第10話 騎士狩りの標的とやるべきこと
レインは大農園で起きた事について電話越しのリイエンに報告を始めた。
「・・・まぁ報告はざっとこんなとこなんだが、
今回の主犯である第4世代は騎士狩りを行っていたと
俺は踏んでるんだが、リイエンさんはどう思う?」
レインの報告と問いに対しリイエンは適格に自身の意見を返す
「・・・騎士狩りですか、吸血鬼が我々騎士を狩る行為
・・・ここ最近増えてますからね。
まぁ確かにレイン君の報告を聞いて状況を推測すると
その線が一番しっくりきますね」
受話器越しにリイエンは机に置いてある紙に目を通しながら答える
「これはあくまでも私の考えですが、
おそらく報告に出てきた街の住民と村長、
その後の3人の騎士そして4人の聖騎士、
順番的に次は連絡が途絶えた4人の聖騎士の
探索に出た聖騎士と順番に狩る算段だったのでしょう」
「やっぱそうか、ん?探索に出た聖騎士を狩る算段
・・・まさかな」
「どうしましたか、レイン君何か気になることでも?」
「いや、さっき報告した吸血鬼を狩った後なんだが、
街にグレイなんたら聖騎士ってのが来てなんやかんや一戦交えたんだが、
もしかして探索に出た聖騎士ってそいつ等の事かと思ってな・・・」
レインの後からの報告にリイエンは頭を抱え深く長い溜息をついた
「はぁ~~、レイン君、相変わらず君って人は
何かに付けてトラブルを引き起こしますね。
たまにはじっとしてトラブルを起こさない努力をしてみては?」
リイエンの言葉にレインはすぐさま言い訳を返す
「いやリイエンさん今回はあいつ等が先に手を出してきたんだって」
「もういいですよ、それで何ですか?グレイ何たら聖騎士団って?」
頭を抱えながらレインは必死にグレイメネス聖騎士団の
名前を思い出そうとする
「あぁーなんだっけな?グレイ、グレイ・・・
んー?あぁでもそこの副団長の名前なら覚えてるぜ!
確かフーガと言ってたかな。心当たりはあるか?」
「副団長の名前ですか。
・・・フーガ、どこかで聞いた気が、さてどこで聞いたのか?
フーガと言う名前にグレイ何とか聖騎士団・・・」
リイエンはレインの出したフーガの名前に聞き覚えのある様考える
「やっぱわからないか、まぁいいや、報告は以上だ。
それと重要なことがあるんだが・・・」
報告を終えてレインが他の話に移ろうとした途端、
リイエンがレインの報告を思い出し話を遮った。
「待ってくださいレイン君。
思い出しましたよ、フーガと言う名前もしや
グレイメネス聖騎士団の
フーガ・グレイメネス副団長では?」
話を遮られたレインだがフーガの事を言い当てた
リイエンに興味があるような態度で質門をした。
「そうそう!!たしかそんなような名前だった!
やっぱリイエンさんは物知りだな。
ところで?グレイメネス聖騎士団ってのは
いったいどんな騎士団なんだ?」
「なかなかに名高い聖騎士団ですよ。
確か今レイン君は今エイン国にいるんでしたね
その国の首都ロイートに拠点を構える聖騎士団ですね。
我々の国で言うところの国家聖騎士団のような騎士団で確か、
そこの団長でフーガ副団長の実の父である
リーク・グレイメネスは6年前の第2次吸血鬼討伐戦に
参加していてなかなか腕の立つ聖騎士だとか」
(6年前ねぇ・・・)
〝俺がすべての吸血鬼を葬ってやる。そしてこの世界を平和にする。必ずだ!”
静かにリイエンの話を聞くレインの頭の中に兄の言葉がこだまする。
「・・・レイン君確か君は6年前のあの討伐戦の事をまだ調べてるんでしたね」
「あぁ、そうだ。
あの日兄さんは俺に待っててくれって言い残した後帰ってこなかった。
でもな、兄さんの死体を見た奴は誰もいないんだ」
「レイン君。酷いことを聞くようですけど、
あなたはお兄さんが今でも生きていると?」
あまりにも聞きにくいことをストレートに聞くリイエンに対し確信があるように
「・・・生きてるさ、きっと生きてる、兄さんが死ぬ訳がない。
きっとどこかでまだ生きてる」
答えたレインに対しリイエンは目をつぶり少し考えある男の名を口にした。
「そうですか、なら諦める訳にはいきませんね。
そんなレイン君に一つ、教えておきましょう。
グレイメネス聖騎士団団長のリーク・グレイメネス6年前のあの日、
彼の討伐対象はあのレガニプス・ドゥーワだったそうですよ」
(何だって!?)
リイエンが口にした男の名前にレインが驚いた表情になり声を荒げ聞き返した
「おい!今レガニプス・ドゥーワって言ったか!?
