第7話一人の戦い


「何故そんなことを」

「ばかにされるだけだ」

「君一人の問題ではないぞ」


仲間のカメですら、そう言いうのも当然だったし、他の動物は私を見ればひそひそと話すか、クスクスと笑った。


 しかし不思議なほど、私はそれに動じなかった。それよりも本番までに、自分の体調を整えることに頭を使い、体をほんの少し動かし、休めていた。


「本気で勝つつもりのようだ」との誰かの揶揄にも、私の集中は途切れることはなかった。

一つだけ気を付けたのは、本番まで「ウサギと会わないようにすること」だけだった。それはもちろんこの「綿密な計画」を気取られないようにするためだ。

しかし前日の夜、私は興奮してあまり睡眠がとれないまま、朝を迎えてしまった。だが何故か体はいつも以上にすぐに温まり、この勝負の前には、私は万全の状態だった。



 

 スタート地点は日のよく当たる所だった。人間が作った道で、しかも今日は人間達も村で祭りがあるという。ここを通ることはないそうなのだ。

一方ここには、この勝負の「計画者」以外の多くの生き物が集まっていた。ただ少し離れた所の木にカラス氏が止まっていて、私たちはほんの少しだけ目を合わせた。

ウサギはまだ来てはいなかった。


「勝負は見えているが・・・でもこの勝負をやろうと思った君は凄いと今日になって思ったよ」


仲間のカメの一人が言うと。意外に周りの雰囲気が私に一気に優しくなった気がした。それと同時にウサギが姿を現した。


「ふああ・・・」やる気のないような表情で、あくびをした。


「ハハハハ! 寝起きか!」「それはちょっと失礼じゃないか」

今度は一気にウサギの方に傾き、主役は彼となった。


「いつでもいい、どうする? 」


ウサギは上から私に言ったが、私はほんの少し待ってくれるように頼んだ。それはもう一度戦いのシュミレーションを行いたかったからだ。


「ほんとうに素晴らしい所を選んだ。道よりも高い所にある、人間の作った野菜の畑、ウサギがあの畑に入るのも歩きながらわかる。さあ、体も完璧に温まった、行こう! 」


「待たせました、それでは行きましょう」


「それではいいですか、皆さん、お静かに。鳴き声の後に出発してもらいます」


ウサギと私が道に、横に並び、道の際に真っ白い鳥が止まった。


「キエエ!! 」


少々耳障りなサギの声がして、ウサギは速攻に走り始めると


「ハハハハ!! 勝負になりそうにないな」私は遥か遠くのウサギの姿を見たが

スタートしてウサギがすぐに飛ばすということも、予想通りだった。




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