第12話 だれかのために?




 カクヨムに投稿した『おとぎのびんづめ!』が『角川つばさ文庫小説』の賞の規定内に届いた!


 休もう、つっぱしったから、ここいらで一息つくのだ! そうしないとどうなるかは、自分でもう、わかっている。




 それで、ココミュを開いたんだけど……戦争物の台本多い中で、ひときわ目についた『戦争なんて大嫌い』。


 みんな、悪役大好きなくせに、自分が悪役になる戦争は嫌う。


 仕方がないけれど、敗戦国は周囲から責められるから、自然に悪役にされるから、感情移入しちゃうんだろう。


 いわゆる、判官びいきというやつ。




 だけど、今年もお盆がやってきた。


『戦争なんて大嫌い』という台本は、じつはココミュではめずらしいのだ。


 正面切って戦争反対を訴える人ってめずらしい。


 だって、ガンダム好きな人、多いじゃない?




 戦うキャラってかっこいいじゃない?


 だから、その人が、なにを犠牲にして戦っているかとか、どんな思いでいるかとか、結局無視されがちなのよね。


 だけど、この台本はちがった。


 演技じゃなく泣けた。




 いい文章書くなあぁって思った。


 恩師を戦場で殺さねばならなかった兵士とか、赤紙がきて息子を送り出す母親とか。


 こうして書いていても、涙が出てくるし、胸がきゅうっとくる。


 生きのびても、死んでも悲しい。




 なら、戦争なんてなくしてしまえばいい。


 最初からしなければいい。


 それにはどうすればいいの?




 富む国が、貧しい国を援助すればいいの?




 過去の過ちを、反省すればいいの?




 お偉いさんが、頭をさげればいいの?




 核弾頭ミサイルで、周囲を脅しつけてればいいの?




 汚染されてない物資と、土地があればいいの?




 どれも、正解なのかどうか、わからない。


 なにが引き金になって、戦争が起こるかわからないから。


 選べるのならば、どちらがいい?




 戦争と、平和と。




 安穏としているうちに、他国から攻め込まれるのと、自分の意思で自国を守る姿勢を見せて、結果世界に認められるのと。




 守るっていうのは、戦いなんだよ。


 自分の国を守ろうという人は、戦いに行くんだよ。


 人殺しをしても、守りたいなにかを持っている人は戦うんだよ。


 逆に、守る気がないなら、どの国が勝とうが負けようが、誰が死のうが生きようが、関係ないんだ。




 戦争を止めるには、世界で認められ、自分のことは自分で守れるようにならないといけないんだ。


 戦争から身を守るには、賢くならねばならない。


 知識をつけ、知恵を身につけ、危険を見抜き、必要ならばそれを取り除かねばならない。


 そうでなければ、この世から戦争はなくならない。




 自分が、戦わねば、戦争が終わらないとしたら――。


 そのとき、人は、何を思い、何を成すのだろう?


 だいじな知識を与えてくれた恩師を殺すことになっても、戦うのか?


 息子を国に徴兵されて、それでもヘラヘラ送り出すのか?




 どちらも、たまったもんじゃない。


 知識が欲しい。


 知恵が欲しい。


 力が欲しい。




 私は弱くないと、人に示さねば生きていけない。


 それが、年寄りのさかしさだとしても。


 それが、弱さそのものなのだとしても。


 弱いものは強さを示さねば、押しつぶされてしまう。




 いざ、殺されそうになって、




「殺さないで」




 と命乞いをすることに、意味はあるのか?




「なんでもするから、助けて」




 とへつらうことが、身を救うことになるのか?




 そんなことで得られたものは、平和ではない。


 この国が、平和だとされてきたのは、誰かが戦ってきたおかげなのだ。


 誰かが、自分のかわりに、死んでいた。


 そのことに、気づかねばならなかったんだ。




 私の父は言う。


 自分は三男だから、戦争へ行く役目を持って生まれてきた、と。


 自分の力を、戦うことで示したいのだと。


 そう言う。




 父が戦争に行かずに、年をとって、子孫を得たのは、この国が誰かによって守られてきたおかげだ。


 父が勉学をし、求められて仕事について、そこで負けずに生き抜いてこられたのは、きっと誰かのおかげだ。


 誰かが。


 時代の背景となって、隠れて涙を流した、その結果だったのだ。




 私の世界は、誰かのためにあった。


 誰かのおかげで、平穏だったり、癒しがあったり、傷が浅くて済んだりしたのだ。


 もっと、感謝しなくては。




 だけど、誰かの世界が、自分のためにあったろうか。


 父母がくれた、この世界を、たとえ一瞬でもよりよいものにできたのなら、そのときは生きたかいがあると、思ってもいいだろうか。


『この世界の片隅に』の録画を観ようかな。

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