第17話 いざ筑波へ!? サーキット走行会その2

というわけで、後日私は志熊社長にダメもとで相談の連絡を入れてみた。すると、しょうがないなぁ・・・・と満更そうでもないような様子で言いながらも、車を貸してもらえることになった。本当に有難い。車種はまだ教えてくれなかったが、金曜の夜にまた訊ねた時が楽しみだ。


そしてその日の夜にユリから電話で連絡が来た。


「こんばんは。遅くにごめんね。」


「ううん。全然大丈夫よ。私も今仕事終わって家戻った所だから。で、どうしたの?」


「今度筑波行く件での相談なんだけど・・・・。サーキット行く時って準備しとくことってある?」


「そうね~・・・・まず車の方は、基本的には走らせる前にショップとかに頼んで総メンテしとけば大丈夫だけど、特に油脂類とブレーキには気を使った方がいいかな。エンジンオイルはもちろんだけど、ブレーキフルードをDOT4くらいの沸騰しづらいやつに変えてパッドも合わせてサーキットに合ったやつに変えておけばいいと思うよ。」


「なるほど・・・・。ちなみになんだけど、そのDOTって言うのはどういう単位なの?」


「簡単に言うと、ブレーキフルードの沸騰しづらさを表した単位なの。1から5まであって数値が大きいほど沸騰しづらくなるって感じかな。まあ、普通のサーキット走行レベルなら4ぐらいで大丈夫だと思うよ。 サーキット走行みたいな極限の走りをしていると、ブレーキを酷使するからブレーキフルードが沸騰してブレーキが利かなくなるってことも多々あるからね。」


「ふむふむ・・・・。なるほどね。明日車をショップに持ち込むときに聞いてみるわ。後は他に何かある?持ち物とか。」


「そうね・・・・。後はヘルメットとグローブ、今回の筑波の場合だとレーシングスーツもあった方がいいかな。細かいところだと、レンチとかもあるといいかな。まあ、工具は足りなきゃ私の貸すから心配しないで。折りたためる椅子とかもあると何かといいよ!」


「色々アドバイスくれてありがとう。アタシったら本当に右も左もわからなくて・・・・本当に助かるわ。」


「いえいえ、大丈夫よ!こういう時はお互い様でしょ!私も競技始めた時は何もわからなくて苦労したからねえ。聞きたいことがあれば何でも聞いて頂戴な。」


「うん。また何かあったら頼りにさせてもらうわ!じゃ、おやすみ。」


私もおやすみ~っと言って電源を切った。なんだかユリ、前よりも人懐っこくなってきた気がする。 首都高の件の時だったりなんなり高飛車な一面を見せることが多いユリだけど、きっと根はあんな風に素直な子なんだろう。きっと。


そして木曜の昼間、携帯のグループチャットに莉緒からの連絡が入った。


『凛子ちゃん、ユリちゃん、お疲れさまです♪ さて、今度の筑波サーキットの件なんですが、当日のスケジュールと詳細が決まったのでお知らせするね。 まず朝8時に受付開始、8時半からはちょっとした座学を受けてもらって注意事項とかもそこで確認する感じね。で、9時から軽く車を点検した後、9時半から10分間くらい使って全員でマーシャルカーの後ろを走ってもらう習熟走行をして、10時から15分間の走行と休憩を交互に繰り返す感じになるわね。で、当日はあたしたちを含めて15台で走る感じになるから、結構たっぷり走れると思う。午後4時まで走った後は片づけをして閉会式をして解散になるよ。 後装備は筑波サーキットさんの規定通り、メットとグローブとレーシングスーツを用意して貰えれば大丈夫みたいです! 当日はタイム計測機器も貸し出されるみたいだからタイム計測もできるみたいよ。じゃ、土曜の朝5時半にいつもの広場に3人集結して向かおうね!楽しんでこようね!』


と、来たので『了解!当日は楽しみにしてます! 当日、運転教えられれば教えるね!』と送っておいた。


後は明日会社帰って志熊自動車まで飛んで行って車を借りてくる・・・・それだけね。


何を貸してくれるんだろうとぼんやり考えながら昼休みは過ぎていった。


続く。

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