第2話

ふたりに増えたおれと俺だったが、交互に仕事に行く、しんどいときは半日で交代などの簡単なルールを設けて、おれと俺はダラダラとした生活を開始した。


おれは20歳の頃の就職難で、まともに就職できず、実家の米農家を手伝いながらフリーターをしつつ、趣味で同人誌をだしたりしたあと、30過ぎから10年間ほど介護施設で働いていた。

介護施設というのは訪問介護やデイサービスなどをのぞけば24時間営業が基本で申し送り表さえ読めば、どういう業務変更で、どの入居者がどんな常態かなどは今まで働いているなら簡単に把握できる。


本音を言えばお互い、ずっと休んでいたいが、不公平なく半分にした。

おれ同士とはいえ悪い気がしたし。

それと、もし俺の方になにかあったときに仕事に行くことになって完全に仕事を忘れているのも怖い。


仕事の内容などはその日のうちに話すようにして誤差をなくした。

もともと他の職員とも業務以外はほとんどプライベートの話はしてないので特にバレるような問題もなかった。オタクでよかった。


とにかく、この一週間は溜まっているマンガ、アニメ、小説、ゲームを消化するのに使った。

食費2倍問題も自炊をすることで簡単に解決し「SFっていいな」「日本人は働きすぎだよな」とお互いに、満足していた。

なにより観た作品の雑談に関してはとにかく盛り上がった。

意見もだいたい同じだ。あたりまえだ、俺はおれだからな。

日曜朝の出勤日だけは、どっちがプリキュアをリアルタイムで視聴するかで少し気合の入ったジャンケンになった。

負けたおれは「帰りに回転寿司1000円分だけ食べていい?」と訊くと俺が「いいよ」と答えた。


そして次の月曜日。

まあ、少しそんな気はしていたんだが。


起きるとおれが4人になっていた。

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