第11話英雄の代償



「この競争で、いくら早くても、怠けては絶対にいけないのだと言う教訓を得たよ。人生そうなのだと思う。本当に君は立派だった」


 多くの他の動物から言われたのだが、どこか恥ずかしい思いもしていた。何故ならやはりこの事を計画した彼らが、本当に優れていたと時が経つにつれ感じるようになったのだ。確かにゴール直前は「自分が! 」という気持ちになったが、あの水にしても、道の完璧なる選択にしても、私では考え付かないような事であった。

だから私はカラス氏に会うと


「私だけがこのような名誉を受けて良いのだろうか」と尋ねた。


「良いに決まっている、むしろ我々の計画だった、などということは黙っておいてもらえないかな。すべては君のものにしてくれ、本当に大変な思いをしたのは君なのだから」


と答えてくれた。事実、カラス氏以外とはあれから直接あったことはない。例えばもし私が狼氏と一緒にいれば不自然に見え、そこから事実がばれてしまう可能性を考えてのことだろう。私としては芸術のようなこの計画を、もしかしたら「姑息」と言うものもいるかもしれない。そのことは彼らにとっては嫌で、面倒なものなのか、とにかく私だけが英雄になっていた。


 しかしながら、この少々作られた英雄には困ったことが起きてしまった。それはあまりにも多くの異性が、私にやって来るようになってしまったのだ。その数がうれしいなどとは言えるものをはるかに超え、中には押しつけがましい愛情を向けてくるものもいて、恐怖まで感じるようになってしまった。


この状況に至って、私はまた彼らの素晴らしい知恵に救われることになったのだった。


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