怒り/喜び
怒り
誰かを罵倒した。
何なら、殴りかかって、蹴り上げて、締め上げた。
そこまで記憶がある。
でも、誰を殴ったのか蹴り上げたのかそれを覚えていないのだ。
何なら、どうしてそこまで怒り狂っていたかも。
気に障ることを言われたのか、去れたのか。それとも今までの積もり積もったものが爆発してしまったのか。
ふっと目を覚ますと忘れていて、でも怒って身に任せて体を動かしていたものだから嫌にすっきりしている。
人の怒りのピークは6秒だというから、きっとそのせいかもしれない。
怒りの夢を見た次の日は妙にすっきりと冴えた頭で物事が進む。
そうして、身に覚えのないことで謝られたりするのだ。
だから、夢の続きじゃないかと驚くこともある。
喜び
あはは、だかふふふ、だか。
ともかく幸せそうで、遠慮のない大きさの自分の笑い声の寝言でふと目を覚ます。
そういう時は残念な気持ちになる。
もう少しその楽しい夢を見ていたかったと思ってしまってもきっと仕方がないことだと思う。
続きを見られるかと無理に目を瞑ってみるが、残念ながら直近に見ていた夢の内容を覚えていないのに夢を見られるわけもない。
黒くて赤く筋の入った瞼の裏をしばらく見つめて、諦めて一度のどを潤しに行ったりする。
その道中に失くしていたヘアピンなどを見つけたりするので、笑う寝言は侮れない。
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