第3話
その日もいつも通り扉の夢を見た。
その扉の数は3つだった。
そして、初めて夢に人らしきものが出てきた。
今までの夢には生き物が出てきた事は一度もなかった。
この夢の世界で何か変化が起きているのだろうか。
おばあちゃんの家に来てから3日目
おばあちゃんちゃんはこの扉の夢について知っていることを話してくれた。
「いまからむかし話をするわね。面白くないかもしれないけど、ちゃんと聞いてほしい。きっと、お前のために、助けになるかもしれないから。」
そう前置きをしてからおばあちゃんは話し始めた。
昔、まだ私が学生だった頃の話なんだけどね、仲が良い友達がいたの。その子はとてもおとなしい子だった。でもね、一緒にいるととても楽しかったわ。その子の話はいつも面白かったの。いくら話してても飽きなかったわ。その子がね、ある時に夢の話を私にしてきたの。
毎日同じ夢を見るんだ、って
ちょうど、お前と同じように扉の夢を見るんだって言ってたわ。
毎日、その夢の内容を話してくれたわ。
今日はこんなところに行って、こんなことしたの、とかたくさん。それは面白い話だった。毎日聞いても飽きなかった。
そんなある日にね、その子がね、初めて夢に生き物が出て来たのって行ったの。
最初は、そこまではっきりと見えなかったらしいけど、だんだんはっきり見えるようになったらしいわ。そして、その生き物がはっきり見えるようになるとともに、だんだん楽しそうに夢の内容を、話すようになっていったの。
私も最初はその子が楽しそうでよかったって思っていたの。
でもね、ある時ふと思ったの、この子はいつかここに、この世界に戻ってこなくなるのではないか、どこか遠く、夢の世界へ行ってしまってもう戻ってこなくなるのではないかってね。
どうかいなくならないでほしいと思ったの。
それから、少しの間いつも通りの日常が続いたの…すこしのあいだはね。
そして、急にその子はね
いなくなったの。
いなくなる前日までは普通だった、いつも通りだったの。
でも、急に学校に来なくなった。
私の悪い予感が的中してしまった…
そして、最終的に存在自体が無くなってしまったの
周りの人達は最初っからその子が存在しなかったかのように振舞っていた。
次第に人々の中からその子の存在が、消えていって最終的には完全に消えてしまったみたいなの…
けれど、なぜか私だけはその子のことを忘れなかった。
それがとても不思議だった。
けれど今やっとわかったの、このことをお前に伝えるためだったってね
昨日、選択を間違えるなって行ったでしょ
あれはね、その子が言ってたことなんだけど、2つの扉しか夢に出てこない時、絶対に選んではいけない扉があるって
私にはよくわからないけど、今後に何か役に立ってくれればいいわ
「ありがとう、おばあちゃん」
そういうことか、きっといつか僕も…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます