第97話 こんなのはどう?

「そう、オートテスト! 手軽にチャレンジできるモータースポーツだよ」


「なるほどねえ・・・・初めて聞いたわ。 ちなみに、どんな競技なの?」


ユリが興味深そうに耳を傾けてきたので、私も彼女たちに説明をすることにした。


「ん~まあ、簡単に言うと運転の丁寧さを競う競技ね。 広場でもサーキットでも、コースを主にパイロンで作って、スラロームをしたり、八の字ターンしたり、ラインまたぎって言って、前輪でも後輪でも2輪でパイロン超えて止めるポイントがあったり、車庫入れしたりしながらゴールを目指すの。 もちろん、競技の一要素としてタイムの速さも入りはするけど、基本的に速度域も低いし、ラインまたぎや車庫入れのポイントだと車体感覚の良さも問われるから、車をとにかく丁寧に操れることが求められるって感じかな」


更に私は、この競技は競技ライセンス不要で参加できること、この競技に参加すると国内Bライセンスが取得できること、クラス分けはあれど、基本的に車検に通るクルマであればミニバンでもコンパクトカーでもなんでも参加できることを話した。


英国発祥で、日本には2015年から導入されたオートテストは、誰でも簡単に気軽に参加できるモータースポーツとして、少しずつ人気を博しているのだ。



「ほほう・・・・ある意味ジムカーナに近い感じなのかな」



「まあ、確かに近いかもね。 ただし、オートテストの場合サイドターンとかは基本的に禁止だし、さっきみたいに完全停止しなきゃいけない場面とかもあるから、より実際に街中を運転する時に使うテクニックに忠実になる感じだね。 後は、車庫入れとかは審判が止まった時に確認して、旗の合図があったらまた発進したりとかって感じ」


「なるほどなるほど・・・・事前準備も軽くで済みそうだし、なんだか凄い楽しそうね!」


「本当! 私あんまり速く走るの慣れてないけど、これなら楽しめそうね!」


ユリ、莉緒両名ともかなりその気になってきていたようだ。



そして、ユリはこう続けた。



「・・・・で、ちなみに今だと、どんなところでやってるの?」


「そうねえ・・・・ちょっと調べてみる」


私は手元のスマートフォンでJAFモータースポーツのホームページを開き、スケジュールを見てみると、どうやら関東近郊でも幾つか開かれていたようだった。


というわけで、二人にそのスケジュールを見せてみることにした。


「へえ・・・・結構色々なところでやってるのね。 あ、この茨城のやつとかならいいかも。予定なんとかなりそうだし。 莉緒はどうなの?」


「この日なら、私もスケジュール空いてるし、いいかも。凛子ちゃんはどうなの?」


「まあ、私もこの日ならまあ・・・・前日の仕事がキツそうであれだけど、スケジュールはどうにか空いてるよ じゃあ、この日に行ってみますか!」


「「そうしますか!!」」


・・・・というわけで、いつメン‘sで数週間後にあるオートテストに参加することになった。


皆でまた集まれること、そして皆それぞれ大好きな愛車で競技に参加できることに胸を躍らせながら、私たちはその日を楽しみに待った。


続く。

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