第5話
8年前
夏、秋田市民体育館
「ともー!こっちだよー!」
涼しげなサマーニットを着た少女が、ともに手を振った。
「祐美! 、久しぶり!元気だった?」
祐美と呼ばれた少女はニコッと笑ってともに抱きついた。
「お兄ちゃんの部活の関係で引っ越したけど、まぁまぁ楽しくやってるよ!」
ともと祐美は幼馴染で、この年の春まで祐美は、故郷である北海道で暮らしていた。
「熊城はバレーの名門だもんね。達也さんすごいじゃん!1年からレギュラー入ってるんでしょ?」
とも、祐美、そして祐美の兄の達也は皆んなバレーボールをやっていた。
祐美の家族は、達也の進学に合わせて、北海道から秋田へ引っ越して来ていたのだ。
「祐美と達也さんのお陰で、秋田に来ることも許してもらえたし、全国常連の熊城の試合も観れるし…」
目をキラキラと輝かせるともに、祐美はフゥとため息をついた。
「とも…あんたさぁ。せっかくこんなに可愛いんだから、バレー馬鹿やってないで、もっとお洒落とかしなよ!」
「私はいいの!それより早く熊城の試合観に行こうよ。もう始まるんでしょ?」
いそいそと館内に向かうともの後ろ姿を見て、祐美はもう一度ため息をついた。
少し茶色がかった髪を肩のところでまとめ、なびかせて歩く姿。
160cmはとうに越え、ノースリーブとショートパンツから伸びる長い手足は、陶器のように白く滑らかだ。
「絶対モテるだろうに、本人は全然そんなことにも気づいてないんだろうなぁ…」
このバレー馬鹿の美しい少女が、恋に落ちるのはいつなんだろう?
その時少女はどんな風に変わるんだろうか?
まだ予想すらできない友人の未来を思い浮かべて、ふふっと笑いながら祐美もともの後を追い、歓声と拍手が鳴り響く体育館に入っていった。
you are my soul〜もしも全日本男子バレーチームに女子が入ったら @akkoue
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