第9話 報告者と白銀騎士団副団長

受話器に手をかけたレインはダイヤルを回し、

報告をしようと白銀騎士団本部へ電話を掛けた。

「えぇっと?確かこの番号だったよな。」

ー大国家レイオート王国ー

「はいもしもし?こちら白銀騎士団です。ご依頼ですか?」

(この声は絶対リイエンだよな・・・最悪だ)

「・・・もしもし?どうなされましたか?」

(よし、一回切ってまた掛けなおして出直そうかな?

・・・我ながらいいアイディアだ!よし切るぞ!)

レインが電話を切ろうと耳から受話器を放そうとした時、

受話器の向こうの男が呼び止めた。

「・・・もしや、切って掛けなおそうなんて思ってないですよね?

レイン君、切ってもそちらの番号で場所が分かっているので

私が直接迎えに行きますよ?」

(ばれてるーーー!!なんでだ!?)

「で、要件は何ですか?まさかまた、

通信機を壊して電話してきたわけではないですよね?」

電話先の男の威圧感にレインはとうとう諦め要件を話し始めた

「・・・お、お久しぶりです。副団長、一つ聞いても?

なんで俺からだと分かったんですかね?」 

 

電話先の男は、金色の髪の左側を編み込み

白い軍服の様なロングコートを着た容姿端麗で

落ち着いた雰囲気をした男でその正体は

白銀騎士団副団長、名をリイエン・ラースと言い

レインが苦手とする一人だ。


レインの疑問に対してリイエンは答えた。

「やはりレイン君でしたか、タイミング的にそろそろレイン君が

通信機を壊すか、資金不足になる頃かと思いましたからね」

(この野郎、カマかけやがったのかよ!!)

「いやぁ、すんませんね毎回それに壊したんではなくて

壊れてしまったわけでして・・・」

「・・・レイン君言い訳はいいとして、

今カマかけやがったとか思っていませんでしたか?」

「・・・・・」

「まぁいいでしょう、それより一応認識コードを」

「えっとぉ、確か095だったかな?」

「・・・違いますね、」

リイエンのはっきりとした否定に言葉にレインは戸惑う

「えっ?あれ?違う?マジで?」

戸惑うレインに笑いながら答える

「冗談ですよ。認識コードはあっていますよ」

「・・・」

(やっぱこいつ苦手だわ)

「まぁ、冗談もこの辺にして本題に入りますか、

まさか通信機の件で連絡をして来た訳ではないですよね?」

(心読まれてんのか?エスパーかよ、)

「察しがいいことで、何でもお見通しってか?」

リイエンはまた笑いながらレインの言葉に対し

まるで心を読んだかのように答える

「まさか、私はエスパーじゃないですし、心も読めませんよ。

それに何でも見通せる分けないじゃないですか」

自分の心が本当に読まれているような感覚に陥った

レインは諦めて隠さずに本題へと入る

「・・・もういいや、なんで電話したかあんたならもう分かってるんだろ?」

「えぇ、大方報告する事があって電話したというところですかね。」

「あぁその通りだよ、リイエン副団長。報告があって電話したんだ」

レインは軽い溜息をついた後、大農園で起きた出来事を

報告しようと真面目な雰囲気に変わった。

一方リイエンは電話の向こうで薄ら笑いを浮かべ報告を聞こうと耳を傾けた。

「副団長なんて付けないで、いつも通りでいいですよレイン君。

では、その報告を詳しく聞かせてもらうとしますか」

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