真正

 さて、ここ最近の私の生活について特筆するべきこともないのだが、怒るようなことはたくさんあった。

 少しそれの整理と自分の中で収めるためだけの文章を書きたいと思う。


 先日のことである。友人に「そのピアスかわいいね。でも、左耳だけのピアスはレズビアンに見えるからやめたほうがいいよ」とありがたいお言葉をいただいた。

 さて、この言葉において私が引っかかってしまった点は三つある。きっと、なんともない人からすれば何ともないような言葉であるに違いないし、だから私が変な生き物であるという証明になるのだ。

 まず、「左耳だけのピアス」についてだが、確かに私は左耳にしかピアスを開けていない。将来的には左に3つ、右側に4つの穴をあけようともくろんではいるが、いろいろな障害があって今はかなわないままでいる。

 障害とは、右の耳に残る大きなしこりだったり、時期的なものだったりするのだがそれは今は置いておこう。

 そもそも、個人の趣味で左側から開けているピアスホールに対して、「かわいいね」というほめる文脈からおかしな点を指摘するという彼女の気が知れなかった。

 ざっくり言うなら一言多い。なぜ一言目で止められなかった。

 二つ目に「レズビアンに見えるから」についてだが、大きなお世話すぎるし、私は肉体的に見ればレズビアンだ。何が悪いか。

 私が女性も性的対象として見れるからと言って彼女に何の不利益があるのだろうか。“レズビアンに見える人”と一緒に歩いていたら自分もレズビアンに見られるとでも思っているのだろうか。それとも、自分が性的対象にされるのが怖いのか気持ち悪いのか。

 それに対しては申し訳ないが、あなただって一人の男性をおそらく性的な目で見ているのだから別に何も悪いことではないだろうし、そんなこと私に言うこと自体おかしいのではないだろうかとも思う。

 もう一ついうなればレズビアンが左耳にピアスをするというタイピカルな考えも気持ちが悪かった。それがまかり通るならば、男性は筋肉ムキムキで胸毛が生えているというおかしな方程式だってまかり通る。

そもそも、人のセクシャリティや性的思考についてなぜそんな、スナック菓子感覚で口に出せたのかもわからなかった。普通挨拶の時に「私は〇村ち〇こです。20です。男性が好きです」などということをするだろうか。しないだろう。性別と同じ欄に「あなたは異性愛者ですか?」なんていう街頭アンケートがあったら、それはそれでやばい世界だし、それができるならば、私はもっと幸せに生活できていただろうし、こんなくそみたいな文章を2時間もかけて書くこともなかった。

 つまるところこれも私の神経を逆なでする余計な一言だったわけだ。

 最後に「やめたほうがいいよ」

 これ、ほんとうにどうもありがとう。何秒くらい私のことを考えた後に行ってくれた言葉なんだろうか。人間って80年生きると考えてもその貴重な0.0何秒を私のような哀れなセクシャルマイノリティに使ってくれてどうもありがとう。ありがとう。本当にうれしい。


 ぶちころすぞ


 あなたに言われたからと言って、何かを治す気はな行けれども、これは何よりも効いた言葉でした。

 



 まさかその子がこんなことをいうような子ではないと思っていたから、そういう偏見も相まってことさらに気持ちが高ぶってしまったんだろうなとは思います。

 私はXジェンダーのバイセクシャルです。

 18になったときに体との折り合いはいろいろとつきましたが、まだ内面の整合性は取れていないままでいます。

 だから、きっとこんな風に怒ったんだと思うし、余計なお世話だと感じるのだろうと思います。

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