第147話 Rinko's Work
まず1周目は様子を見るイメージで6割ぐらいの力で走り、ペースを掴むことを意識した。
流石に最初の二人が非常に短いスパンで走らせていたので、クルマの傷みはほぼない状態で、先ずはそこに安堵していた。 なんてったってこれからかなりの周回数を私は走り続ける事になるのだから、クルマの調子が悪いと先が思いやられるからね。
2周目に入るとペースを一気に8割くらいまで持っていき、完全にレースペースまで持ち込んでいった。エンジンも6000回転ちょっとまで回して、コーナーに入る速度も上げ、運転そのものを楽しみながら、ぼちぼちライバルを追撃しにかかることにした。
「おーっし、そろそろ凛子さんも仕事始めちゃいますよ~」
車内でそうぼやきながら、先ずは目の前にいる同じクラスの3代目フィットを射程圏に捉え、Vコーナーで差を詰めると、次のヘアピンで一気にインに飛び込んだ。
これならイケるぞ・・・・!! そう思ったと同時にブレーキを奥でリリースして、ギリギリでターンインすると、コーナー中腹で並んだまま一気に立ち上がり、鮮やかに追い抜いた。
っしゃあ!! ザっとこんなもんじゃい。
ここで勢いづいた私は、次の周もフィットを2台オーバーテイクし、その次の周も2台、そして私の番になって10周回るころにはなんと8台も追い抜きをかましていたのだ。
特に私が楽しんだのは、格上のクラスのインテグラとの対決だ。 パワーもクルマの余裕も圧倒的に上の相手だったけれど、あわてず騒がず、こちらのクルマお得意のコーナーリングスピードを生かしながら、なるべく速度を殺さないようなライン取りで離されないように付いていき、ねちっこく3周くらい後ろにビタ付きながら、V字コーナーの飛び込みで綺麗に抜き去ることが出来たのだった。
怒涛の8台抜きをかました後、ユリとの取り決めもあったので、ペースをいくらか落として、今度は燃費走行へと入った。 エンジンは5500回転シフトアップ縛り、ステアリングも抉るようなことはせず、曲がる時は曲がり、踏み込む時は踏み込む・・・・と言った感じにクルマを傷めないような運転を心掛けた。 と言っても、もちろんコーナーのボトムスピードは落とさず、ラップタイムを下げないような努力もしていた。
一番の経験者として、これくらいはやっていかなきゃね。
続く。
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