第3話

あの夏の日から8年。

少女の想いは変わることなく、今でも恋した少年を追い続けている。


「だ・か・らぁ〜っ!!集まれって言ったら1回で集まらんかーい!!」

大声を出して両頬を膨らませているのは、昨年男女で実業団バレーボールリーグ優勝を飾ったネクトラストの新キャプテン大谷克也だ。


「大谷さん、監督がいないからって、そんな張り切らなくていいすよ」

「水野ー!お前なぁ…大学時代俺がキャプテンやってた時からその態度!ちったぁ先輩を敬わんかいっ!」

今にもべらんめぇ!と言い出しそうな大谷を見て、あんた江戸っ子じゃなくて山形出身だろ?と言いたいのを水野は飲み込んだ。

「おい!桐生!お前も今日からうちに合流したんだから、社会人の一員だぞっ!いつまでも学生気分でいるんじゃない!」

「あっ、はっ、大谷さん、すみません!」


大谷克也も東山大学の出身で、水野とともの先輩にあたる。


「水野さん!とも先輩!今日はよろしくお願いします!」

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