そいつは確か兄さんの討伐対象のはずだ!!」
「レイン君やはり、そこまで調べていましたか。
・・・話しておくべきですかね、そうあなたのお兄さんと
グレイメネス聖騎士団団長であるリーク・グレイメネスは
6年前の討伐戦で同じ部隊に所属していたのですよ」
「・・・嘘だろ?」
リイエンの言葉はレインにとって衝撃な一言だった。
自身の兄と同じ部隊に所属していた者をようやく見つけた事
そして自分と一戦交えた相手がその息子だったこと
様々な事が頭の中をよぎっては消えた
「それとレイン君にとって大切なことを
もう1つ伝えておかなければならないのですが」
レインは考えがまとまらないまま聞き返す
「・・・もう1つ?」
「えぇ、これはレイン君から聞いた報告と私が秘密に得た
情報からの推測なんですが、今回の大農園の一件どうやら
まだ続きがあるかもしれません」
考えのまとまらないままのレインは大農園の一件に
続きがあると言うリイエンに対し疑問の声を投げかけ、
説明を要求する。
「!?・・・続きって?一体どういうことだ!!
今回の件の主犯の第4世代は俺が確実に狩ったはずだ。
リイエンさんきちんと説明してくれ!!」
「落ち着いて聞いてくださいレイン君、
今回の一件確かに主犯の第4世代はレイン君が狩りましたが、
騎士狩りがまだ続いている可能性があるということです」
レインは頭の中を整理しある可能性を導き出した。
「ちょっと待て、騎士狩りが続いてるだと?
・・・まさか!!今回の騎士狩りの本当の狙いは
フーガ・グレイメネスだってのか?」
「えぇ、そのとうりです。レイン君から受けた報告、
今回の主犯である第4世代はおそらく囮。
まぁ本人は囮にされている事すら知らなかったでしょうけどね、
そして連絡が途絶えた騎士の探索にフーガ副団長が派遣された事」
机の引き出しにしまわれた一枚の報告書に目を通し確信を持って答えた
「・・・私の秘密に得た情報と合わせると今回の騎士狩りの標的は
フーガ副団長で十中八九間違いないでしょう」
リイエンの説明に納得したレインはさらに核心に迫る
「なるほどな、リイエンさんの推測が外れたことはないし
説明の筋も通ってる納得した。
で?リイエンさんよぉ、その秘密に得た情報ってやつを
もう少し詳しく説明してくれないか?」
「それは・・・」
リイエンは自分の知っている情報の説明を渋っていると
レインは説明を要求する
「おいおい、まさかここまで話しておいて隠すことはねぇよな。
いったい何を知ってるんだ?」
追及され仕方ないといった表情をし、
ため息をつきながらリイエンは壁にかかった大きな時計を少し見て答える
「まったく仕方ないですね。
わかりましたいいでしょうここ最近
騎士狩りが増えていることは最初に言いましたよね。
ここ最近の大掛かりな騎士狩り、こんなことを仕出かす吸血鬼は限られてます。
そして個人ではなく集団での計画と見てまず間違いない」
「集団での騎士狩りか、しかも狙いが聖騎士団の
副団長とはさすがに大掛かりすぎはしねぇか?」
「えぇ、そのとうりです。私が秘密に得た情報と言うのはですね、
最近その吸血鬼の集団がある聖騎士団2つを壊滅させているというものなのです」
予想した状況を大きく上回った回答にレインは聞き返す
「な・・・聖騎士団が2つも壊滅だって?」
リイエンはある凶悪な吸血鬼の集団の名を口にした
「えぇ、中規模の聖騎士団とはいえ壊滅はさすがに私も驚きましたが、
名前を聞いて私も納得してしまいましたその集団の名はサーカス。
レイン君はよくご存じですよね?」
レインは拳を握り眉間にしわを寄せ怒りを見せる
「・・・サーカス・・・」
少しの間が空きリイエンが先に話す
「正直今の状況でサーカスの連中と戦えますか?
私としてもレイン君を死なせる訳にはいかないので、
最悪の場合フーガ・グレイメネスは諦めても構いません」
「諦める?ふざけんな!!騎士狩りにあうってのが
分かっていて見捨てるなんてできるわけないだろ!
それに、サーカスは俺の手で潰すって約束したんだ。」
「レイン君・・・分かりました。どうか無事を祈っていますよ。
やるべきことはもう分かっていますね?」
つかの間の沈黙、レインの目は曇りなくまっすぐに
前を見つめ何かつかんだ様子だった。
「あぁ細かいことを考えて頭の中の整理がつかなかったけど、
今は目の前の敵に集中する。考えんのはそのあとだ」
「えぇ、ではレイン君いい報告を待っていますよ」
「あぁ、フーガ・グレイメネスを護衛しサーカスの奴らを狩る。
終わったら必ず報告するさ。じゃぁ」
レインは電話の受話器を置くと目をつむり大きく息を吸い込み、
借りていた部屋の方へと歩き出した。
「笑えねぇ、ゆっくり休む暇なしか・・・」
部屋のドアを開け、テーブルに置いたホルスターごと銃を手に取ると
フーガとの戦いで使っていた銀の杭を戻し、
ホルスターを腰に下げ、2丁の輝く銃を手に取り見つめた。
(両方合わせて残弾30発か、そういやぁリイエンさんに
弾を送ってもらえばよかったぜ。
それに銃の方も最近随分無理させてきたからなぁ
今回の戦いで確実に壊れちまうだろうな。
何発まで持ちこたえられるか、30発撃ち切る前に壊れないことを祈るか)
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