第4話 一夜干しのガラガラゴエ
歓送してる
間違えた
乾燥してる
トンネルの壁は僕の触れたところから、トクンと脈打ち、波立ち、明らかに見慣れたコンクリートではなくなった。酒の力ってこえーなあと思いながら、コンクリのトクンを笑っているとみるみるはじからカラフルな模様が現れた。まるや三角、花とか標識みたいでそうでない。文字のようにも見えるし、数字のようにも見える。
いよいよこれは危ないぞ、壁からトンネルの出口に目を向けるとまた驚いた。向こうはチカチカしてない街灯の明かりが薄ぼんやりと入ってきていたのに、門になっていた。装飾のついた派手なやつ。門は開いていて、というか扉がないから向こうの景色が見えていて人がたくさんいる。あれはお祭りかな。
ついに音楽まで聞こえ出して、いよいよトンネルの中にも陽気な人が現れて踊り出す。中には近所の犬に似てるのや、トラクターやコンバイン。魚や煮物、トウモロコシにキュウリ。漁船に飛行機、自転車や一輪車までもがにぎやかに集まってきた。
たいして広くも長くもないトンネルはあっという間に大渋滞で、こりゃしばらく車も動かなそうだ。みんな門の向こうを目指していて、陽気なお兄さんは里帰りだという。僕も誘われたが激しく断った。あんなところじゃないんだ僕のふるさとは。
「そうかい、気をつけて帰りなよ」
聞き覚えのあるガラガラ声だったが、シンカンセンの鼻先につつかれて思い出せなかった。
フィナーレは派手に
音楽が盛り上がっていく
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