めることではなくってよ、岸華聖」

岸華「…確かにそうね、私には関係ないもの」

名桐「そういうこと…ま、いいわ。さーて奴隷の顔でも見に行くとしましょう」

岸華「そう」

名桐「貴女もあの場を見てるのだから良いように使えば良いじゃない」

岸華「する必要がないのよ」

名桐「優等生は言うことが違うわね、私は楽しいからするのよ…じゃあね」

岸華「…」


少し、頭にきました


授業の合間合間には十分の休憩時間が設けられており、そこで生徒達は次の準備をしたりだとか友達と与太話をしていることが多い。


七原「先生、ここが少し分からなかったのですが…」

男「ああ、ここはね…」

七原「なるほど、ありがとうございます。…後、今日部室に来る前に手伝って貰いたいことがあるんですけど…」

男「放課後ね。わかったよ、ホームルームが終わったら職員室で待ってるから」

七原「ありがとうございます」


昼休みには、食堂や教室、中庭で昼食をとる生徒の姿が見られる。教師陣は職員室か担当の教室、生徒と共に食堂や中庭にいることもある。


男「…」モグモグ

名桐「…探したわ、何故こんな所にいるのかしら?」

男「…学生の頃からの癖でね、良く覚えて無いんだけど誰かと良く一緒にここで食べててさ」

名桐「そう…しかしまあそんな不健康まっしぐらな食生活で良く生きてられるわね」

男「栄養バランスは考えてるんだけどね、残り物とか使うと偏りが…」

名桐「そう、まあ健康には気をつかうことね」

男「胆に銘じるよ」

名桐「しかし昼食を屋上への階段で食べたことはなかったわね…今日は一緒に食べるとするわ」

男「えっ…」

名桐「何?何か文句でも?」

男「ないです…」

名桐「なら下らない返事をするのはやめて。気に障るわ」

男「は、はい」


放課後には部活に勤しむ者が多い。運動場からも校庭からも生徒達の元気な声が聞こえる

七原「すみません、先生」

男「大丈夫だよ、このくらい。しかし七原が学級委員長に立候補するとはね」

七原「意外…でしたか?」

男「いや、良く似合ってるよ。真面目そうだし」

七原「どうでしょう?案外裏では不良かも知れませんよ?」

男「そしたらその時は無理矢理一緒にでも帰るかな」

七原「…それもいいですね、不良にでもなりましょうか」

男「いやいや例えばの話だし、七原がそうして欲しいならいつでも一緒に帰るよ」

七原「冗談ですよ…ただ前向きに検討します」

男「ははは…」


七原「ありがとうございました、それじゃあ部室に行きましょうか」

男「そうだね…ああ、少し仕事があるんだけど…」

七原「大丈夫ですよ、部室に顧問用の机がありますから」

男「それは嬉しいね、じゃあ職員室に寄ってから行くよ」

七原「了解です。それでは先に行ってますね」


男「あ、あれ?錠が開いてない…どうしたものかな…」

香椎「あ、せ、先生」

男「香椎さん!助かったよ、錠が閉まっててね…」

香椎「あ、い、今開けます」

男「ありがとう~」


ポニーテールがぱたぱたと揺れて小動物のようだ。胸は小動物とは言い難いが…それはそれで


香椎「あ、あの先生、開きました…」

男「うん!はい!ありがとう!」

香椎「わっ…い、いえ…」

男「危ない危ない…」

吉祥「何が危ないのさ~?」

男「うおっ!」香椎「きゃっ」

吉祥「こっちこっち、梯子の上だよ」

男「なんだ吉祥さんか…驚いたよ」

吉祥「そりゃ悪かったね。あと上を見ないでくれる?スパッツはいてるからってまじまじと見られると恥ずかしいんだけど…」

男「まだ見てないからな、さも見てるかの様にいうのはやめてくれ」

吉祥「残念…ま、先に入ってるよ」ガチャ


香椎「首…」

男「えっ」

香椎「吉祥さんの首、治ってましたね」

男「ああ吉祥さんの首ね、確かに治ってるように見えたね…パーティーの時には首サポーターになってたし…」

香椎「…戸ノ内先生って、すごいお医者さんなんですね」

男「ただ僕が学生の頃からなんか苦手なんだよなあ」

香椎「そ、そうなんですか?」男「うーんなんでだろう…」


男「失礼しまーす」香椎「失礼します…」

七原「お疲れ様です先生、創ちゃん」

吉祥「おつ~」佐藤「御疲様~」

男「今日はこれだけかな?」

七原「多分…ですけど。岸華副部長は生徒会のでいつも遅れますし、新田部長は余り部室には来ないので」

男「そうなんだ…まあじゃあ今日は皆が何をするのか見せて貰おうかな」

吉祥「あー何する?トランプ?」佐藤「将棋?麻雀?囲碁?」

男「…いつもなにしてんの?」

吉祥「ん?指導役がいるときは練習で、後はお菓子食べたり駄弁ったり寝たり宿題したり?」

七原「今日は有馬先生も黒鹿毛副校長も戸ノ内先生も大会申込み登録に出てますから、居ないんですよ」

男「へーっ、何を教えて貰ってるの?」

吉祥「何って…」ガチャ


名桐「お邪魔するわよ…ってなんであんたがいるのよ」

男「はは、僕ここの顧問なんだよ」

名桐「あっそ…ちょっと休むから借りるわね」

吉祥「りょ」

七原「誰なんです?」コソコソ

吉祥「同じクラスの名桐風香。ナキリ商社の一人娘なんだよ…うるさくってなあ」

七原「聞いたことあります」コソコソ

名桐「コソコソうっさいわね!」

