第2話 拾った女の子追放令嬢だった





さて、女の子を担いで我が家に帰ってきました。

その辺を転がる"球"に「ただいま」と言いながら家に入る。我が家は木造二階建てで、元は貴族所有の家と言うこともあり結構デカい。そして作りもしっかりしている。何より部屋も多い。正直自分1人では持て余してる!!



いつかお嫁さんと沢山子ども作って部屋を埋めていくんだい!!なんて馬鹿な事を考えながらリビングのドアを開けるとネコのネーコが迎えてくれた。



「おぉーネーコ!!今帰ったよー」



お帰りと言ってくれているのか足元に近づいてきてくれた。世界1かわいいぜ!ネーコ!!



「そういえばネーコ、朝一番に宝石を咥えてきてたけど、あれどうした??またどっかから盗んで、、、ないよな??」



ネーコは魔獣も狩るし、宝石みたいなやつをどっかかしらから取ってくるスーパーキャットだ!

しかしながらたまに、人様の持ち物を持ってくる悪癖もある。何度言い聞かせても治らず、その度に俺は宝石の持ち主の所に行き五体投地する羽目になっている。



「ネーコさん?宝石盗んだやつじゃないよね??」



ネーコは何も言わず、スッと目を逸らしながら去っていった。また五体投地かぁ、、、。



担いでいた女の子をリビングのソファに下ろし、本日の晩飯の準備に取り掛かる。今日はオークの肉をギルドのおっちゃんに分けてもらったのでウキウキだ!



「ネーコ!!今日はオークだぞぅ!!」



先程、どこかに行ったネーコが早足で戻ってくる。

テンションが上がったようにずりずりと体を足に擦り付けてきた。ネーコはオークが大好物。山でも良くオークを狩ってきて調理しろと訴えかけてくるほどだ。グルメなやつめ。



胡椒などのスパイスは高くて頻繁には買えないので今日は森で拾った木の実と香草を良い感じに混ぜて、、、肉と一緒に焼いて完成!!



"オーク肉をなんか良い感じにしたやつ!!"



ネーコには素焼きしたオーク肉をプレゼント!!

外の"球"にもオーク肉をプレゼント!!



なぜか"球"も食事をする。食べ物を置いておくと

シュッとその食べ物を吸収し、味が気に入らないときはペッと吐き出したりもする。贅沢な"球"



一通りやる事も終えたし、俺も食べちゃいますか!

オーク肉!!



「それじゃぁ、、、いただきまーす!!うめぇ!!」 



そんなこんなしてオーク肉を堪能しているとソファから拾ってきた女の子の声が聴こえた。どうやら起きたみたいだな。



「こっ、ここはどこですの!!あの下劣な野盗にわたくし屈してしまったのかしら、、、どうにかしなければ、、、魔力はまだありますわね。ここを吹き飛ばすぐらいは、、、やるしかありませんわ!!"風よその大いなる力を解放、、、」 



「ちょちょちょ、ちょっと待ったー!!」



あまりに物騒な事をでかい声で叫ぶ女の子に肝を冷やし急いで止めにいく。マイホームを破壊するとか勘弁してくれ!また家なき子になっちゃう!!



「なっ!何ですのあなた!!」



俺と対面した女の子は状況が分かっておらず、こちらを警戒する様に身を構えた。そんな中、俺といえば女の子の想像以上の美しさと一部の変化に言葉を失っていた。



眠っていた時には分からなかったが目の色は青よりも蒼のような色合い。少し切長ながらぱっちりとしており、美しく揃うまつ毛がその美貌をさらに引き立たせる。そして長く綺麗に伸びていた髪の毛が

"縦ロール"ドリルになっていた。



何を言っているのか分からないと思うが、さっきまでストレートだった髪の毛が一瞬で立派な縦ロールドリルになっている。頭がおかしくなりそうだぜ!!催眠術か?それとも高速でセットした??

いやあの縦ロールはそんなチャチなもんじゃねぇ、、



「やはり不審者ですわ!!"風よ、、、」



「うおぁぁぁあ!ちょい待ち!!」



縦ロールドリルに気を取られてしまったが、目の前の女の子にこれまでの経緯と彼女がここに居る理由を話した。

こういう時は情報量で圧倒して落ち着かせるのが一番なのよね。



「信じられないですわそんな事!!それならなぜ私を縛る必要がありますの!!不快ですわ不敬ですわギルティですわ!!」



全然上手くいきませんでした、、、。

縦ロールドリルは叫びながらその身から考えられないほど鋭い飛び蹴りを繰り出してきた!!



「ぬぉぁぃおお!!危ねぇ!!」



何度か回避する事が出来たが縦ロールドリルはこちらに休む暇を与えるつもりがない様で



「このバンティス公爵家の偉大さを思い知りなさい!」



と鮮やかな回し蹴りを繰り出してきた。

公爵家て、、、。身分高すぎやん、、、。

そして綺麗に脳天に蹴りが決まり俺の意識はゆっくりと暗くなっていった。野生の令嬢は凶暴でした。



公爵家がなんで森で倒れてたんだ?

それになんで髪の毛ドリルしてるんだろ?

なんか髪の毛が独自に動いてない??キックと同時に髪の毛にも攻撃された気するんだけど、、、?



そして意識が完全に落ちそれ以上馬鹿な事を考えられなくなってしまった。













「うっ、、ここは?!そうだ!妖怪縦ロールドリルに襲われたんだ!!」




「ムキー!!誰ドリルですか!!」



目の前に仁王立ちする圧倒的美人の縦ロールドリル令嬢。ここは誰!私はどこ!?

ダメだ、良い蹴り貰ってまだ混乱してやがる、、、。




「まったく、あなたには聞きたい事が山ほどありますわ!!」



「こっちは言いたい事が山ほどございますわ!!」



だんだん意識がはっきりとしてきたぜ、、、

周りは、、我が家か。そして縛られていると、、。



令嬢拾って、介抱したら襲われて。

目が覚めたときには家の柱に縛られてました。

とにかく一旦時間を稼がなければ!!



「お互い良くない行き違いがあったみたいだな。ここは一つ話し合おう。きっと俺達分かり合えるさ。オーク肉食うか?」




「お黙りなさい!!あなたには私に辱めを働いた容疑がごさいますわ!!これから裁判ですわ!!有罪ですわ!!」



人の話を聞かず高らかに叫ぶパワー系令嬢。

いや縦ロールドリルに俺が出来ることは一つしかない、、、。パワーにはパワーだ!!!

      



「冤罪!冤罪!冤罪!冤罪!冤罪!」




俺は絶対に無実をつかみとってみせるぜ!!









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