第11話 私の夢

 私の夢は文筆家になることである。


 だから、少々のことでめげていてはいけない。


 とにかく書かねば始まらない。


 さて、今日は何を書こう。




 以前、第五稿まで書いて、寝かせておいたのを、こないだ読んだら、眠くなった。


 なんでこう、たどたどしく、まわりくどいんだと。


 だから、破棄しようと思っていた。


 でも、書いてみようかな。




 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 途中まで書いたけれど、やはり、猫を手に入れられなかったのが残念で、胸が苦しい。


 すこし、気持ちを落ち着けるために、休むことにする。




 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 くそう。


 結婚してなきゃ、猫を飼っちゃいけないのか……。


 どうしてだ。


 養っていく収入はあるのに……。




 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 私は猫がいれば、どこにも出かけなくてもいいくらいなのに。


 むしろ、癒されて無敵のハッピーなのに……。


 やはり、ペットショップへ行こう。




 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 頭が少し痛いが、がまんする。


 やっと、短編が一つ上がった。


 予想していたよりも、ずっと読みやすくなった。


 やはり、ずっと書き続けてきたのがよかったのだろう。


 楽しんでもらえたらいいなと思う。




 先ほどリビングへ行ったら、母と祖母が「この世界の片隅……」なんとやらの録画を観ていた。


 私も観たかったのに。


 言うと、母が、




「これは二時間もあるから、録画をとっておくから。後で観ればいいよ」




 と言う。


 途中からだけど、気になるから横ちょで扇風機にあたりながら見ていたが、男の人が傘で吊るし柿をとるところだけ見て、やめた。


 楽しみがなくなる。


 そして、母が言う通り、用意されていたジャムかけのヨーグルトを食べた。


 ジャムはブルーベリー。


 目に良さそうだ。




 しかし、溜息は出てしまう。


 考えないようにしている、その単語。


 その存在。




 私は鏡を見る。


 そうひどい顔はしていない。


 安心したので、部屋に戻って、短編を仕上げた。


 一気に気が楽になった。


 なにをしよう。


 少し休んで読書でもしようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る