庭に昆布を埋めてみた

庭に昆布を埋めてみた。

特に意味があったわけじゃなくて、ただそこにそれがあったから埋めた。

おばあちゃんは私に言う。


「そんなもの埋めても何もならないよ」


そんなの知ってる。でも、なんだかそれをしなくてはいけない気がしていた。


昆布を埋めてから一日目。

土が盛り上がった。ちょうど、土饅頭みたいな大きさだ。

おばあちゃんは気持ち悪がって土饅頭を崩そうとしたが、私はそれを止めた。

おばあちゃんに抵抗したのはそれが初めてだった。


昆布を埋めてから二日目。

その日は何も起きなかった。

ただ、友達に私が変わったと言われた。


昆布を埋めてから三日目。

土饅頭から小さな芽が生えた。

私はその芽に海水をかけた。

「君は本当に大きくなるのかい?」


昆布を埋めてから四日目。

小さな芽はいっきに大きくなって私と同じくらいの大きさになった。

どうやら昨日あげた海水良かったらしい。

私は昆布に今日も海水をかけた。今日はバケツ一杯かけた。


昆布を埋めてから一週間。

昆布は花を咲かせた。

白くて小さな花だ。私はその花を摘み取って押し花にした。

おばあちゃんはことさら気持ち悪がって、昆布を切り倒そうとしたが、昆布を見た途端に真っ青な顔をして部屋の中に入っていった。

どうしたのだろう?


昆布を埋めてから二週間。

昆布はしゃべるようになった。

今日も私は昆布に海水を与えながら昆布とのおしゃべりにふける。

「昆布。君、本当はなんなんだい?」

「そんなの僕にはわからないよ」

「そうか。」

昆布は私の日常に見事に根を張っていた。

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