第5話念入りな計画


「そう思うのは当然だ、カメ氏。君ですら最初そう思うくらいのことが起きなければ、あのウサギの口を黙らせることはできはしないのだよ。最近の彼は口が達者になり、姑息な安全策ばかりを取っていることを知っているかい? 人間の作物ばかりを食べて、しかも時々直接もらったりしているんだよ。それなのにやれ「誰かから逃げてきた」だの我々が「人間を怖がっている臆病者だ」などと吹聴して回る。愚かしいことだ。我々が人間に近寄らないのは、病気になる確率が高いからなのに。

そう、それで我々は考えた。あのウサギの性格、行動、言動、すべてを分析し、君と競争した場合、きっとあることをするとね」


「何ですか? 」


「昼寝だ、間違いない。

彼らはフクロウ氏と近い行動パターンなのだよ。だが君は昼間でないと体が動かない。つまり日の高い時間に競争を始めれば、君は一番早く動ける」


「でも」

と言った私にすかさずタカ氏が


「ウサギは最初のうちは走るだろう、しかし絶対に負けることはないと思っている。だから丁度三分の一の所を、彼らの好物の植わっている畑にすれば、きっとそこで一休みするはずだ。だがそれがすべての勝敗を分ける」


「どうしてですか? 居眠りしたところで、それから目覚めた全速力のウサギには勝てるはずもありません」


「そこに植えてあるのは、彼らウサギがが眠くなる食べ物なのだよ。それが一番美味しい時期を選んでレースをするんだ。もちろん距離も重要だ。あまりにも短いのも、長いのも駄目だ。ほどほどの、適切な距離を導き出すのに、何よりも苦労したよ、カメ氏」


またカラスが話し出した。この計画をゆるぎないものにしたのは、彼のようだった。



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