どうやら鳥が僕に話しかけているようだ

「さて、君。どうもこうもあるかい? 君のせいで僕の卵は割れてしまったんだよ?」


「いや……あの、ハイ。すみません」


「この卵は未来だったんだよ? どうしてくれるんだい?」


 どす黒い、というか、ドブ色の、というか……とにかく汚い色の小鳥が僕にそう訴えかけてくる。彼――彼女?の手には小鳥と同じ色に濃い緑色のまだら模様がついた元は卵であったろうかけらがいくつも握られている。

 どうやら僕が小鳥にぶつかって卵を割ってしまったらしい。

 僕の肩からは血が滴っていた。


「その……僕は鳥じゃないので卵は産めないからどうにかすることはできないのですけれど……」


「そんなこと聞いてないんだよ。僕は君の誠意が知りたいんだよ」


「はぁ……誠意ですか……」


 小鳥は相当頭に来ているらしくて、紫色の体液をまき散らしながら僕に怒鳴ってくる。

 肩からでていた血はいつの間にか固まって赤黒い塊になっていた。


「誠意……それじゃあ、僕の血で我慢してください」


 僕はそう言って小鳥に固まった血を差し出した。

 何が誠意でこのことが間違っていたかなんて僕には全くわからない。

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