第3話
四人になったおれ達は、若干の不安を覚えつつも「「「「やった!仕事の量が、四分の1になったぞ!」」」」と大喜びした。
食費が4倍問題はあるが、今までは家事の面倒さから遠ざけていた自炊をし、近所のスーパーのタイムセールを積極的に狙う方向で決まった。
おれの実家が米農家なのも良かった。文字通り米は売るほどあるのだ。
とはいえ近所の目には少し気をつけなくてはいけない。
電車もバスも1日数本だけのド田舎というほどではないが未だに町内会があり、近所の暇な年寄りが玄関先までは普通に入ってくる程度には田舎なのだ。
2人の時は万一に備えて「双子だった」作戦を敢行する予定だったが、さすがに同じ顔が4つあると目立つし怪しまれる。
住む家の方は、数年前に亡くなった祖父の家に住んでいるのだが、旧い家ではあったが田舎の屋敷というかんじで、部屋数としては問題なかった。
エアコンのある部屋を寝室として過ごし、日中は公共施設やショッピングモールで過ごした。
俺の生活はますます楽になり、むしろ今週は仕事の日が少し待ち遠しいという状態だった。
朝から晩までゲームの俺。普段しないところまで掃除をする俺。本棚の整理をして不要な本を売り飛ばす俺。
4等分することで少しの誤差が出続けてきたが充実した休日が増えたことの喜びは大きかった。今まではテレビをみてだらだら過ごす休日に虚無や罪悪感を含んだ後悔があった。
それくらいには疲れていた。
しかし、この一週間、よく休むことでそういう些細な悩みは吹き飛んだ。
しかも今週は連休である。4✕2連休で8連休だ!と、ゆで理論を展開し三倍のジャンプをするウォーズマンになっていた。
四人のおれと俺達は買ったまま放置していた組み立て式の本棚とガラスケースを三人の俺と一緒に組み立てた。おれがアニメの鼻歌を歌うと他の3人の俺も歌い出すのはなんとも奇妙で楽しかった。
それだけ盛り上がりつつも、お互いに目線は合わせないのもなんともおれであり俺だった。
一人の俺は買ったまま箱に入っていたフィギュアを並べる楽しみに浸っていた。
そして、また次の月曜日。
4人とも少し不安になっていたがあえて口にはしなかった。
次の展開が用意に予想できたからだ。
起きるとおれは8人になっていた。
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