吉祥「じゃあこなけりゃいいんちゃうか?」

名桐「しょうがないじゃない!新聞部には部室もないし空教室にはエアコンは付いてないし覗きは来るし!」

男「僕じゃないよ」

七原「別に聞いてませんよ…」

男「ンンッ…まあ一応ここも部室だしさ、部外者がいるのも…」

名桐「取材!取材で来てるの!何?あんた文句ある訳?ふーん…」

男「し、取材ならいいんだ取材なら…」

名桐「じゃあ私今度こそ寝るから、起こしたら只じゃ置かないから…」


男「…はぁ」

七原「強く言わないんですね」

男「何か事情が有りそうだし頭ごなしに叱るのもね…」

吉祥「まあつつかなきゃ実害ある訳じゃないし」

岸華「なんで皆さん暑い中屋上に…?」

吉祥「いやー名桐さんが来ちゃってねー」

七原「うるさーいっ!って追い出されまして」

香椎「こ、こんなことに…」

岸華「…先生がいたのにですか?」

男「まあ、そのなんだ…うん」

岸華「…はぁ、仕方ないですね…着替えは持ってます?」

吉祥「ん」七原「はい」香椎「は、はい」

岸華「旧校舎の練習場に移動してください。今日は自主練です」

吉祥「あそこ冷房無いんだよなあ…」

七原「あせ流した方がスッキリしますよ!」

香椎「せ、先生もき、来てください」

男「あ、うん。折角だからどんなことしてるか見学させて貰おうかな」


旧校舎は新校舎改築に伴い閉鎖中だが、一部部活動の為に解放されてる区間もある。のだが…


男「ど、どこに行ってるのかなあ?」

岸華「体育館倉庫から行けるんです」ガチャ

吉祥「私ここの錠開けれないんですよねー」

七原「立て付け悪いんですよね」

香椎「は、春休みに一回閉じ込められちゃいられましたからね…」

男「直すよう言っとくよ」

岸華「それはどうも」


体育館倉庫の錠を開けると床下点検口があり、その扉を開けると階段が現れる。重い木の音が鳴り響くなかを歩く


男「こんなのがあったのか…」

七原「ですよね、他の所にはないと思いますよ」

香椎「す、少し怖いですね…」

岸華「着きました」


そこにはコンクリートに囲まれた体育館程の広さの空間が広がる。薄暗いが、電気は通ってるようだ。


吉祥「電気、電気…」

香椎「うー、いつも埃っぽいですね…」

七原「掃除してなさそうだからね…」

岸華「…では準備を」

男「電気が付くと結構明るいね」

吉祥「じゃ、着替えるけど…」

香椎「み、見ないで下さいね…」

七原「どうしても見たいときは私に言ってくださいね」

男「み、見ないよぉ」

岸華「え?見ないんですか」

男「見ないよ!」


男「着替え終わりました~?」

「はーい」「い、いいですよ…」「見ても良かったのに…」「どうぞ」


岸華「さて、早速練習を開始します…準備運動から」

吉祥「うぃーす」香椎「は、はい」七原「はい!」


岸華の指示で準備運動を始める美少女達。眼福モノであるが、それを出すことは許されない。


岸華のしゅっとしたスタイル、七原のモデルのような体格、吉祥の天真爛漫な身体、香椎のワガママボディ。どこを見ても幸せモノである。


七原「…目がいやらしいですよ、先生」

男「いやいやいや」

岸華「…次は基礎トレをしますので二人一組になってください」

吉祥「岸華~」七原「創ちゃん、組もっか」香椎「は、はい!」


素早く、しかし丁寧に筋トレをする部員達。筋肉がついて無さそうに見える香椎でさえ良く良く見るとその体は普通の女学生に比べるとがっしりして見える。


七原「また身長伸びちゃって大変だよ」

香椎「わ、私は体重が…」

七原「創ちゃんはまだ細いから…筋肉つくと途端に重くなるよ」

吉祥「ははは」

岸華「…」


身長も七原は私と同じぐらいあるが一番低い香椎でも本人曰く『170近くは…』だそうなのでやはりガタイの良い生徒を集めてるのか


一体何をする部活なのだろう。体育会系なのは間違い無いとして一般的でないスポーツなのかな、などと赤田は思いを巡らせつつ部員達を眺めていた。


岸華「こんなところでしょう。では、まずはそのペアのまま実戦をしますので…七原さんと香椎さんからお願いします」

七原・香椎「「はい!」」

吉祥「審判するねー」

岸華「なんでもありのありあり、…後怪我は私が治せるくらいのでお願いします」

七原「わかりました」香椎「は、はい」

岸華「では…」


はじめ、と言ったのだろうか。目の前の光景に呆気にとられ全く耳に入って来なかった。


香椎を中心に轟音をたてながらコンクリートの床を裂いて飛び出してくる黒い塊。それを素手で削り弾く七原。


男「これは…」

?「そう、『魔術』…それも一般人レベルでは無いよ」

男「…紅田校長?」

紅田「驚いたかい?友紀」


呼び捨てはやめて下さいね、と思いつつこの人も自分が学生の頃から変わらないなと感じる


紅田「彼女達はね、『魔力』だけじゃない。身体能力も君みたいな一般人とはかけ離れた人間だ」

男「…そうみたいですね、ということは紅田校長も」

紅田「どうかな」


七原が人間離れした跳躍で塊に乗った香椎との距離を詰めると香椎がどこからともなく鉄柱を取り出し、七原に向け繰り出す。電柱並のそれを軽々と振り回し、牽制をするが七原は意にも介さずそれに拳を当て粉砕する


