第25話 頑張る子




 女子は子どもを産むと、話題のほとんどが子どものネタになるらしい。


 御多分に漏れずして、親戚関係もそんな感じだ。


 しかし。




 実家住まいの母と私は、全力でそれを受け止める。




「Y(9歳)が、バスの中でおもしろいこと言って、自己紹介したらしいのよ」




 とママが言えば、全力で、「へえ! そうなんだー! すごいね!」と返す。




「合宿でもとってもいい子だったって先生が言うの」




 とママが言えば、羨望のまなざしでYくんを見る。


 なぜならば、このママは滅多なことでは人を褒めない方だから。


 辛口ママの絶賛を受ける、Yくんはとってもすごい! という評価になるのだ。




 このYくんは、私が読み終わったコロコロコミックをあげたら、十五分もしないうちにまるまる一冊読んじゃって。


 遊びの中に、その知識を生かしたりしてる。


 そういう子だから、周囲の子たちに一目置かれてY氏、と呼ばれてたりもするらしい。




 頑張ったわね、ママ! いい子に育ってるじゃない。


 そしてYくんも。


 ママにしかられても、ひねこびたりせず、自分の長所をのばしたわね! よかった。




 実家に来て、弟のちっちゃいお足に顔面を踏まれて、声もなく泣いていたのを思い出すと、私、悲しくなっちゃう。


 だけど、乗り越えたのね! 頑張ってるわね! もうだいじょうぶね。


 疲れちゃったりもするけれど、燃え尽きたわけじゃないみたいだし、健康に育ってくれればなんにも言うことないわ。




 私も頑張るわ。


 母が認めてくれるように。


 あきらめないわ。

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