第98話 いざ、茨城へ参る。

そして当日。 私たちはいつものコンビニを集合場所にして、三台を仲良く並べた。


それぞれ前日に入念に洗車してあったこともあって、三台とも眩いくらいの光沢を放っていた。 動物の筋肉のような柔らかな曲線にレモンイエローのボディカラーが眩しい莉緒の911カレラS、太くなったタイヤ、速く走るために仕立てられたド派手なエアロパーツにホンダ伝統のチャンピオンシップホワイトのカラーが映えるユリのFK8型シビックタイプR、そして私が小さい頃から憧れ続けた大好きな相棒パジェロエボ。


三人それぞれが愛情を持って乗ってきた愛車たちの並びは、やはり見ていて気持ちのいいものだった。


そんな素敵な光景を眺めながら、パジェロエボのフェンダーに寄りかかってコーヒーを飲んでいると、コンビニで買い物をしていた二人が出てきた。


特にユリは、袋をパンパンに膨らませるほど、何やら色々買い込んでいたようだった。


「はああああああ・・・・・・チックショオオ・・・・今日も例の抹茶ラテなかった・・・・トホホ・・・・」


「あはは・・・・まあ、でもとりあえずよかったじゃん。ユリちゃんの好きなアニメのコラボグッズは買えたみたいだし」


「ん~まあ、それもそうね・・・・まさか、ここに欲しかったキャラのグッズがあったのは誤算だったわ」


なんて、他愛もない会話が聞こえてきた。 


二人がこちら側に来たのを確認すると、一度、パジェロエボの車内にあるカップホルダーに紙コップをしまって、二人に駆け寄る。


「お、とうとう買い物終わりましたか! ユリ、随分朝から買い込んでるね~」


「フフッ、まあね。 推しのグッズがあれば買うのがファンの道理だからね・・・・! まっさかここが穴場だったとは思わなかったわ。」


「フフフ。 あんなに抹茶ラテなくて落ち込んでたのに、ユリったら、このキャラのグッズの姿を見た途端、顔がぱあっとしちゃってね~ 凛子ちゃんにも見せてあげたかったなあ・・・・」


「アッハッハハ、そっかそっか。まあ、でも何となく想像つくなあ・・・・ユリの喜んだ顔・・・・」


ユリの買い物に端を発した会話で暫く盛り上がっていると、あっという間に出発の時刻が近づいてきた。


「あ、話し込んでたら、あっという間に時間来たね・・・・ そろそろ行ってみる?」


「そうね・・・・この袋抱えながらしゃべるのもしんどくなってきたし。そろそろ行ってみるか」


「そうね、行ってみましょう!!」


ということで、それぞれ愛車に乗り込むと、カーナビをセットして合図を送り合ってから、三台連なって最寄りのインターから高速に乗り込んだ。


東京から茨城までの約120キロの道のりを、三台は綺麗に連なって順調なペースで駆け抜けていった。


茨城に近づいていくにつれて、三人のワクワクはどんどん高まっていった。


続く。

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