第5話 早いもので3ヶ月がたちました。




マリアが俺に拾われて早いもので3ヶ月立ちました。




あれほど「わたくしは高貴な公爵令嬢ですわよ!不敬!」と喚き散らしていた人がどうでしょう?

この3ヶ月で見事に俗に塗れてしまいまして



「私、今夜は串焼きが食いてぇーですわ!脂身多め硬めでお願いしますわ!!野菜!?そんなもんイラねぇーですわ!」



こんなになっちゃいました 泣

いいのか!?公爵令嬢それでいいのか!?




「うるせぇ!!自分で買いに行け!!それが森入って狩ってこい!!それギルドに持っていって解体して焼いてもらえ!!串焼き令嬢!!」




「"元"とはいえ公爵令嬢に向かってなんで口の利き方しやがりますの!ムカつきますわ!!不敬ですわ!!ギルティですわ!!公爵家の誇りドリルのサビにしてやりますわ!!」



「や、やめんかい!やめんかい!!」



この3ヶ月で幾度となく繰り出された連撃ドリルを捌いて捌いて、ついに俺は捌ききれるまでになっていた。地味に訓練になるんだよなこれ、、、。もう魔獣とか止まってみえちゃうもん。討伐クエストもギルドで気軽に受けれるようになったぜ!!



「油断大敵ですわ!!ふぅぅぅっー ハッ!!」



マリアは公爵家独自の呼吸法から編み出される瞬間的な力の増加で瞬時に相手に近づき拳を打ち込む姿勢に入るとなんの躊躇もなく捻りを加えたパンチを腹にねじ込んで来た。



「ぐわぁーーーー!!」



吹っ飛ばすのではなく余すことなくダメージを敵に与える外道の技。捻り込まれた拳が腹を体を壊していく、、、。ドリルやら捻りやらそう言うのばっかりなのかこいつ。だめだ。死ぬ、これ死んじゃう、、涙 



「ふん!誇りドリルを捌けるようになって、油断しましたね!!私は公爵家の至宝。魔術も武術も達人をも超えていますわ!それに街の調査でも鍛えられましたからね!!オーホッホッホ!!」



「お前いつか絶対泣かす、、、」



マリアに復讐を誓つつ、これまでの事を思い出す。調査と称した街巡りでマリアは暴れ散らかした。

時に不法に売買された奴隷を解放し、元締めのギャングを壊滅。お尋ね者のくせに公爵家の名前を出し暴力と権力でギャングどもを黙らせ、変革という名の洗脳をギャング達に施し、周囲からボスと慕われるようになった。



時に未発見の遺跡を見つけそれを踏破し、前人未到の初見ソロ踏破。大昔に活躍したと言う大冒険家のペンダントを入手しギルドにその名を轟かした。ギルドに入ってもないのに!!ちなみにペンダントの価値は俺の家がたくさん買えるくらいの価値らしい。すげぇ、、。



時に俺が見つけた行き倒れ商人を助け、俺がマリアのダンジョン踏破で待ってる間に遺跡周辺で拾った謎の水晶を元手に契約を持ちかけ、行き倒れ商人はマリア専属の商人となった。今や街に高い店まで構えている。あの水晶なんだったんだ、、、。



時に街の領主が横領している事を嗅ぎつけギャング達と強襲!!横領の他にも他国に誘拐した子ども売るなどギャングよりもエグい奴隷商売をしていることが判明し怒り浸透のドリルで領主を半殺し、なぜかその後釜にマリアが収まっている。まぁ公爵令嬢だし?なんかそう言う運営もできるんでしょうね?? 知らんけど。



ネーコと共に山に繰り出し山の主をねじ伏せ、山の魔獣達に恐れられるなどなど話を上げればキリがないほどマリア精力的に活動していた。



そんなこんなで街がマリアに占領されている。

街の連中は「なんか面白いし美人だし公爵令嬢だし、前の領主より100倍良い」と言う事で、

色々な事がそのままになっている。

いいのかそれで?!本当にいいのか!?



街の領主を締め上げて、実質領主となりながらもマリアは俺の家によく帰ってくる。部屋はそのまま残してあるが、俺の家より立派な領主亭があるのに帰ってくる。



本人曰く「公爵令嬢ではなく気軽に接してくれるあなたが楽でいい」からと言っているが、こっちはマリアの機嫌をそこねたらドリルが飛んでくるのだ。帰れバカ!!



こいつ、ほんとお尋ね者なのだろうか??

もしかしたらもう放置されてるのかも、、、??

これだけ色々やっても何にも言われないし、

なんか街のみんなもマリアのこと普通に変な公爵令嬢だと思ってるし。街の生活のおかげか口調もなんか荒くなってるし。



案外マリアの早とちりとかだったりな!!暴走することの方が多いし!!そうだ!きっとそうなんだ!



「何ふぬけた顔してますの?!ほら狩に行きますわよ!ネーコも準備なさい!!今夜は最高の捌き立て串焼きですわ!!」



「俺も行くのかよ!!野菜も一緒に挟むからな!!ちゃんとバランスよくたべないと体に良くないから!!健康第一 体が資本だから!!」



「、、、、、」



「返事しやがれお肉大好き娘!!」



案外この生活もわるくない。拾ってよかったと思ってる自分がいる。孤児になってどうにか1人で生きてきたけどやっぱり寂しかったんだな。ネーコや"球"が居るには居るけど喋れないし。マリアがいると賑やかで自然と笑顔も増えた気がする。

たまには「ありがとう」とか言ってみても良いのかもしれない。



そうして扉を開けると目の前にうちの街ではない、明らかに豪華な鎧を纏った集団がたむろしていた。



「ムッ!皆のもの構ろ!出てきだぞ!!」



「え!?何?何!?なんですか?!」



「貴様が偽聖女のマリアを匿っているのはわかっている。大人しく差し出せ!マリア嬢を王都へ連行する!!出さぬなら国家反逆罪として死刑にするぞ!」



「あっ、はい。後ろにいますどうぞ。」



馬に乗ったなんか凄い偉そうなおっさんに言われて瞬間的にマリアを差し出す。あまりにノンストップ過ぎておっさんが少し驚いていたが、自分の命が一番大事なのだ。ありがとうマリア。さようならマリア。やっぱりお尋ね者だったんだねマリア。



「貴様はふざけているのか、、、。」



「えっ??」



おっさんの怒気を含む声に驚き後ろを振り返るとそこに居たはずのマリアは忽然と姿を消していた。

あいつ、、、瞬間移動までできるのかぁー、、、

すごいなぁ。どうやったのか、この一瞬で紙にメモまで残してるし。すごいなぁ、、、。



マリアが残したメモには



『しくじりましたわ。後で助けに行くので生き延びて下さいまし。』



そう簡単にか 書いてあった。

バカ言ってくれるぜ。そう言うの良いからマリアさん、そう言うのほんと良いから!!泣



「貴様を連れて行けばマリアを釣れるか、、。

よしこの小汚いのを連行しろ!」



マリアの無駄な気遣いのお陰で兵士達に腕をぎちぎちに掴まれ縛られ、馬車で王都へドナドナされました。



「あいつ絶対いつか泣かす!!」

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