第11話:トレーニングパティーン
1月30日9時頃、いつものルーティーンをこなし始める。
杏莉さんに朝食も用意してもらえば良かったと激しく後悔をした。流石に図々しすぎるか。
昨日の夜は残っていた魔力でちょっとした検証を行った。飛行魔法の最大速度の確認だ。
現状普通に移動している時は時速20~30キロぐらいだ。
それを短距離走のようにしてみたらどうだろうかと確かめてみた。
結果からすると100メートルを1秒ちょっとで移動することができた。
だがその一瞬で残っていた1割の魔力の半分が消費されていた。最大魔力の5%だ。
気になったのは残りの全魔力を使うつもりで加速したのだが使い切れなかったことだ。
どうやら魔力をエネルギーとして出力するのにも上限があるようだ。
車を例に考えるとガソリンを沢山積んでいてもエンジンの性能が悪ければ最大速度はあまり出ない。つまりはそういうことなのだろう。
これから魔法使いとしての能力を鍛えていく上で重要なことがわかった。
魔力という名のガソリンの貯蓄量を増やすこと。
魔法を使い慣れて消費する魔力の量を減らす、燃費をよくすること。
そして出力、エンジンの馬力の強化だ。
これでいつかは音速で一時間以上飛行し続けることも可能なのではないだろうか?
今は全力だと20秒で2キロ移動すると枯渇してしまうわけだが。
確認が済んだところで最後の魔力を短距離ダッシュで使い切った。
おかげで今日も魔力は7割程度で全回復してはいなかった。
準備を済ませて一ノ瀬探偵事務所へ向かう。
自宅からは直線距離で2キロぐらいだろうか。4分程度で到着する。
二階に上り自宅のチャイムを押す。するとすぐに家の住人が顔を出す。
「あ、慧さん、こんにちは!」
「ああ、少し早めに来てしまったが大丈夫か?」
「全然だいじょぶです!」
そういうと家の中に案内される。昼食の準備をしようとしているところだった。
「そういえば初歩的な事を聞き忘れていたが親父さんは携帯を持ってなかったのか?」
「持ってましたけど家に置いてありました。だからすぐに帰ってくるものだと思ってたんです」
「なるほどね、警察とかには相談したりはしてない?」
「いえ、まだしてません。長引くようであればしないといけないと思いますけど・・・その時は昔お世話になっていた刑事さんに相談してみようかと」
昔はバリバリ事件を解決していただけあってそういったコネが少なからずあるらしい。
「とりあえず少しの間保留にしておくか。今日は親父さんの残した資料を確認して今後の方針を考えようと思ってるんだが」
「わかりました、よろしくお願いします。書斎の鍵はお渡ししますので」
昨日の黒猫のキーホルダーが付いた鍵を受け取る。
「親父さんは猫好きだったのか?」
「そうですね。昔は猫を飼っていたんですがその子が亡くなった時、父はとても悲しんでしまって・・・。だからこのキーホルダーをプレゼントしたんです。父はとっても喜んでくれました」
「なるほどな。親父さんにはとても大事なものだったわけだな・・・。それじゃ書斎を確認してくるよ」
「はい、お昼ご飯が出来たら呼びに行きますね」
「ああ、期待しておくよ」
期待する気持ちを言葉にし、俺は一階の書斎に向かった。
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