第3話 一夜のキリトリセン

 炭酸にそって

 間違えた

 点線にそって


 次の日の夜、地元の友達ユージとコウヘーと遊ぶ。例えるなら点線に沿って丁寧に切るのがユージ。炭酸頼んで単三買ってくるのがコウヘーだ。学祭の準備の話。まあ僕の頼み方も悪かったんだけど、あれは笑ったなあ。


 コウヘーは当時から付き合っていたユミちゃんと、この間ついに結婚した。ユージはバリバリ働いてて、女はよって来るから選んでるなんて抜かしやがった。僕だって彼女がいる。2人は嘘だと騒ぐがほんとにいる。二次元とかじゃない。まだ地元の誰にも会わせていない。話したのもはじめてだ。


 今日は花火大会がある。だけど行かなかった。そのへんで喋って飯食って、酒飲んで。ユージと仲のいいアカリちゃんが大会の模様を知らせてきた。まわりの音でかき消されるから大声、向こうも酔っている。


「毎年だけど混むよね!」


「だから行かなくて正解だった」


「楽しいよ、バーカ!!」


「バカって言う方がバカなんだ酔っ払い」


 ユージも言い返す、酔ってるな。僕らは近況報告や思い出話、くだらない話をした。深夜前に解散。酔い覚ましに僕はまた歩いて帰ることにした。


 星がキレイ、夜風が涼しい。大通りから入ってきてここはトンネル。街灯がチカチカして怖い雰囲気はあるが、通り慣れた道。足音が響く。酔っ払った僕は陽気にステップを踏みながら、そしてその音も反響していく。


 ふと壁に手が触れる

 冷たい

 そういえばらくがきだらけだったのに

 キレイ

 あーあ

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