第12話:ソーサラー流捜査術
部屋の鍵を開け、中に入ると相変わらずこの部屋だけは雰囲気が違う。
失礼だとは思ったが気になっていたノートパソコンに目をやる。
電源を入れるとすんなりとデスクトップ画面に移行する。パスワードはかかっていなかった。
恐らくこのパソコンは資料の編集等に使っていた物で、この中には重要なデータを残していないのだろう。セキュリティが甘いのがその証拠だ。
次に棚に入っているファイルを手に取り思念を探ってみる。
昨日は気が付かなかったが
昨日の時点で全く思念を感じ取れなかったのは、魔法の練度の低さが原因だったようだ。
微かな思念を読み取ってみるが上手くいかない。これも魔法の練度が低いせいだろう。
このまま調査を続けていけば魔法使いとして成長し、いつかは重要な手掛かりを見つけることが出来るかもしれない。
(早いところ見つけてあげたいが、少しずつ進んでいくしかねぇな)
今度はファイルの内容に目を向ける。失踪事件などの情報が多いがこの地域で起きた様々な事件がファイリングされているようだ。
放火、強盗、殺人、失踪・・・居なくなってしまった妻を探す為に手あたり次第事件を調査していたということだろうか。しかしそれぞれの事件に一貫性はなく困惑する。
はたしてこの内容にはなにか繋がりがあるのだろうか?
様々な可能性を考えながらファイルに目を通していく。
しかし結果は変わらない。情報だけが無駄に蓄積されていく。
13年分の資料全てに目を通すには時間が足りない。
膨大なファイルを目にしてため息をつく。すると部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「慧さん、お昼ご飯出来ました。食べます?」
「ああ、腹減ったし有り難くいただくとするよ」
俺は彼女の申し出を受け、二階へと移動した。
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