第13話 対決 ノウツとデットリング Ⅰ

ノウツとデッドリングの両者が向かい合う。

沈黙の中両者は今にも殺し合いが始まりそうな緊迫した空気を漂わせ、

デッドリングが先に攻撃を仕掛けた。

《死の輪 ーデット・リングー》

傷が完全に完治したデッドリングが右手を振り払った瞬間、

円形の形状をした赤い刃物が回転しながら

デッドリングの背後からノウツ目掛け切りかかった。

「何っ!」

紙一重のところで体を横に捻り避けたが、

地面を抉りながら回転し前に進む刃は高い

殺傷能力があることが目で見ただけで分かる。

(クソッ・・・なんだこの威力、

これがデッドリングの血器か、

この威力だと掠っただけでもヤバそうだぜ)

「おいおい!!なんだ小僧?粋がってた割に避けるので精一杯か?

もっと楽しませろよ!まだまだいくぜぇ」

そう言うと左手を振り払いまたもやデッドリングの

背後から2つ目の赤い刃物が現れ回転をし地面を削りながら、

威力と速度を高め一瞬でノウツの元に到達し切りかかる

(クッソ、一発目より早い!!

この速度じゃ避けるのは無理だ、それなら受け流す!)

ノウツは血の染みついた白衣の内側から

片腕程の長さのある銀の杭を2本取り出し1本を地面に突き刺し

もう1本の銀の杭で向かってくるデッドリングの血器を正面から防ぎ

受け流す態勢をとった

「ぅおおお!!」

威力の増した円形の赤い刃は銀の杭で防ぐも、

止まることなく回転を続けながらガリガリと

火花を散らし銀の杭を削っていく

(このまま左に受け流す)

ノウツは防いでいた銀の杭を力いっぱい左側に反らし

赤い刃を見事受け流した。

「ほぉう、今のを防ぐか、だがもうその銀の杭は

使い物にならないだろう次も防げるか小僧!!

なぁに、一撃では殺さない貴様はバラバラに

刻みながら殺してやるからな!!」

ノウツが気付いたころには最初に放たれた赤い刃は

デットリングの手前で待機しており高速で回転しながら次の攻撃に備えている。

(死の輪のデットリング

・・・なるほどな名前の由来はあの血器の形状ってとこか、

しかしあのクソ吸血鬼、普通こんなに削れるかよ!!

もうこいつじゃ次の攻撃を受けられない)

ノウツは削れて今にも折れそうな銀の杭を少し見た後投げ捨て、

地面に突き刺していたもう1本の銀の杭を引き抜き

次の攻撃に構え深く息を吐いた。

(一撃で殺れるほど甘い相手じゃない事は分かってる。

この一撃はあくまでも囮、現状確かめることは3つ

これで失敗したらそこまでだ!!)

「全力で来いクソ吸血鬼この一撃で決める」

「クッハッハハ!!いいぜ小僧貴様の言う通り全力で迎え撃ってやる」

(馬鹿かこの小僧、それとも頭に血が上ったか?

俺の攻撃を受け流すのがやっとのくせにまさか

真正面から突っ込んで来る気か?)

必勝の一撃を繰り出すために一気に駆け抜け攻撃を

仕掛けるために突っ込んだ。

突っ込んでくるノウツをデットリングの血器が

2発目以上の威力で迎え撃つ

(今だ!!)

全力で駆けた威力を利用し構えていた銀の杭を両手で高く掲げ

力いっぱい地面に突き刺す。

超高速で回転する赤い刃が突き刺した銀の杭を軽々と削り出す。

(何をしてるんだあの小僧?

あんな軟な杭早々に俺の血器で削り切ってやる!

いや待てよ、まずは両腕を削り切るとするか)

睨んでいたデットリングが不気味な笑みを浮かべ牙が口元から鋭く見えた瞬間、

2発目に放たれた赤い刃が回転しながらノウツの後方から

挟み込むように近づいてきた

《死の輪・逆回り ーデット・リングリバースー》

(1、2・・・あっ?クソ吸血鬼野郎なに笑っやがる?

・・・まさか!)

地面に刺した銀の杭を赤い刃が削り出した瞬間から

カウントをしていたノウツだがデットリングの

不気味な笑みに気付き後方を振り返った時にはもう遅く

赤い刃はノウツの左腕目掛け目の前まで迫っていた。

(元々怪我なしで勝とうだなんて思ってねぇ、

片腕位くれてやる・・・ふざけんな!!)

ノウツの口から小さな声が溢れた

「間に合え」

とっさに白衣から銀で出来た斧を右手で取り出し、左肩に押し当てた。

赤い刃がノウツの左腕に触れ切りかかるとノウツは体重を目一杯かけ、

全力で赤い刃を横から押し軌道をそらした。

ノウツは激痛に耐えながら歯を食いしばり息を切らす。

デッドリングの攻撃で左腕を負傷し、

足元には徐々に速さを増しながらポタポタと血が滴れ落ちていた。

(クッソ、早く止血しねぇと)

止血をする間もなく、正面から向かってきた赤い刃は突き立てた銀の杭を

軽々と削り切り、ノウツ目掛け超高速で向かって来た

(・・・5、約5秒!)

ノウツは銀の斧をその場に落とし負傷した左腕を抑え、

投げ捨てた銀の杭目掛け飛び込んだ。

抑えていた左腕から手を離すと、右手を命一杯伸ばし銀の杭を拾い上げ、

膝をつきながらデッドリング目掛けて銀の杭を全力で投擲した。

(何!?血器が間に合わない!)

投擲した折れかけの杭はデッドリングの右足に深く突き刺さった。

(よし!これで3つ。囮の一撃からの流れ

・・・想定外の攻撃で怪我しちまったが、こいつを殺す条件が整った)

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