第125話 改めて顔合わせ
・・・・というわけで、私はユリたちの策略により、チームワルキューレの一人としてもてぎJoy耐に参戦する事となったのだが、あれから数日して、まず改めて顔合わせがしたいということで、都内にあるユリの行きつけのチューニングショップである、RJスポーツというショップに赴いていた。
ついてみると、ベールを被った一台の車を囲むように、ユリ、セリカ、莉緒といつもの三人が顔をそろえていた。
「あ、やっと凛子ちゃんきた。 おーい、ユリちゃん! 凛子ちゃん来たよ~」
莉緒が私の顔を見て、即座にそういうと、すぐに気づいたようでユリはこちらを見てニコッと微笑んで答えてみせた。
今日のユリはいつもツインテールにしている髪を完全に下ろしていて、眼鏡をかけ、白シャツに黒いパンツでシャキッと決めていた。 流石はチームワルキューレのボス(?)とも言うべきか。
「お、凛子がやっと来たわね。 さ、概要の説明をしましょうか」
そういうと、ユリは今回のJoy耐の参戦体制の解説をし始めた。
まず、チームの形態としては、チームのメインスポンサー兼企画はワルキューレ、チーム運営とクルマの提供とメンテナンスをするのがRJスポーツという形で、監督兼ドライバーのユリ、そしてドライバーの私と莉緒とセリカ4人でクルマを走らせることとなった。
「今回出るJoy耐は基本、給油とかタイヤ交換なんかでピットインする時はエンジンを切って、チームの人がクルマを押して、指定の位置なんかに運ばなきゃいけないんだけど、そういう作業なんかはRJスポーツのメカさんが全部やってくれるから、何も心配はいらないわ。みんなは走ることに集中してくれれば大丈夫! あ、そういえばチーフエンジニアはここの代表の市川さんって方がやってくれるわ! クルマはばっちり仕上がってるわよ」
と、得意げに話していた。
そして、ユリはおもむろに白いベールの端をつかんでニヤニヤと笑い出す。 遂にクルマを披露するらしい。
「そして、今回の参戦マシンは・・・・じゃーん!『Walküre with RJ-Sport FIT3』よ!」
ユリがそう叫ぶと同時に、今回Joy耐に参戦するために作られた、3代目フィットRSベースのレーシングカーが姿を現した。
外観は、エアロこそほぼノーマルの状態のままであったが、キャンバーが付いてハの字になっていたり、レース用のホイールとタイヤ、そして白いボディにワルキューレのイメージカラーであるパープルのストライプが付いており、かなりレーシングカーらしい見た目になっていた。 正直、こういう実物を見ると興奮ものなのであった。
「わー・・・・結構いいじゃん。今回のマシン」
そう、ボソッと呟くとユリは嬉しそうにこう答えた。
「でしょう? このレースのために時間をかけてカラーリングのデザインを決めたんだから! ・・・・これをみんなで頑張ってゴールまで持ってこう!!」
それに合わせるように、4人揃って、「おー-っ!!」と掛け声を挙げた。
「さ、こうして顔合わせはバッチリね。次は練習会があるから、そこで改めて流れとか確認しましょ!」
次の練習会が、なんだか楽しみになってきた。
続く。
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