第44話 良質のホラーを知った。
ホラーって大嫌い、というほどではないにせよ、一回入ってしまった劇場を見回しただけで飛び出してしまったことがあるくらいには、苦手だった。
人には「感動ものですよ」と言われていても、ホラーと聞くと夏の「恐怖体験!」みたいな番組を想起していた。
しかし、それは誤りだった。
カクヨムで、「体力を削らない」「掛け値なしに良いと思える」ホラー作品を見つけてしまった。
自主企画のどこかに、ポンと置いてあるに違いないので、誰かに見つけて欲しいなと思っている。
それに、最近ホラーの書き方を思い出しつつある。
きっかけは、「瞬発力、アドリブ力UP」を目的にした自主企画が立ち上がっていて、おもしろそうだ、参加させてもらおうじゃないか! とノリに乗って書いてしまったら、別に書くのは怖くなかったんだわ、ホラーって。
私のホラーはどういうわけか、多くの人に「笑える」といわれてしまう代物だったが、書いていてこれ程楽しいものもなかったので、次の開催企画にも加わった。
これが楽しいのである。
タイトルは参加一回目のものが『人喰い自動販売機』。
これは、人喰いなる自動販売機に食べられてしまった男女が、中で出逢い、十月十日後に無事嬰児が自販機のとりだし口に産み落とされる――という、シュールなものだった。
おいおい。
ヒントはラノベの始祖新井素子さんの『あたしの中の・・・』だった。
『あたしの中の・・・』は、死んだ人の霊がヒロインの中に入ってくる。
そして、ヒロインの中で男女がであって子供が生まれてしまう、というはちゃめちゃなものだった。
どうせなら、『人喰い自動販売機』も、中でお年寄りが寿命を迎えるとか(供養はどうするんだとか)、男女の三角関係なんかでいざこざを起こさせるとかすれば、文字数はとってしまうが、もっともりあげられたのにと、悔いが残った。
でも、それをやってしまうと、省エネではなくフル稼働になってしまうので。
とりあえず、小さい器で試すかのように、インパクトできれいに作った。
粗はあるのかもしれないが、今の精一杯なので、己の未熟にも自分で気づけないでいる。
幸い、親切な方々が多くて、そうひどいことは言われなかったし、よく考えて創った話よりも、「ホラーいやだな」と思いながら作った本作の方が、ご好評いただけて、心底ほっとした。
ホラー克服への階段を一段、ビギナーズラックとやらでクリアした。
そして、こんど参加したのは『あれはお前だったに違いない』。
同題異話を二つほど。
一つ目は、座敷童が学園内にいる、という話にしようと思った。
ちょっと派手に心霊現象を起こさせてもいいな、主人公の教員役にプラズマを操る能力付与しようか、と思った。
しかし、書いているうち、最初に登場させたヒロインがやたら積極的で、妖怪たる座敷童を凌駕してしまった。
結果、企画主さんには「ホラー要素が足りない」と指摘されることとなった。
うん、そうね。
ラブい方向へ持って行きすぎたわね。
やっぱり、ホラーから目を背けたい私がいる――。
そんなことを言ったって、ラブストーリーは以前書こうとしても書けなかったのだから、これは瓢箪から駒です。
この企画、ためになる。
そう思ってテイク2。
こんどは物理学者の先生を出して、彼にプラズマ能力を付与。
もっと派手に行きたかったけれど、主人公が視力が弱い設定にしたので、視覚的情報をあまり入れられなかった。
においとか、音とか、他にいくらでもあったはずなのに。
けど、楽しかった。
企画主さんは楽しいことを考える天才! ありがとうございます。
また、開催するときは、参加させていただきたいです。
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