第63話 ツールド・山岡家、いざ開戦!
二台は連なったまま榛名山を登り切り、某漫画でお馴染みの駐車スペースに仲良く並んだ。
降りるや否や、ユリと芹香は叫ぶ。
「「なんでアンタがここにいんのよ!!」」
いやこっちが聞きてえわ爆走メイド隊が・・・・と言い返したいとこではあったが、そんな返しをしてもアレサが困惑するだろうな、と判断したので
「丁度長期休暇でこっち帰ってたから、こっちの友達と一緒に遊んでたとこだったの。 ユリたちの方こそ、こんな夜中にこんなド田舎に何しにきたの?」
「なんでって・・・・
「ふーんなるほどね・・・・。しかしまあ、これまた凄いの買ったねえ・・・しかも旬のやつ。」
芹香は凄く嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「ふふふ、でしょ。・・・・納車されるまでワクワクだったもの。あたしのGRヤリスちゃん。」
純白のボディを優しく撫でまわしながらそう呟く。
芹香が新たに手に入れたニューマシンは、トヨタがWRCで勝つために生み出したモンスター、GRヤリスなのであった。
名前にこそトヨタのコンパクトカー、ヤリスの名前が入っているものの中身は別物。前後ライトとミラー以外は全部専用設計されている特別なモデルだ。 エンジンは1.6リッター3気筒ターボで最高出力は驚異の272馬力を発揮、これを6速MTとこの車の為に新設計された4WDシステム「GR-FOUR」を介して駆動する。芹香の乗りつけてきたこのモデルは「RZハイパフォーマンス1stエディション」と呼ばれる特別仕様で、ホイールやダクト類がマットブラックに塗装されていて精悍さがより増したものになっている。
「ところで、凛子たちが乗ってきた車はなんていうやつなん? ミニ・・・だよね?」
ユリが訊ねてきた。
「これはミニのジョンクーパーワークスGPってやつ。ちなみに持ち主は・・・・」
私がすかさずアレサに腕を向けながら退き、それに合わせるようにアレサは私の後ろからピョッと飛び出て
「申し遅れました~♪ あたし、凛子の大学時代のダチの石後アレサって言いまーす!」
エヴ〇ンゲリオンばりのシンクロ率である。
・・・と、まあこんな具合で私たち4人はそれぞれ打ち解け合った後、それぞれ持ち寄った車の話に花を咲かせていた。 日英のスーパーハッチバックが揃うとなったら話が弾まないはずがないのである。すっかり時間を忘れて話し込んでいたら、来た時はまだ日が沈んで間もないぐらいの時間だったのに、気づいたらもう日付が変わる位の時間になっていた。
そんな時、ユリのお腹から「ぎゅるるるー」っと虫の音が聞こえた。
頬を赤く染めながら、ユリはお腹をキュッと押さえる。
「ご、ごめん・・・アタシまだ夕飯食べてなくて・・・。」
「そういえば、私も夕飯はまだだったなあ・・・この後どっか食べいく?」
「夜食と言ったらラーメンでしょ! ・・・でもこの時間だとどこが空いてるかねえ・・・山岡家とかかね。」
アレサ、随分コッテリなの選んできたなあ・・・と思いつつ、私も正直かなりお腹ペッコペコだったので、あのボリュームのラーメンがとても魅力に感じていた。
「いいわね~。アタシはそこでもいいけど。」
「ユリがいいっていうなら私も。」
メイドペアはどうやら賛成してくれたようであった。
「私もそこでいいよ! たまにはいいかもね。コッテリも。」
どうやら満場一致の様だった。
「よーし、じゃあ決まりね。 前橋野中店ってとこにしようか。・・・・で、ただ行くだけじゃ面白くないからさ・・・。レース、してみない?」
「「「レース???」」」
アレサ以外の3人の顔に?が浮かぶ。
「そう、レース・・・名付けて、ツールド・山岡家よ!!」
続く。
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