第11話 地下室と繋がれた男

一方そのころ

ー大国家レイオート王国・白銀騎士団団長室ー

リイエンが電話を切った後すぐ部屋のドアがノックされ重厚な作りの

ドアの向こう側から青年の声が聞こえる。

「失礼します。リイエン副団長お時間ですが大丈夫でしょうか?」

「もうそんな時間ですか、すぐ準備を済ませるので少し待っていて下さい。」

(しかし、話に夢中になって時間を忘れてしまうとはやはり、

あの人に似てレイン君は面白いですね。

・・・さぁ彼は今回も生き伸びることができますかね)

机に置いてある紙とペンを持ち準備をすますと

重厚なドアに手をかざしドアを開けリイエンはニッコリとした

笑顔を浮かべドアの向こうで待っていた若い青年に挨拶をした。

「こんにちは、待たせてしまいましたねノウツ君、

では情報収集に行きましょうか」

挨拶をした青年は血の染みついた白衣をまとっていて

「こんにちは、では行きましょう」

と挨拶を返した。

リイエンが歩き出しその後ろからノウツという若い青年が着いていく、

2人は地下に繋がる螺旋階段をしばらく歩くと白銀騎士団本部の地下室の

入り口に着いた。

「さて、貴重な情報が聞けることを祈りましょうか」

「はい!そうですね、ところで副団長今日はどのような感じで?」

「・・・もう情報もだいぶ集まってきましたし、

最後にレイン君の報告とすり合わせたのち

そろそろ情報源には消えていただきますかね」

「いやぁ今日でお終いですか。…それは残念です」

「まぁまぁ気を落とさないで下さい。

我々の秘密の情報収集は情報源がある限りいくらでもありますよ」

二人は笑みを浮かべリイエンが厳重に閉ざされた地下室のカギを開けた。


錆び付いた重い鉄を引きずるような音を立たせ厳重に

閉ざされた地下室の扉をゆっくりと開ける。

部屋の中は薄ら明るく中心は暗くなっており、

そこそこの広さがある。

入口近くには小さな机と椅子が置いてあり、部屋の壁は錆びついて

くすんだ銀で出来ており地下室の部屋を冷たく囲んでいる。

その部屋を一言で言うなら不気味で殺風景な部屋だ。

部屋に入ると、入口近くの椅子にリイエンが腰を掛け

持っていた紙とペンを小さな机の上に用意した。

一方ノウツは地下室に入る前とは人が変わったかのように

不敵な笑みを浮かべながら、部屋の中心の方へとふらふらと歩き出した。

真っ暗な中心部に向かいリイエンが声を掛ける

「こんにちは、調子はいかがですか?

悪いのですが今日も我々に協力していただきますのでお願いします」

リイエンが声を掛け終わるとすぐ後ろにある

電気のスイッチを入れた。

スイッチを入れてしばらくすると暗かった部屋の中央が明るくなり、

重厚な銀製の椅子に銀の枷を付けられボロボロな格好をした中年の男が

俯いた状態で椅子に縛り付けられていた。

俯いていた男は明かりが点いた事に気付くと殺気を

纏わせ枯れたガラガラの声で叫びだす。

「・・・このクソッタレなサディスト共が!!

・・・・・今すぐこの枷をはずせ!!

貴様らを今すぐにでもバラバラに引き裂いて

その血を吸いつくして殺してやる!!」

男の叫びは部屋中に響き渡る。

叫びだす男に何の恐れもなくノウツが指をさし近づく

「っせぇな、おいおい、自分の置かれてる

状況分かってんのか?ぶっ殺すぞ?クソ吸血鬼」

「小僧貴様、口の利き方に気を付けろよ?

貴様は永遠の苦痛を与えながら足のつま先から頭の先まで

バラバラに引き裂きゆっくりと殺してやる」

ガシャガシャと枷の音をたて暴れだす中年の吸血鬼は

怒りを見せノウツに襲いかかろうとする

「・・・副団長こいつもういいですか?」

ノウツは血の染みついた白衣の内側から銀で出来た鋸を

吸血鬼の首元に押し付け静かな声でリイエンに問う

「ノウツ君やめなさい、彼にはまだ死んでもら訳にはいきません。

とりあえず勝手なことはせずにこっちに来ていただけますか?」

舌打ちをしながら首に押し付けていた鋸を白衣にしまい

「命拾いしたな吸血鬼、副団長に感謝しな!」

と言い放ちその場から離れる。

リイエンはスッと立ち上がり繋がれた吸血鬼に

微笑みかけ地下室を出ようと扉に手をかけた

「では後程、また来ますね。行きますよノウツ君」

ノウツは再び舌打ちをし、リイエンの方にゆっくりと

歩き2人は殺風景な地下室を後にした。

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