第64話 ツールド山岡家、いざ開戦!その2

「「「ツールド・山岡家????」」」


三人は顔に?を浮かべてキョトンとしていた。


「そ。ツールド・山岡家よ。 ツールドは、ラリーイベントなんかのツールドをそのまま真似てて・・・・。」


「いやいや、それは何となくわかってるから。それより何するのか教えて。」


と、言うとアレサは不満げな様子で口をツーンとさせた後こう続けた。


「ん~、まあ平たく言うと今回のペアをドライバー、ナビゲーターに分けて、それぞれが役割を果たしながら、山岡家に最初に付いた方が勝ち・・・って感じかな。まあ、ラリー競技とレース要素を兼ね備えたような感じね。 あ、ちなみに負けた方が飲食代奢りね。」


補足しておくとラリー競技とは車を直接運転するドライバーと、それにコースの案内と道路状況を伝えて、ゴールまで導くナビゲーター(コ・ドライバーともいう)の二人三脚でゴールまで最短時間、かつ正確に行くことを競う競技なのだが、今回アレサが提案したレースでは、ラリーのこのチームプレイと協力要素を加えて、折衷したようなものにしているのだ。


「なーるほどね。それ、面白いかも。私は賛成かな~。」


と、私が言うとそれに同調したようにメイドペアも


「アタシもそれでいいわよ。なんか楽しそうだし。」


「あ、あたしもユリがいいならそれでいいわ。」



と納得してくれたようであった。



「よーし、これで決まりね。 じゃ、この後準備にかかろうか!」


こうして、ツールド・山岡家は始まる事となった。



更に今回の『ツールド・山岡家』の細かいルールを説明しておくと


・ドライバー&ナビゲーターは出会った時に運転席&助手席に座っていた時点のもので決める(つまり、この場合は私がドライバー、アレサがナビゲーターになる。)

・コース取りはナビゲーターがそれぞれレース開始前の20分間の持ち時間のうちに決めておく。(車に乗り込むまでドライバーに教えてはならない)

・速度は良識の範囲内で。


というものを決めた。


レースは23時スタート。ドライバーの私と芹香は車のそばで待機、ナビゲーターのアレサとユリは、それぞれ離れたところでスマホを使ってコース取りを決める格好となった。



スタートまでの間、私と芹香は会話に花を咲かせていた。


「それにしてもGRヤリス凄いね~。 生で見たのは初めてだよ。」



「フフーん・・・でしょ? 何せ多分都内じゃ納車第一号なんじゃないかなあ・・・。元々あたしセリカ好きだったし、生まれかわりみたいな感じがしてすごく気に入ってるのよね~。 いつも自宅の駐車場でST205セリカと並べてニヤニヤしてるわ。 あ、そうそう!ワルキューレ横浜でアタシの子二台とも同時展示するから、よかったら今度来てね!」


と、テンション高めの様子で芹香は語っていた。 好きな車をひたすらに語る芹香の目はとってもキラキラしていた。


そうこうしてる間に、いよいよスタート時間まで5分。少しずつその時は迫り始めていた。


続く。

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