亡命皇子編
第10話 流れ星と朕
俺は
何か悪夢を見ているのか時折うなされており、
「ゔぅぅぅ」と唸ったりする。その時に首にかかる少し温かい息が、何とも言えない不快感を俺に与えていた。何これもう捨てたい!!ずぶ濡れの男2人とか誰得だよ!!
「なぁ、マリアー お前の方が力強いんだから背負うの変わってくれよ」
「
いい加減耐えられないとマリアに変わってくれと頼んでみたが、今更感満載の令嬢ムーブを使い拒否された。壁を破壊したり俺を簀巻きにして王城に運んだ女が何言ってんだ、、、
「王都で俺を担いで縦横無尽に飛び回って人誰だったっけ?」
「あなたは筆よりも軽いですわ。ですからもっと肉をお食べになった方がよろしくてよ?」
「!!」
衝撃の真実が明らかに!!俺は筆よりも軽いらしい。知らなかった、、、。
いや、そんなの通用するか!!じゃんけんじゃ!
じゃんけんで勝負じゃ!!ジャンケンポン!!
「
「くぅ、くそぅ、、、。ズルじゃん
そんなのズルじゃん、、、えんっ、、えんっ、、」
「泣かしてしまいましたわ」
1度負け3回勝負に、3回負け5回勝負に。そしてストレートに5回負け俺は家に変えるまで青年の吐息を首で堪能することになった。ちくしょう!!
家の前に着くとゴロゴロと転がる"球"が出迎えてくれた。普段なら庭の"球"の家、、、というか祭壇?に引きこもっているのに珍しい。"球"はどうやったのか、ピョーンと地面からジャンプすると背中の青年を見定めるように空中で静止した。
「あら、この"球"凄いですわね?」
「何、呑気な事いってんだお嬢ドリル」
「呑気とはなんですか、呑気とは!!ムキー!!」
といつも通りのやりとりをしていると突然に
青年の体がブルッと大きく震えた。かと思えば
『またクソ雑魚やんけ!!冷やかしにくるん
やめてや!!ほんまそういうとこやで!!』
と"球"の方から声がした。やっぱコイツ喋るのかぁ
言いたい事は言ったのか"球"はゴロゴロと祭壇の方に戻って行った。
「マリア、、、今さっき"球"が喋ったんだが、聞こえたか??」
「なんて事でしょう!!
と言いながらヨヨヨと泣き真似をしているマリアを無視して家に入った。あの感じだと声は聞こえて無いな。そう言えばマリアの時には"球"が寄って来ることもなかった。もしかしたら男なら聞こえる?とかなのか?わからないからもう良いや!
思考を打ち切りリビングのソファに青年を寝かせる。本当はベットが良いんだろうけど、びしょびしょの人間をベットにあげたくないんだよな。
しかしこの青年。よく見れば眠っていてもハンサムなのがわかるくらいパーツが整っている。ウチの国のカール王太子にも負けないほどのイケメンでは無いだろうか?それにこの深紅の髪の毛。短く切り揃えられていて清潔感があり、その色は一度見れば忘れる事はないほど特徴的だ。
ん?なんかこれもマリアの時にやったな??
濡れたままでは風邪を引いてしまうので、青年の上半身の服を脱がして記念に持って帰っていた俺が簀巻きにされた時の布を上にかけてあげた。
脱がした上着も高級なものであり、黒色がベースで金色の糸で刺繍が施されており華美で洗練されたデザインであった。このセンスは王国の貴族っぽくは無いので他の国の貴族か?ならなんで川なんかにいたんだろ?
「なにをやってますの!!」
ぼんやり青年を眺めていると家に入って来たマリアがコチラを咎めるように声を上げた。
しまった!高貴な人に対しては、それなりの対応をしなければいけなかったか?!それをマリアはどうやら指摘に来たようだ、、、
「どうして縛らないのです!!」
そう、高貴な人はまず縛る!とにかく縛っておもてなしをする!それが常、識、、、
「ってそんなわけあるかーい!!」
「私の時は縛りましたわ!!」
「そりゃマリアが野盗を見るも無惨な姿に変えてたからだろ!!あんなの見たら誰でも縛るわ!!この状態の人を縛るとかあり得ないだろ!!この非常識ドリル!!」
「そんなの不公平ですわ!不公平ですわ!縛ってやらねば不公平ですわ!!」
そんなに縛られてた事を根に持っていたのか、、、
こりゃ後で改めて謝っとくべきだな。遺恨は消していかねば。とりあえず落ち着いてもらおう
「マリア、落ち着けよ。この人誰かも分からないし、何より俺達の
この説得でどうにか理解してもらえるだろうと思っていた瞬間、マリアが唐突にとんでもない事を言ってきた。
「その方はプレス帝国の皇子ですわよ。それも直系の方ですわ」
「え?」
「だからその方は侵略国家プレス帝国の皇子です。
黒色に金色の刺繍が施された礼服は皇帝一家の証。そしてその深紅の髪は皇帝直系にしか遺伝されない特殊なモノ。
プレス帝国って言えばあの川をずっと登って行った所にある国か!!てか気づいてたなら早く言え!!
