OPT.05

 5月 2日、敷島学園 第11分校。その20L滑走路から、2機のСу-34ФН ウトコノースが編隊離陸していく。その翼端にはР-175В電子妨害ポッド、主翼と胴体には6発のХ-31ПМ クリプトン対電探ミサイルと2発ずつのAAM-5短距離空対空ミサイルとAAM-4B視程距離外空対空ミサイルをぶら下げていた。

 その後、F-2A バイパーゼロとF-15E ストライクイーグルが進入、2機とも90kg GBU-53小口径滑空爆弾をぶら下げ、離陸する。

〔テティス隊、全機発進。セクメト隊、離陸準備〕

 2機のF-22A ラプターが20L滑走路に、その隣の20R滑走路に殲-11B 战鶴とСу-33 マスコイクランが並んだ。全機空対空フル装備、アフターバーナーの炎を煌めかす。


 同じ頃、第11分校 校庭から、次々と戦車や自走榴弾砲、装甲車が出発していく。軽装甲機動車の車内にいたメガネ女子生徒が、骨伝導マイクで指示を出した。

「381小隊、前進!!」

 それを受け、4両の89式装甲戦闘車が走り出す。




 発端は、数日前だった。

「ラシーヤ学院の領土へ侵攻します」

 彩湖先生は、381組の生徒達に、そう発表した。それにより、生徒達がざわついた。

「はいはい、静かにしてください。私達第11分校改め第11機甲戦闘団は先遣隊として進撃、ラシーヤ学院との緩衝地帯へと侵攻します。無論、航空支援も万全です」

 そして、彩湖先生はプロジェクターの電源を入れ、黒板の前に展開したスクリーンに投影した。

 そこには、敷島学園の領地であるズーベン半島とその北にあるアトランテ大陸の一部、シビルハン地域を表示していた。

「知っての通り、シビルハン地域の半分はラシーヤ、敷島、イクサチランAAの緩衝地帯となっています。まず、我々のいるヒタカミ地域の北、サガレン地域へと侵攻、シビルハン地域へと北上します。その後、強襲揚陸艦からの第4分校、第4水陸戦闘団と第7分校 第7機甲旅団と共にラシーヤ学院と交戦、進撃する。これが今回、本校からの作戦『334指令』の内容です。勿論、ラシーヤ側からの激しい抵抗が予想されます。ウディ湾にはラシーヤ学院の空母艦隊、戦闘機部隊、そして1個機甲旅団が駐留しています。その事を頭に入れておいてください」




 その後、講義や訓練を繰り返し、5月 2日の作戦決行日となった。各自、武器庫から自分の武器を受け取り、実演弾を受領する。光も、Ak-5D自動小銃を受け取った。ACOG-TA02四固定倍率スコープにAN/PEQ-16A夜間照準デバイス、バーティカルフォアグリップを装着したそれにSTANAG三〇連弾倉を挿入、他のSTANAG三〇連弾倉をボディアーマーのポケットに入れる。また、自衛用として身に付けていたP226自動拳銃の遊底を少し引いて薬室を確認、ボディアーマーに取り付けたホルスターに収める。そして、89式装甲戦闘車に乗り込み、砲塔内の車長席に座る。上部のハッチを開くと、そこには新たに設けられた簡易の防楯付銃座と備え付けられた12.7mm WKM-B重機関銃があった。

 同じ分隊のメンバーも乗り込み、シートベルトを装着する。操縦席に潜り込んだ信弘がエンジンを始動させる。89式装甲戦闘車に搭載された6SY31WA水冷四往復直列六気筒ディーゼルエンジンが唸った。

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