第33話 燃え尽き症候群……!?
いや、燃え尽きたんなら、なぜここにこんな記述ができるのよって話だけれど。
本当に疲れたときって、「頑張ろう」って思うほどに、うつっぽくなっていく。
つらいものはつらいの! それはすでに頑張っているからなの!! 疲れ身に鞭打っても、ろくな成果はでないのよ!!!
なので、児童書をヨム。
とっても癒されるのよ! 動物が出てくる感動もの!『天国の犬ものがたり』っていうの。
堀田敦子さんの原作漫画を、藤咲あゆな先生が、小学館ジュニア文庫でノベライズで書かれている。
藤咲先生の御本だから、買ったというのもあるけれど、必ず泣かされる! こちらは。
で、今回は漫画バージョンも買ってみた。
おもしろいのよ! ラストの構図にテーマがバン! と表れてて胸がぎゅうっと締め付けられる。
だけど、藤咲先生の著作の方を読むと、少ない漫画のページでは語られなかった、裏事情や主人公たちの行動が書かれていて、読んだ後、充足感がある。
おなじ話を漫画と文章で読んだけれど、両者は別のものだと思った。
おなじ話でも、泣くポイントが違っていた。
これは作家性によるものなのかな……?
盛り上げ方が違い、クライマックスが別のところにあるせいなのかな……?
たとえばね……?
『10の瞬間』という物語。
家族旅行でクマに襲われ、はぐれてしまった犬、ヒューイは、さんざん苦労して飼い主の元へ帰る。
ところが、その飼い主には別の存在がそばにいて――ヒューイは、飼い主に気づいてもらえず、悲しい思いをする。
ラストは、なぜか飼い主が気づいてくれて、その腕の中でヒューイは息をひきとる。
そういう話なんだけど……小説から入ったの、私は。
そうしたら、なんか非現実的に思えて入りこめなかったのに、ラストで泣いた。
(だいたい、クマの出るところに旅行なんて行かないしね……? 飼い主を守るためとはいえ、訓練されたのでもない犬が、クマに向かっていくかなあ、とか、思っちゃって)
だけど漫画では、もう、とにかく飼い主と逢えない月日が苦痛であることを強調していて、ラスト、願いがかなってよかったね……ってなる。
小説の方は、胸がひき裂かれそうに痛んだ。
自分を守ってくれた犬のことを忘れるなんて、飼い主は勝手だ! ひどい! って――怒りがうかんできた。
その後に犬が死んじゃうから、悲しくてかなしくて。
って、そういう違いがあった。
『夢のバトン』という物語。
これは、夢を叶えるために努力するヒロインが、いきなり死んじゃって、飼い犬のピノが悲しみのあまりおかしくなってしまう話。
ラストで、ヒロインの夢を継ぐ人が家族の中から現れるんだけど――。
これも、漫画と小説は別物だった。
まず、ヒロインが目指しているトリマーという仕事について、小説版ではかなり詳しく書かれてあったし、ヒロインの死に家族が乱れていく姿がよくわかった。
飼い犬だって、つらいんだ、ということがエピソードで表れてて、痛々しかった。
漫画の方はね、母親が夢を継ごうとするのが、年齢的に気になった。
全体的に黄昏れていくムード。
小説の方は、妹が夢を継ごうとする。
全体的に、これから上向こうとするイメージだ。
みんな、ヒロインの死を受け止めて、その上で立ち上がろうとしている。
おなじ話なのに、バトンを受け取った人が違うだけで印象が異なる。
うーん、もう、これくらいでいいかな。
今日は疲れたよ、パトラッシュ……。
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