第102話 いざ、本番スタート!!

昼食後、最後の練習走行を終えた私たちは、とうとう本番の時になり、それぞれ愛車を列へと並べ、その時に備えていた。


少し時間があったので、私たちは互いに


「おっし、本番、お互いにやり切っていきますか!」


「「「おー!」」」


と、入魂してそれぞれの愛車へと乗り込んだ。 私は乗り込んでから、目を瞑り、少し深呼吸をして精神統一をする。 そして、目を見開いてキーを捻る。


少しのクランキング音と共に、パジェロエボの心臓エンジンは目を覚ました。 ドドドドド・・・・と地響きをするような重低音を奏でるV6エンジンは、ただその鼓動に耳を澄ましているだけで心が昂るものであった。


順番は練習走行と同じく、私、莉緒、ユリの順番で走る事になっている。


少しずつ進んでいく列に合わせて、パジェロエボをゆっくりと、じわじわと前へ進めていく。


そしてとうとう私の出番が来た。 前走車がゴールインすると、スターターの人が合図を送ってくる。 それに合わせて、私もギアを一速に入れて備える。


「それじゃ、カウントいきます!! 5、4、3、2、1 ・・・・スタート!!」


旗が振りあがると同時にアクセルをグンっと踏み込み、思いきりスタートダッシュをかました。 そして、すぐにステアリングを切り込み、360°旋回へと入る、舵角をなるべく一定に保ち、アクセルワークで綺麗に回り切ると、今度はスラローム。リズミカルにステアリング、ペダルを操作してキレキレで乗り切ると、今度は線マタギ。


止まるポイントを頭の中に思い浮かべながら、狙ったポイントでガンっとブレーキを踏み込む。結構いい位置で止まれたようだ。


審判が旗を振ると、すかさずバックギアに入れ、アクセルをギュッと踏み込み、車庫入れをし、ここでも審判の様子をすかさずチェックして脱出した。



残りのスラロームも、アクセルワークに気を配りながら、スムーズに駆け抜けフィニッシュラインへ一直線!! 


「・・・・っっしゃあ・・・・思ったより、いい感じに行けたぞ・・・・」


練習の時に掴んだいい感覚をそのまま再現できたので、私は中々気分がよかった。


止まってからアナウンスを待っていると、先ほど走ったタイムが告知された。


タイムは32.5秒。 クラスでも、総合でも3番手のタイムであった。


まあ、初めての割には上出来かな・・・・なんて思いながら、私はパドックを抜け、再び列へとパジェロエボを進めていた。


ところがこの後、更に強烈な走りを私は目撃することになるのだった。


続く。



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