第76話 ここみゅにINできない

 ええい、パソコンをクラッシュさせてしまったせいで、ここみゅへのINの仕方がわからない。


 アカウントはツイッターのものを使うから、ツイッターにログインできれば、簡単なのかもしれないけれど、私、微妙に機械音痴。


 もう、絶対的に、向いてない。こういうの。



 この文章を書いている、書いていられるのが、不思議なくらいだってなもんだ。


 そこはまあ、経験値? みたいな……。


 プログラマーの人が、一瞬でパパっと解決してしまうようなこと、私には本当、考えるのも無駄だし、無茶だし、無理やりなのよ。



 カクヨムは、コンテスト締め切り前だし、焦りや諦めと同時に、元ダメで頑張った。


 結果なんとか、規定文字数に達しそう。


 だけど、問題は中身よね……。



 何書いたっけなー、私。


 思い出せん。


 必死すぎて、思い出が思い出せない。



 きっと後から、あんなことあったっけーって思い出すの。


 でも、思い出真っただ中な今現在、振り返ってほのぼのするなんてこと、実際無理目だから。


 無理やり思い出そうとすると、私、落ち着いていた。もう、クライマックスも通り過ぎて、エンドって書くの、秒読み状態だったし。



 そりゃあ、二か月書いてきて、あと数千文字ってところで、パソコンクラッシュって、あーた。ショックもショック。


 衝撃的過ぎて、驚いてもいられない。


 好事魔多し。予測できた範囲内でのことだ。私が悪いのだ。こんなときに、パソコン踏んづけちゃうなんて。



 異論のある方ないと思うけど、いらしたら、象が踏んでも壊れない精密機械の需要について、語り合いませんか?


 もう、自棄だ。


 人が百人乗っても大丈夫なパソコンを、作ってくださる企業があったら、雑用でもなんでもしますから、雇ってください(きっとないと思うけれども)。



 だってさ、時代は宇宙時代なわけだけど、お空に、火星にもっていく計器の中に、ものすごーく耐久性を問われるもの、あると思うのだ。


 宇宙にパソコン、いるかいらないかっていう、そういう知的な論議は私にはできかねます。講義があったら、聞きたいくらい、無知です。(興味はある)


 んー、でも。お空に飛ばしてる衛星? との、データ管理に、スパコンめいっぱい稼働させてる図が浮かぶなー。なんだろ。放送大学かなんか、まだ無料でやってたころ、観たような気もしないではないような、気がします。



 放送大学、観たいな。勉強したいな。そういう気持ちはある。


 だけど、うち、BSアンテナもチューナーもないんだもの。


 時代はデジタル! って言い始めてからまだ数年くらい? っていう認識。



 怒鳴られそうだから、これ以上言わない。


 あー、私に天才的頭脳があったらなー。高校時代までは天才的って言われてたけど、実際天才でもなんでもないし。振り返ってみたら、ちょっと規格外の、変な奴って感じかな。


 私は普通なのに……って納得いかなかった。努力して目の前のこと、何とかしてるだけなのに、あれは周囲がおかしいよ。



 たとえばー、学級委員のとき、会議やるから、じゃあサブの私は書記やるからって進み出てノートを用意したのに、女子の学級委員は、



「私は女だから。議長は女がやらないほうがいいから」



 って断られたんで、私がやったんだよな。議長。


 なんとなれば、男子と口をきいたことのない私だったので、一対一で男子に議長を頼むくらいなら、自分でやるわって感じだった。


 もう、時代は女だの男だの言ってらんないって世代だったし、私は私で特殊な育ち方をしてたから、目の前の問題を処理できるなら、女だろうと男だろうと、関係ない。女子の学級委員にやる気がないのがわかったから、私がやるわって。



 しょうがないよねー。物事にはすごく、向き不向きってある。私はたまたま、やらねばならない立場にいたってだけで、すごくやりたかったわけではないし、むしろべつにやりたくも何ともないことをやらされていた感じがすごくある。


 できるからやってしまう。スキルがあるから、任される。しかたない。それは家庭内でも一緒。


 荷物運び? やりましょう。ブレイカーが落ちた? 上げましょう。弁護士事務所に連絡取りたい? 調べてきましょう。それから? 万事そんな感じ。



 父が私をこう評したのも今ならわかる。



「おまえは、人に使われるだけの人間だ」



 って――だけってことはないでしょう。私は考えた。私は私でやりたいことあるもん。別に人にかまわれなければ、それだけやってても一向にかまわないんだもん。


 なにかお手伝いしたり、サポートするのは、お付き合いなんだもん。プライベートはほかにあるの。


 ――確かに。確かにそうだった。その考えに間違いはなかった。だって、プライベートがなくなったら、私、生きてるのが極端に苦手な、引っ込み思案なことこの上ない――他人がつい、便利に思ってこき使いたくなる、そんな奴だったわけである。



 中学生の時は親友だと感じていた女の子に、



「便利な奴」



 って言われて、もう、いじめられてても助けてやんない、とか決心した。


 友達って感覚が、わかんなくなったのって、その頃だった。


 私の周りって、どうしてか個性的な集団ができあがっていて、私はそばでニコニコしながら相槌打ってるだけの、お飾りみたいになってて。クラス替えでバラバラになって、ようやくそんな立場が変わった。



 それまで自己主張が激しい女子ばかりと一緒だったから、私はなにもしなくても、おしゃべりは弾むし、いさかいは絶えないし、くっついたりはなれたり、激しかった。


 右から、左から、話しかけられる場面において、



「自己主張グループなんだから、誰かが聞き役に回らないと、会話が成立しないでしょ」



 って言ったら、波が引いたようにみんな、去って行って。私は小学生の頃から親しくしていたその娘と一緒にいるようになって。


 本の貸し借りとかしてたんだけど、好みが違ってて、私がファンタジーを貸したら、ポルノを貸してくれて、わけわからんと思いながら読了して返したら、



「読んだの?」



 って確認してきたから、肯定した。当然会話は弾まなかった。


 あれは多分、彼女のお父さんの趣味だ、きっと……。出てくる漢字とかむつかしくて、辞書引きながら読んだもん。疲れたつかれた。


 今は、子供向けというか、少女向けの漫画なんかのほうが、エロイって聞くよね。



 そうだ。その頃、まだBLってジャンルはなくて、同人誌のそれはアンソロジーで複数話、あったんだけど、一人に貸したら、それはもう、女子の間でまた貸し続出で。結局戻ってこなかったんだっけ。キャプ翼だったかなー、シュラトだったかなー、忘れちゃった。


 唯一、健全と言われた、侍トルーパーものは、無事手元に戻ってきた。古本屋に売った。ビンボーだからね。


 まあ、オタクの人は、食費を削ってもプラモを買ったり、小説のシリーズ、そろえたりするらしいから、その分苦労してるなって思う。



 楽しかったな。何はなくとも、本があれば。


 便利屋みたいに、扱われて、本当の友達なんかいなくても。


 私は楽しかったよ。全然苦じゃなかったし。いいこともあったし。いっぱい本が読めて、よかったよ。



 本当だよ。

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