スラム育ちは教育受けてねぇーからその辺無知なの!!
「そしてプレス帝国と言えば残虐非道で恐れられ
ている国ですわ。侵略した国の国民を大半焼き、
略奪した街には草も残らなかったとか、、。」
マリアの口からどんどんとトンデモない話がでてくる。人を焼く?!草も残らない!?どんだけヤベー国なんだよ!!
「特に皇帝一家は、手がつけられないほど凶暴凶悪と有名ですわ。日頃から権力争いで親戚家族に命を狙われるせいで心が荒み、皇帝になった者は皆最後に親戚家族みな例外なく処刑するとか、、、。だからその方が目覚めた時はきっと暴れるでしょうね。恐ろしいてすわ。その時に私はともかく、あなたは、、、」
なんてこったい!!そんなやばい国なのかプレス帝国!!この青年も人畜無害そうなイケメンに見えるが、、、皇帝一家なら相当やばいのか?!
くそ!!背に腹は変えられないか、、、。
「縛ってください、、、」
「え?なんと申しました?私、今耳がよく聞こえなくて」
「この人を縛ってください、、」
「いいんですの?その様な非常識な真似をしても?」
「いいんです!マリア様!!もうギッチギチに縛ってやってください!!」
「もっと誠心誠意お願いなさい!!」
「お願いします!お願いします!この無力な私めをその凶刃からお救いくださいマリア様!」
「そこまで仰るのなら、わかりましたわ」
満足そうな顔を浮かべ、マリアはギッチギチに青年を縛っていた。あの様子では起きたところで指一本動かせないだろう。可哀想になぁ、、、。
「ふぅ、一仕事終えたらお腹が減りましたわ!」
「そろそろ夕飯にするかー!!」
「私は肉がいいですわ!!」
「お前本当そればっかだな、、、。まぁ良いけど」
夕飯は天気もよく、星が良く見えるのでせっかくだからと外で食べる事にした。
綺麗な星空に少しノスタルジックになっちまう。
星を見てると嫌なことなんて忘れられるぜ。
俺なんて小さな存在の悩みなんて、この空の広さからしたら大した事ないんだよな。きっと、、、
「何を浸ってますの」
マリアさん。今、俺は最高に自分に酔ってるので
邪魔しないでもらって良いですか??
そうしてしばらく、のんびり星を眺めていると、
「あっ!流れ星ですわ!!」
マリアが指を刺した方向に流れ星が落ちていった。
チャンス!!!すかさず俺は日頃から大好きな
言葉を連呼する。
「お金!お金!お金!!」
「何やってますの??」
何をやっているのか分からないとマリアの顔が
なんとも言えない可哀想なやつを見る顔になっていた。その顔やめて、なんか傷つく。
「知らないのか?流れ星が消える前に3回
お願い事を言うとその願いが叶うんだ」
「そうなんですの。初耳ですわ。」
「だからマリアも次流れ星が来たらお願いしろよっ、、、て言ってる側から流れ星!!」
おまじないの事を説明している時に
ちょうど良いタイミングで流れ星が流れた。
チャンスだぞ!!マリアは何をお願いする??
「建国!建国!建国! 言えましたわ!!」
、、、、。
何そのお願い、、、。叶えてどうするの??
俺とマリアは流れ星に夢中になり、昼に拾ってきた青年のことをすっかりと忘れてしまっていたそんな頃、
「ぬわぁぁぁあ!!何だこれは!!なぜ
と家から大声で朕が叫んでいた。
「あら、忘れていましたわ」
マリア俺もだよ。俺とマリアはしょうがないから見に行くかと目を合わせ朕の様子を見に行った。
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ここまで読んでいただきありがとうございます!!
「伝ゴブ」とこの作品「例え世界が滅びても拾いモノはやめない!」(以下、せかひろ)の最新話が2回も完成まじかで消失すると言う出来事に心が折れて、もう更新やめよと思いましたが、なんとか持ち堪えてこうして更新できました!
この「せかひろ」異世界ファンタジーの週間で1400位くらいになってる様です!皆さんのおかげでまた嬉しい結果がついてまいりました。これからも頑張りますので良ければハートやら星、レビューなんかも書いてもらえればモチベになりますのでよろしく応援お願いします!!
ありがとうございました!
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