第11話英雄の代償
「この競争で、いくら早くても、怠けては絶対にいけないのだと言う教訓を得たよ。人生そうなのだと思う。本当に君は立派だった」
多くの他の動物から言われたのだが、どこか恥ずかしい思いもしていた。何故ならやはりこの事を計画した彼らが、本当に優れていたと時が経つにつれ感じるようになったのだ。確かにゴール直前は「自分が! 」という気持ちになったが、あの水にしても、道の完璧なる選択にしても、私では考え付かないような事であった。
だから私はカラス氏に会うと
「私だけがこのような名誉を受けて良いのだろうか」と尋ねた。
「良いに決まっている、むしろ我々の計画だった、などということは黙っておいてもらえないかな。すべては君のものにしてくれ、本当に大変な思いをしたのは君なのだから」
と答えてくれた。事実、カラス氏以外とはあれから直接あったことはない。例えばもし私が狼氏と一緒にいれば不自然に見え、そこから事実がばれてしまう可能性を考えてのことだろう。私としては芸術のようなこの計画を、もしかしたら「姑息」と言うものもいるかもしれない。そのことは彼らにとっては嫌で、面倒なものなのか、とにかく私だけが英雄になっていた。
しかしながら、この少々作られた英雄には困ったことが起きてしまった。それはあまりにも多くの異性が、私にやって来るようになってしまったのだ。その数がうれしいなどとは言えるものをはるかに超え、中には押しつけがましい愛情を向けてくるものもいて、恐怖まで感じるようになってしまった。
この状況に至って、私はまた彼らの素晴らしい知恵に救われることになったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます