第50話 ホラー漫画でわだかまる

 なんでこんなに嫌な気持ちになるのに、私、ホラー漫画なんて読んでいるんだろうか。


 きっかけなら憶えている。


 ホラー小説がうまく書けないからだ。




 なけなしのお金で買った、漫画。


 一巻を読んだら、胸が重たくなった。


 気持ちが悪いのだ。




 ストーリーは、みとず町という田舎町に、十年ぶりに帰ってきたゆうと(男)が冥奴さまに襲われる、という話。


 可愛い幼馴染が出てくるとか、6時になると不気味な鐘が鳴るとか、町には火葬場がないとか。


 いろいろあるけれど、肝は、主人公が化物に襲われる、という筋立て。




 うーん、こうして分析してみると、少し落ち着く。


 だけど、冥奴さまって、たぶんゾンビ的なものでしょ?


 ゾンビ嫌いなんだよにゃー;




 腐った死体ってことでしょ? 要は。


 べちゃべちゃの粘液を垂らして、奇声を発しながら近寄ってくる。


 しかもそこには明確な意思とか、知性というものは存在しない。




 表が暗くなってきたら出現して、生きてるものを無差別に襲うって……性質が悪い。


 おそろしい!


 しかも、犯罪者だったら、少なくとも裁いてくれる機関はあるのに、ゾンビを取り締まることはできない。




 このイヤーな気持ちは。


 心の穢れだ。


 もう、ホラーのことなんて、忘れたい!




 うわーん!

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