第106話 女帝の帰還。

ある日曜日の午前。私はNXCD最終戦に出場するために千葉のあるダートコースに来ていた。 実はこの大会には本来出る予定はなかったのだが、フル参戦している涼の方から「今度の大会、結構面白そうなことになりそうだから、一緒に行こう!」という感じで誘われたので、なら行ってみようか、という事で急遽参加することになっていたのだ。


ラリーをやっていた頃はよく遠征をしていたけれど、ダートラでは大体地元のコースでしかやってこなかったから、こうしてまた別のコースに来るのは新鮮なものがあった。


「はえ~・・・・結構テクニカルなコースなんだなあ・・・・面白そう」


「でしょ? 中々これが面白いコースでさ・・・・ここも凛子に是非体験してほしいところだったんだよ~!!」


「なるほどねえ・・・・ところで、涼が言ってた『面白そうなこと』って言うのは、このコースの事?」


「ん~、まあそれもあるんだけどね・・・・ま、その内わかるさ」


涼は不敵な笑みを浮かべて笑っていた。


その後、再びパドックに戻り、パジェロエボのメンテナンスをしてから水分補給をしていると、何やら場内がざわめいているのに気が付いた。


一体何があったんだろうと思い、そのざわめきが起きている方へと足を進めてみると、その先にはかつて砂のダートの女帝と呼ばれていた、一台のヤマネコと、そのオーナーが佇んでいた。


「もしや涼が言ってたのって・・・・」


その時頭の中で、全てのピースが繋がった。


続く。

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