その先重病、あと十歩


 君が産まれて一月たって、二月経ってとうとう一年たった。

 君が産まれてあの子も産まれて、知らない人がいて、一年たった。

 赤は君の色だけど、私の色でもあるのだから、君は燃える色を冠して、そうして知的な青をその目に宿した。

 君は欲張りだろう。

 夕刻も、黎明も、一身に抱いて私と行きたいだなんて。

 君の方が私よりいくつも小さいはずなのに、いつかに私を見下ろした。

 君が歩けば私は走る。

 誰かを見れば私の方がいいといい、誰も見なければ私が一番だと言う。

 君はいつまで私の味方か、きっといつまでも私の味方なのだろう。

 君が産まれて一年たったのだから、これからまだ、二年三年、十年と、私と一緒にいればいい。

 それが君のことならば、ずっと私の味方であればいい。

 君が産まれたものだから、頭の虫は羽化しない。それでもいいのだ。



 君が産まれて一年たった。

 ありがとう。おめでとう。

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