香椎「…ッ」七原「…ふぅ」


七原は跳んだ勢いそのまま香椎の左手首を掴み、余った左手の掌底を香椎の頤に打ち据える。

鈍い音が響き香椎の体が傾くと同時に吉祥が二人の間に割って入った。


岸華「そこまで…七原さんの勝ちです」

吉祥「香椎~脳震盪か~」

香椎「あう、おぅ…うう…」

七原「よっ…と」


黒い鉄の塊から飛び降りる七原と香椎を抱えた吉祥がこちらに向かってくる


吉祥「あれ、校長じゃん。来てたの?」

紅田「何してるかな、と。薬いる?」

香椎「ら、らいじょううれす…」

岸華「…とりあえず治しますね」

香椎「ふみまへん…ふあ」


岸華が香椎の頭に触れたかと思うと岸華の手からタンポポの綿毛のような物体が現れ、香椎の頭部を包む


香椎「…これ慣れないんです」

岸華「私がもっとまともな治療術を持っていれば良いのですが、何分…」

吉祥「壊す専門だからなあ…君ぃ」

七原「そんなことないですよ。骨折から擦り傷まで治せるじゃないですか」

岸華「それくらい誰でも出来るもの」

七原「私はまだ出来ないんですよ…すごいと思います」

吉祥「そんなことないよ」

岸華「何故あなたが答えるのかしら…」


男「しかし、驚いたよ…フィクションの中の出来事を目の前で見れるとはね」

岸華「これまでこういう…『魔術』を使える人が身近に居なかったのですか?」

男「うーん、見たことないかな…勿論僕も使えないし」

紅田「…」

吉祥「…まあ余りいないのかな、やっぱり」

岸華「そうね、実際『魔力』がある人間はいても『魔術』を行使するには適正があるから」

七原「実際私もここに入学するまで周りに居ませんでしたからね」

香椎「す、すみません。もう大丈夫です」

吉祥「おっ、じゃあ岸華、やろっか?」

岸華「そうですね…ただ」

七原「ただ?」

岸華「赤田先生が危険だと思うんですが」

男「僕のことは気にしなくていいよ。これでも鍛えてるからね」

岸華「いえそうではなく…」

吉祥「ま、いいじゃんいいじゃん本人がいいって言ってるんだからさぁ~」

紅田「程々にしなよ、程々に」

吉祥「了解!じゃあ審判は校長せんせーしてくれます?」

紅田「いいよ、じゃあ早速始めようか」

岸華「いつでも」吉祥「おっけーよー」

紅田「構えて」

紅田「はじ」


……… 


気が付くと私は保健室にいた。体の節々が痛み、目は開けている筈なのにやけに視界が狭くボヤけてる。耳鳴りが止まらない。


男「…痛」

岸華「大丈夫ですか?」

男「なんか視界が暗いんだけど」

岸華「…衝撃で記憶も失ってるみたいですね」

男「な、何があったのかな…」

岸華「生徒の着替えを覗いて叩かれたんですよ」

男「それは昨日の話でしょ…」


パリーン


七原「せ、先生それはどういうことですか?事と場合によっては…」

男「冗談!冗談だよやっだなー、ね!岸華さん!」

岸華「…」

男「ネッ!岸華サン!」

岸華「…ジョウダンダヨー」

七原「なーんだ、冗談ですか…本当に覗きたくなったら言ってくださいね。」

岸華「なっ…」

男「それはどういう…」

七原「…冗談です」クス

岸華「…ふぅ、七原さん。先に帰っても大丈夫ですよ。もう目も覚めたようですし」

七原「みたいですね。ではお先に失礼します」

男「さよなら」岸華「さようなら、七原さん」


