第2話 天使な私

 天使な私は、頑張らない。


 頑張っている自分を、癒すことが役目だ。




 今、録画していた「ゲゲゲの鬼太郎」を観ている。


「鳥取」が大帝国を作ろうと、鳥取好きの妖怪が、県知事にばけて、洗脳を行っていたという内容だった。




 おお、主人公たち、頑張っているなア。




 私は、眠気に負けて、うまく文をつむぐことができない。


 だから、ねむれるうちに眠っておこうと思った次第。




 今日は、水泳の競技の結果が出ていたっけな。




 アナウンサーが言うには、なんとかいう有望な選手たちは、二位をとったのだが、どういうわけか、アナウンサーは、


「金メダルを逃しました」とか、「となりのライバルに届きませんでした」とかマイナスのとらえ方をして言う。




 多分、「もう少しだったのに、惜しい!」とか「もう少しで勝てたのに」とかいう、ネガティブな感情を抱かせるのが目的だと思うが、どうして、「ラスト、最後まで一位を争いました」とか「一位のライバルと接戦でした」とか言えないのかと思う。




 まるで金メダルでなくては、意味がない、ひいてはその選手は落伍者のように言われているように思える。


 もっと、言葉を選べないのか。




 妹が昔、「金と銅は勝っていただく賞だけど、銀は負けていただく賞だ」


 などと言っていた。




 そんな競技だけとは限らないと思うし、妹のそれはシビアを通り越して差別主義だ。


 競技の選手たちは、人と争うのではなく、記録と戦っているのだし、それを外野が難癖をつけなくてもいいと思う。




 頑張っている選手たちを、日本国の誇りとして、受け止めなくては。


 だって、頑張っているんだから。




 選手たちは、ずっとずっと、頑張っている。


 私も何かにがんばろうと、思わされる。




 ああ、夜は、ポコポコ夢のような考えが次々と浮かぶ。


 実際は、私は生きてるだけで精いっぱい、心身ともに疲れている。




 そんなときは、小さな甥っ子に贈る言葉を考える。


 優れた人には、大きな悲しみがあるのだと、その悲しみと仲良くするんだよ、とそんなことを考える。

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