第5話:戦乙女が生きの良い魂を探すためにお空でクルクル回る的なヤツ

上空で魔法の痕跡を辿る魔法を編み出す。


昨日飛んでいた場所に微かに淡い光が漂っている。目を凝らして周囲を確認する。


すると驚くべき光景に目を奪われる。


町のいたる所にごく微量ではあるが同じ痕跡が存在する。


やはり魔法使いは他にもいるようだ。しかし様子がおかしい。


あたりを確認しながら空を移動していく。


痕跡が一か所に集中していく、その先には神社があった。


ここは確かご利益があると噂の場所だった気がする。


その敷地内だけ異様に濃く痕跡が残っている。


(魔法使いが神頼みでご利益二倍、なんてことはねぇよなぁ・・・)


しばらく頭を抱えて考えてみたが答えが見えてこない。


ふと思いついたことがあった。魔法の力が思念によって生まれるのであれば、その痕跡からどんなことに魔法が使われたかを知ることが出来るかもしれない。


痕跡の近くまで移動し、手でそれをつかみ取り、意識を集中させる、すると人々の願いが頭の中に流れ込んできた。


そこで俺は一つの仮説をたてた。それを検証すべく人が集まる場所を目指す。


今は昼時なので大通りのコンビニにでも行けば良いだろう。


我先にと昼飯を求めコンビニには人があふれていた。


そこで俺は他人の魔力を確認する魔法を編み出す。


すると全ての人に大小差はあるものの、魔力があることがわかった。


魔法は思念の力で発動をする。本来魔力自体はどんな人間も持ち合わせており、自分が気が付かないうちになにかの形で魔法となって使用されている。


神社にあったのは願いの魔法の痕跡。


人々は様々なところでこの不思議な力を無意識に使っているということのようだ。


しばらく眺めているとその傾向も見えてきた。どうやら女性の方が若干魔力が強いようだ。


(女のカンは鋭いなんていうがそういうことか。知らず知らずのうちに魔法を使っていた、と)


人間には未知の部分がある。その根源を今この目で垣間見た気がした。




人間の神秘に触れている間に本来の目的を忘れてしまっていた。


昨日の女性の居場所を突き止めなければ。


あの時手渡した雪で作った傘の位置を特定するために魔法を唱える。


目を つむり頭の中にソナーのような図を浮かべる。


(あった、ここからそう遠くはないな、1キロぐらいか)


その方向を目指し進んでいく。3分程度で目的地に到着する。


そこは事務所のような建物が建っていた。


二階建てで左端に扉が付いており、二階が居住スペースのようだった。


扉の向こう側に魔力の反応がある。


近くの電信柱の影に降り立ち、周囲を確認してから透明化の魔法を解き、その建物へ近づいていく。


ドアにはプレートが張り付いており、そこにはこう記されている。


(一ノ瀬探偵事務所・・・?あの子は探偵なのか?)


思い切り首をかしげる。探偵なんてフィクションだけの存在だと思っていたが本当に存在しているようだ。そんなことを考えていると後ろから話しかけられる。


「あの、もしかして・・・昨日傘を渡してくれたかたですか?」


振り向くとそこには見覚えのある人物が立っていた。

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