第124話 買収
ある日の夜、私はメイドカフェ「ワルキューレ」の幹部二人・・・・そう、ユリとセリカに呼び出されて、某ちょっといいファミレスで食事をしていた。
二人曰く、「いつも凛子にはクルマの事や、人生相談の事でもお世話になっているから、そのお返しがしたくて・・・・」ということらしい。 そんなことなら、いつもしていることなのだし、そんな気を使わなくてもいいのに・・・・と、思いつつも普段あまり行かないような高いお店に誘われたので、そこはお言葉に甘えて、ご馳走になることにしたのだ。
おいしい料理たちに舌鼓を打ちながら、三人で会話に花を咲かせていた。
「いやあ、今日は本当ありがとう! こんなにおいしいご飯食べたの久しぶりだよ!!」
「いえいえ~ 凛子には常々お世話になってるからさ・・・・たまにはちゃーんとお礼しないとなあ・・・・ってさ。 ・・・・ところでそんな凛子さんにちょ~~~~っと、相談があるんですけども・・・・」
そう言いながら、何やら怪しげな笑みを浮かべながら、ワルキューレ幹部二人は威圧感たっぷりにこちらを見てきた。
ア、 アレ・・・・キョウハフツウノショクジカイジャナカッタノカナ・・・・?という疑念が凛子の中で生まれてはいたのだが、まあまあ、とりあえず話は聞いてみることにするか・・・・ということで、その「相談」とやらに乗っていたのだが・・・・
「はあああああ!?!?!? 今度ワルキューレとして耐久レース参戦する時に、私をエースドライバーとして招き入れたい!?!?」
「「そう! というわけで飲んでくれますよね!?!?凛子さん!!!!」」
「いや・・・・ちょっと・・・・ええええ・・・・」
私はめちゃめちゃ困惑していた。 なんでも、ユリとセリカが言うには、今度栃木県にあるツインリンク茂木というサーキットで行われる、もてぎエンジョイ耐久レース、通称「Joy耐」と呼ばれる耐久レースに、ユリと馴染みのチューニングショップとワルキューレでタッグを組んで参戦する事となり、ドライバーが都合4人必要になったということで、経験あるドライバーとして、私を呼びたい、ということらしい。 ちなみにユリは、ユリ、セリカ、莉緒、私、というメンツで参加をしたいんだとか。
とはいえ、私はその日仕事もあるし、次の日も資料作りで家にこもらなくてはならないから、首を簡単に縦に振るわけにも行かず・・・・と言った状況だ。
「ねえねえ・・・・ちょっと待って。私その日打ち合わせがあるんだけども・・・・」
「わかってるわよ! そのことなら莉緒に頼んで、別の人にやってもらうことにしたんだって! ね、これなら大丈夫でしょ!」
「いやあ・・・・でも・・・・私あんまこういうのは、自信ないし・・・・ ね、私の知り合いでも呼ぶからs・・・・」
「さっき、ごはんおごったじゃん・・・・」
「あ~~・・・・さっきのってそういう・・・・」
「「おごったじゃん!!!」」
う~~~ん、どっちにしても色々後を引きそうではあるし、まあこういうレース自体は学生時代ほどほどに経験もあるし、何やらちょっとした報酬はくれるようだし、ここは飲むべきか・・・・
・・・・と暫く頭の中で葛藤した後、
「・・・・わかりました、私も・・・・参加します」
と、遂に答えてしまった。
「やったああ!!! じゃあ、凛子。同じ『チームワルキューレ』として、一緒に頑張っていきましょ!!」
ユリは私の両手を握って満面の笑顔でそう答えた。 この笑顔を見ちゃうと私は弱いわ・・・・
・・・・ということで、私はユリたちとJoy耐に出ることとなったのだか・・・・
続く。
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