男「…何も覚えてないんだけど岸華さん」

岸華「いえ、単純なことですが。まず先生がここにいる理由は負傷です。攻撃の余波が当たったので」

岸華「目が見えづらいのは受光量オーバーでしょう。吉祥の閃光をまともに食らえば私でもそうなります」

男「なるほどね、実際見たんだろうけど全然覚えてないや…」

岸華「後、他の部員は全員帰りました。私も部室の戸締まりだけして帰りますが…動けそうですか?」

男「うん、少し視界が悪いけど大丈夫そうかな」

岸華「では戸締まりだけしてきますので、少しお待ちください…」

男「え、う、はい」


たったったっ…


男「行っちゃった…そういえば仕事の道具部室に置きっぱなしだな、明朝鍵を借りないと」

男(しかしあれが『魔術』なのか…はるか昔にそういうモノがあったなんていう神話に近い話は聞いたことはあったけど、実在したのか)

男(どちらにせよ、自分とは全く関わりが無いモノと思ってたけど…)

男「頑張ってみるか」


たったったっ…


岸華「お待たせしました、帰りましょう」

男「うん、じゃあ帰ろっか」


岸華「…しかし、不思議です」

男「なにが?」

岸華「普通は『魔術』が使える人間と言うと怖がられたり嫌われたりするものなのですが」

男「そうなの?気にならないなあ」

岸華「そうですか。後、私が『魔術』を使える事を知ってる人間は第二野球部に関係してる人だけです。ほかの部員も同じようなものでしょう。」

岸華「…先生がそうでなくても、『魔術』を使うというだけで嫌う人はいます。なので…」

男「ああ、他言はしないよ」

岸華「ありがとうございます」

男「…!!ううん。気にしないで」


ちょっとー!待ちなさいよ!


岸華「?」男「あ…」

名桐「なにあんた達良い雰囲気で帰ろうとしてるわけ!?」

男「いやそんな…」

岸華「…なにか悪いですか?」

名桐「!?…悪いって訳じゃないけど」

岸華「私は赤田先生と一緒に帰りたいだけですが」

男「え?」岸華「何か悪いですか?」

名桐「で、でも!こいつは私の奴隷で…!」

岸華「先生、帰りましょう。人の事を奴隷呼ばわりする人間と一緒にいることありませんよ」

名桐「の、覗いたこいつが悪いんじゃない!」

岸華「人には尊厳があります。第一覗いたのではなくそもそもあなたが更衣室でなく空教室で着替えてたのが悪いのでは?」

名桐「なっ…」

岸華「何か悪いですか?」

名桐「もういいわよ!覚えてなさい!」

男「あ、帰っちゃった」


岸華「…素直になれないのは私も一緒か」ボソッ

男「ん?今なんて言ったの?」

岸華「いえ別に。帰りましょう」

男「…そうだね」

岸華「目が見えづらいなら手を繋ぎましょうか?」

男「大丈夫だよ、それこそ見つかったら奴隷どころじゃすまないからね…」

岸華「それもそうですね、残念ですが」

男「それってどういう…」

岸華「気にしないで下さい」

男「ええ…」


本当に、不思議な人。


カミングスーン


初めて見た『魔術』が使える人間に少し驚いたか赤田!しかし、これはこれから先の長い教師人生においてのスタート地点に過ぎないぞ!頑張れ赤田!死ぬなよ赤田!次回、「ウラガワ」。秘密の場所なんてこの世にないぞ!なあ赤田!(吉祥)

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